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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
恐怖大王編
195/205

第195毒 猛毒姫、「……は?」ってなる。

 *******************


 前回までのあらすじ


 主人公視点、まさかの一年ぶり


 *******************


 はぁい、えぶりわん。


 久しぶりじゃ。


 おっと、思わず英語も出てしまった。


 仕方あるまい。


 何しろ私達の軍が、いちころさん軍を圧倒しておるのじゃ。


 てんしょんも上がると言うもの。


「いやぁ、すごいねぃ、ボツリヌスちゃんチームは。


 普通にウチらが全勝すると思っていたけど……まさかほぼ全敗ペースとは、考えてもなかったですわ~」


 目の前のいちころさんは、相変わらずのほほんと笑っておる。


 ……此奴、なんでこんなに余裕なんじゃ?


「おい、いちころさん。


 勝負は決したぞ。


 お主の軍で残っておるのは、勇者(ストリー)薬師(オンヲオン)のみ。


 流石に此れでは人間界に侵攻すること叶うまい。


 頭を丸めて出直してこい」


「あはは~既にツンツルテンですってば~」


 いちころさんは、嬉しそうに頭をぺしぺししておる。


 ……此奴、まだ何か隠しておるのか?


「そんなことよりボツリヌスちゃん、旦那さんの心配はしなくてい~の?」


「おっと、そうじゃった」


 人類の希望・元勇者(ストリー)が負けるとは考えられないが、セルライトが負けるのはもっと考えられぬ。


 しかもセルライトの魔法は、どうやら打倒勇者を標語(すろーがん)に開発されてるっぽいし。


 どうせ何か意地汚い、人道に外れた様な魔法を使うに決まっておる。


「それにしても、あんな風に魔法陣を使うなんて……流石は世界最高峰の魔術師だねぃ~」


 私の予想とは裏腹に、セルライトは奇抜ではあるものの、かなり全うな方法で勇者と対峙しておった。


 現在は、風魔法で魔法陣の書かれた紙切れを周囲に展開しておる。


 飛ばされている魔法陣に適宜魔力を注ぎ込むことで、無数の攻撃パターンが得られると言う訳じゃ。


 魔法陣を飛ばす風魔法の調整、角度、使用する魔法陣の選択、注ぎ込む魔力量。


 これらを全部片手間(・・・)に行いながら、勇者と戦闘しておるのじゃ。


 セルライトの奴、魔法もじゃが、頭脳も化け物じゃな、知ってはおったが。


 勇者も勇者で、自身を光の様にし、雷速でセルライトに突っ込んでいく。


 風神対、雷神、か。


 見た目では魔王対勇者にしか見えぬが。


 何か、汚い手を使うとか言って悪かったのう。


 勇者の前では、なんとも真っ直ぐな男の子じゃあないか。


 ちょっと嫉妬してしまうぞ。


「ぶひょ!?」


 そんなことを考えておると、どうやら勇者が有効打をいれたらしく、セルライトが吹っ飛ばされた。


 やはり純粋な実力では勇者に軍配が上がるか。


 吹き飛ばされた先で瓦礫を掻き分けて、セルライトが立ち上がる。


「……ぶひょ、ぶひょ。


 て、天衣無縫の戦闘術、む、無心の領域。


 お、お前、他の死人と違って、い、今の方が、つ、強いなぁ!」


 お、おお、これ、勇者的にはどうなんじゃろ。


 あんまり嬉しくない誉め言葉な気もするが。


 そんな私の心の内など気にしないかのように、セルライトはちらりといちころさんを横目で見つめた後、呟いた。


「し、仕方あるまい。


 ()我輩も(・・・)1枚くらい(・・・・・)切り札を(・・・・)()切ってやろう(・・・・・・)


 あ、うわ、やっぱり!


 何か外法(げほう)を使うに違いない!


 や、やめるんじゃセルライト!


 せっかく此処まで美しく戦ってるんじゃから、そんな汚い方法は使わずに……。


 唐突に、セルライトが黄色い光の柱に包まれる。


 な、な、な、なんじゃなんじゃ?


 私だけでなく、周囲の連中も、皆驚愕しておる。


「え、え、え!?


 か、カルマ・クラッシュ……かいねぇ?


 いやでも青い光じゃ無いし……」


 いちころさんが、小さな声で、そう呟いた。


 か、カルマ・クラッシュって確か、世界と自分を繋ぐ運命の糸を燃やして戦闘力を上げるとか言う、あの自爆技の事か!?


 じゃ、じゃから皆驚いておったのか。


 え、でも、確か、本で読んだ限りでは、カルマ・クラッシュを行った際の光柱の色は、青、じゃよな。


 ここでセルライトがカルマ・クラッシュを使う意味もないし、なにやら別の方法で、似たような魔法を作り出したのだと思われる。


 ……駄目じゃ、仮説だらけで良くわからぬ。


 セルライトよ、説明しておくれ。


「案ずるな、これはカルマ・クラッシュではない。


 我輩の考えた魔法……言うなれば、『セルライト・クラッシュ』よ!」


 おお、心の中で思った瞬間に解説してくれるとは。


 以心伝心じゃのう。


 取り敢えず、自爆技(カルマ・クラッシュ)ではなかったか。


 良かった、良かった。


 それにしても、『セルライト・クラッシュ』か。


 なんだか、痩せそうな名前じゃの。


「これは、練り込んだ魔力(・・・・・・・)質量(・・)を代償にして一時的に戦闘力を跳ね上げるのだ!


 まぁ、モチロン、カルマ・クラッシュレベルには程遠いが、な」


 立ち上る光柱の強さが少し弱まり、加えて目も慣れてきた私は、薄目でセルライトを確認する。


 同時に、セルライトの解説に関しても、改めて咀嚼し直してみる。


 この馬鹿げた魔力量は、練り込んだ魔力(・・・・・・・)質量(・・)を犠牲にして、一時的に得られているらしい。


 全く恐ろしい魔法じゃ。






 ……ん?






 練り込んだ魔力(・・・・・・・)と……。







 質量(・・)






ぶひょひょひょひょ(・・・・・・・・・)ひょひょひょひょひょ(・・・・・・・・・・)!」






 光の中からは……。








 ……眉目秀麗の(・・・・・)魔導師が(・・・・)現れた(・・・)






 ……。





 ……。





 ……。





 ……。





 ……。





 ……。





 ……なんか(・・・)





 ……セルライトが(・・・・・・)









 ……痩せおった(・・・・・)






 ……。






 ……。






 …………は?

書きたかったセルライト激ヤセ回。


つよい(確信)

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