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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
恐怖大王編
188/205

第188毒 剛力殺、共闘する

「くくく……ふははははははあ!」


 目の前には魔王をも凌駕するとも言われた最強の龍王の、しかも全盛期。


 満身創痍の、此の如何ともし難い状況で哄笑できるのは、元来よりの性格(たち)に依るものなのか、それとも。


「剛力様……笑ってる暇があったら、攻撃してくださいよ……」


 この、幼いながらに頼もしい共闘者(はえ)に依るものなのか。


「済まんな、(わっぱ)よ。

 いろいろと、面白くてな」


 まさか此の我……“聳え立つ奈落”こと剛力殺とも有ろう者が、共闘することに為ろうとは。


 数か月前の自分に『恥を知れ』とでも言われるだろうか。


 面白い、自分が不甲斐無いにも関わらず、面白いぞ。


 其れも此れも、ボツリヌス……()の阿呆のせいだ。


 力無く、姑息で、卑怯。


 にも拘らず、彼の金剛石の様な精神力。


 倶園薬(くそのやく)踏台(ふみだい)を超える精神力を持った者など居るかと思っていたが。


 ボツリヌスに比ぶれば、倶園薬(くそのやく)踏台(ふみだい)など幼児の其れに等しい。


 嗚呼、最早疑う()くも無く。


 ボツリヌスは、精神力で、北真倉を捻じ伏せたのだ。


 悔しいが、惚れたわ。


 彼の、押せば壊れる『最強(あほう)』は、壊しては為らん。


 我の美徳など、取り敢えず他所に放ってしまおう。


 此の龍王は、我と童で、確実に葬らねば為らん。


「GYYYYYYYYY!!」


 吼える龍王は、既に我と童で幾太刀も与えているにも関わらず、(こた)えている様には、全く見えない。


「そ、それにしても、硬すぎますね……何か、弱点とか無いんですか?」


「……ふむ、弱点というか……奴の喉元に、他と流れの違う鱗が有ろう。

 逆鱗と言ってな。

 彼の下には血管やら呼吸器やらの中枢が在る」


「は、早く言ってくださいよ!」


 ん?

 どうやら勘違いしている様だな。


「逆鱗は、龍の体で最も硬い部分だぞ?

 我が老いた龍王を屠った時も、結局逆鱗は破壊せしめなんだからな」


「……」


 童は、何やら考え込んで居る。


「剛力殺、共闘(・・)ではアレに勝てません。


 協力(・・)しましょう」


「……ふむ?」


 童の言葉の意味を汲むよう努力するが、見当も付かぬ。


「龍王の逆鱗……私による音速の突貫でも、破壊は困難でしょう」


「であるな」


「そして、鬼神の一撃でも、破壊は困難です」


「……悔しいが、であるな」


「ならば」


 童は、真っ直ぐ我を見た。


 我と対等と思っている若さが眩しいわ。


音速による(・・・・・)鬼神の一撃ならば(・・・・・・・・)どうでしょうか(・・・・・・・)


 ふ。


 ふふふ。


 ふははははははあ!


「終始、個を磨き続けた我には無い発想だ。


 面白い(・・・)協力(・・)してやる(・・・・)


 成る程、彼の『最強(あほう)』の生き様を見ているので在れば、血の繋がりなど無くとも、関係無かろう。


 蛙の子は蛙であり、鬼の子は鬼となり、そして。


 『最強(あほう)』の子は、『最強(あほう)』、と言う訳か。

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