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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
恐怖大王編
196/205

第196毒 猛毒姫、鼻血る

 *******************


 前回までのあらすじ


 なにそのダイエット魔法、超欲しい


 *******************


 どうしてこうなった!?(^ω^)


 セルライトの奴が、目の前でやたらきらきらしておる。


 立ち上る黄色い光のせいでそう見えるのではない、ただ単に、セルライト本人が美しすぎるのじゃ。


 何と言う綺麗なセルライト!


 そして何より恐ろしいのは、奴の外見的特徴が、でぶ以外全然変わっていないのに、かっこいいということ。


 どういうことかというと、例えば。


 綺麗なセルライトの頭は、相変わらずはげ散らかしたままじゃし。


 口の中は金歯や虫歯だらけじゃし。


 人を不愉快にさせる笑い方などは、そのまんま別に変っていないのじゃ。


 なのに(・・・)かっこいい(・・・・・)


 これだけまいなす要素を詰め込んでいるのに格好良いとか、訳が分からぬ。


 多分、魔法とか、すきるとかも使っておらぬじゃろう、意味ないし。


 即ちあれが素のセルライトであるいうことか。


 まじでか。


 ……しかも、どうやら昔は、髪の毛が生えていて、金歯や虫歯とかなくて、素敵に笑える公爵だったんじゃろ?


 その上勉強家で、魔導士としても大成していて、頭もよく、家柄も最高、と。




 ……絵にかいたような、王子様じゃあないか。



 ええっ。



 どうしてああなった!?(^ω^)




「ぶぶぶ」


「?」




 横を見ると、オーダーが鼻血を出しておった。


 無理もない、此奴の好みは細まっちょ。


 すとらいくもすとらいく、どんぴしゃになる。


 頭では拒否しても、あふれ出る鼻血を止められぬ。


 体は正直じゃ。



 ……ぬお、いつの間にか私の鼻からも、血が吹き出しておった。


 さもありなん、私の趣味はごりごりのまっちょ系なんじゃが、そこから随分外れているにも関わらず、この綺麗なセルライトっぷりには白旗を上げざるを得ない。


 女子なら全員鼻血を出して倒れるんじゃあないか?


 映像化できないのが残念です。




「に゛ゃ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!


 う゛ぞだに゛ゃ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」




 声の方向に目を向けると、いつの間にか気絶状態から回復したシャーデンフロイデが、鼻血を出しながら再度倒れこんでいた。


 まあ、そうなるじゃろ、普通は……。


 これ、長く一緒にいる人程ぎゃっぷによるだめーじで、やられるんじゃろうな……。





 はっ!


 バトラーは!?


 こんな、綺麗なセルライトを見ちゃったら、バトラー出血多量で死んじゃう!!



 ……と思ったら、バトラーの奴は先程のライオン・サヨナラー戦で気絶したまんまじゃった。


 世界で一番、綺麗なセルライトを見たかった人じゃろうに。


 たぶん出血多量で死ぬけど、本望じゃろうに。


 可哀想過ぎる。


 南無南無。



 


 ……は!?



 そそそ、そういえば!




 よく考えたら、女子はもう一人おった!




 普段から何気ない振りをしながらも、セルライトにちょっと気があるような仕草が絶えない、しかも何だかんだで付き合いの長い、バイタビッチ・ダブルピース公爵が!




 慌ててダブルピース公爵の方向へ目を向けると。







「ふーん」(ホジホジ)








 めっちゃ鼻糞ほじっておった。


 何故じゃ。


 あれっ。


 綺麗なセルライトを見て鼻血を出さないなんて、『私の趣味は、オークです!』みたいな奴くらいだと思うぞ、仮にそんな奴がいたとして、じゃけど。


 一体何故、あんなにも冷めた目が出来るのか。


 謎は深まるばかりじゃ。



ぶひょひょひょひょ(・・・・・・・・・)ひょひょひょひょひょ(・・・・・・・・・・)


 手こずらせおって。


 再度あれだけの脂肪を身にまとうのに、どれだけの時間がかかると思っておるのだ、阿呆ストリーめが!」


 おっと、綺麗なセルライトが、汚い台詞を吐いておる。

 此奴、わざと太っておったのか。


 そして、怒っている風じゃが、実際は目をきらきらさせて喜びながらのこの台詞。


 つんでれ属性まで完備しておるのか。


 何と言う俺様王子様。



 ふいっと、ストリーの方を見てみると、めっちゃ驚いた顔をしておった。



 死体に吃驚(びっくり)されるとか、相当だと思うんじゃが。



 いや、ストリー目線からすれば、今まで魔王と戦っておったと思っていたら、実は旧友だった、といったところなのかもしれぬ。


 ぞんびだけど、びびるじゃろう。


 ……ぞんびだけど、びびるじゃろうか?



「よし、ちょうどいい。


 せっかくなので、貴様には、新魔法のサンドバックになって貰うぞ」



 綺麗なセルライトの奴、無茶を言い出しおる。



「『冥代の風(ハディアン)』!」



 勇者(ストリー)の周りを、突然赤い熱風が吹き荒れた。


 お、おお、おおおお。


 雷が……燃え上がっておる。


 周囲の空気を丸ごと変化させたのじゃろう、体を雷化していようが、やばいものはやばい。


 ……それにしても、これ、以前、時魔法使いのトキが使っていた、『周囲の空気を昔の物に変える』魔法じゃよな?


 本人は風魔法と思っていそうじゃが、たぶん違う気がする。


 どこまで魔法の深淵に近づいておるんじゃ。


 セルライトに時魔法とか、なんとかに刃物じゃろ、完全に。


「まだまだ死んでくれるなよ?


 『縮退星(コラプサー)』!」


 勇者は、燃え上がっている状態から一転、くしゃ、と、ごるふぼーるくらいの大きさになった。


 こらぷさー、といったら『ぶらっくほーる』になる前の自壊していく星のことか。


 と言うことは恐らく圧力を操る魔法じゃが、風魔法とも、嵐魔法とも似ていて否なる、新たな魔法だと思われる。


 多分本人は風魔法か嵐魔法と思ってそうじゃが。


 これは流石の勇者も厳しいじゃろ……と思っておったのじゃが。


 ぐぐ……ぐぐぐ……。


 ごるふぼーるが、圧力に抗うかのようにぐにぐにと形を変えておる。


 流石は雷化。


 まだ生きておるのか!


 死体じゃけど。


「よしよし、良いぞ、その調子で頑張れ!


真空(ゼロヘクトパスカル)』!」



 ぴちゅん!













 勇者は、なにかのげーむのきゃらくたーみたいに。



 ぴちゅった。

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