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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
恐怖大王編
185/205

第185毒 猛毒姫、予想する

昼寝のうさぎ様の『薬師令嬢のやり直し』にて、後書きで本作を少しだけ紹介頂きました。


どうもありがとうございます!


フフフ。

そもそも運命の相手なんて、なかなか現れないのは、あったりまえです。


100話程度、相手の男性が出てこない事を待てない読者様なんて、そもそも恋愛そのものをわかっていないお子様、と言う他ありませんからねえ?(挑発的)


「全恋愛小説読者を敵に回したと思うのじゃが」


「あばばばばば、やばばばばば」

******************


 前回までのあらすじ


キサイ「なんか感想欄で私の評価が上がってるんだが」


******************


 キサイよ、欄外から久しぶり。

 うん、やっぱり一途だって、ばれたからじゃろうな。

 つんでれ一途とか、多分男の浪漫じゃ。

 キサイ可愛いよキサイ。


 それは置いておいて。


 セルライトがメタボルと同一人物と言うことが明らかになった。


 全く理解が及ばないのじゃが、理解する他ない。


 むう、それにしても、精神の鍛練者たるイタコに相応しくない驚きをしてしまった。

 ……ただ、これは仕方ないじゃろ。

 前世を含めて一番驚いたんじゃし。


 メタボル・ピッグテヰルと言えば眉目秀麗の魔術師にして。

 その功績を含めれば過去の三大魔術師に匹敵しうるとも言われておる人物じゃ。


 多分、ハチキレン、セルライトの所業も同一人物の物だとしたら……。


 これ、キサイと二人で仲良く功績を分けたとしても。


 ……三大魔術師、余裕で越えるんじゃあないか?



 それにしても、セルライトの奴、良い笑顔をしておるのう。


 いつもの憎たらしい笑顔ではなく、子供の様な無邪気な笑顔じゃ。

 ……多分、私とかバトラーとかにしか解らんれべるのものじゃが。


 無邪気な笑顔も、良く言って、気持ち悪いのう。


 きらきらした目をしながら、セルライトは初代ストリーへ向かって声を上げる。


「ストリーよ……き、貴様には、最後まで勝つことが、で、できなかったなぁ……。

 こ、この機会を、待っていたぞおおおお!」


 珍しく、叫んだりしておる。


 ……と言うか、セルライトの奴、ストリーに勝ったこと無かったのか。

 流石は伝説の勇者……化け物じゃな。


 ……セルライトが開発した対勇者用魔法や対勇者避雷針は、実は初代ストリーを倒すための物だった、のかもしれぬ。


 もう戦う機会などないと言うのに。

『もしかしたら』と思って、いろいろ編み出したのじゃろうか。


 ……そう考えると、何だか笑みが浮かんでくる。


 なんと言うか、男の子、じゃな。

 可愛らしい。


「いやぁ~、まさかまさか、セルライトはんが、あのメタボル様だったとは~。

 びっくり、びっくり~!」


 ふと目の前に視線を移すと。


 棺桶を置いて丸腰になったいちころさんが、無防備に歩いてくる。


 そして、その間に飛び込んできたのが……。


「それ以上近づいたら、殺しますよ」


 我らがあいどる、オーダーじゃった。


「おお、怖い怖い。

 こういう状況になったからには、しばらくはボツリヌスちゃんを殺すつもりは無いよん」


 いちころさんは、その辺りの瓦礫をごそごそして机と2つの椅子を見つけると。

 1つを私側に用意して。

 対面する側にもう1つの椅子を置いて、腰掛けた。


「ま、椅子と机は用意しとくから。


 気が向いたらおいで」


「気が向いたぞ」


「ちょ……ボツリヌス様……!?」


 私はオーダーの横を抜けて、いちころさんの用意した椅子に座る。


 いちころさんは驚愕の顔をしておって、とても間抜けに見えた。


「……こりゃまた、驚いたねい。


 ついさっき、ボツリヌスちゃんを殺そうとしてたんだけど、私」


「状況が変わった、じゃろ?

 伝家の宝刀を抜いて、勝ちを確信しておる顔じゃ。


 ならば私を殺す事より。


 私がどうして魔貴族を殺せたのか。


 ……それを調べたい方向に舵を切った、と言うことじゃ。


 要は(・・)余裕ってこと(・・・・・・)じゃろ(・・・)?」


「ふむう、確か6歳児……だよねい?」


 私の頭の回転と糞度胸に驚いたようで、いちころさんは笑顔で私に話続ける。


「ねえねえボツリヌスちゃん、じゃあ、私が人間側に侵攻する理由とか、わかる?」


 お、ぶっこんできおったのう。


 私と会話し、私の謎の強さを探そう、と言うことじゃろ。


 まあ、多少は乗っておくか。


「いくつかあるが……。


 1つ目は先程言っていた、『アンゴルモア大権現』を再来させるため」


 アンゴルモア大権現。

 間違った教えの蔓延る大地を破壊しつくし、新しい世界の秩序を作り上げると言う、ロシュツ教に伝わる予言の神のこと、であるが。

 まあこれは、単なるお題目、じゃろう。


 私は、いちころさんの目を見て、言葉を続ける。


「要は、変な技術(すきる)を持っていたと言うだけで自分を追放した仲間たちへの復讐、であるな」


「おお、せーかーい!」


 ふむ。


 これは流石に、誰にでも解る。


 ロシュツ教の坊主として生まれた男に、『死人の骨を利用するスキル』が宿っていたのじゃ。

 どう考えても、忌み嫌われる。

 そして質の悪い事に。

 ……その能力が、がちで世界を征服できる物じゃった。


 私はそのまま、彼の半生に思いを寄せる。


 バッタ武国の歴代英雄の墓を漁りながら。


 時期を見て魔界へ、逃げ出したのじゃろう。


 逃亡経路は、ペンギン皇国経由ではなく、ムカシヤンマ帝国経由じゃ。

 皇国は排他的じゃが、帝国は来るものも行くものも拒まない。

 帝国で墓を荒らして、王国で5公の墓を荒らして。

 ……む、いや、たいみんぐ的にここで5公の墓を荒らすのでは矛盾が生じるか。

 先代勇者めんばーをするーして、後日荒らしたというのが妥当であろう。


 いちころさんは、魔界へ突入し、有名魔族の墓を漁った。

 そうして、十分な勢力を得て、魔貴族を襲撃し、勝利。


 魔界で更に多くの墓を漁り、戦力を増強するも。


 ……彼にとって、恐ろしい宿敵が、現れたのじゃ。



 死んだ人間を自在に操る自分に対して。

 生きている人間を自在に操る怪物。


「二つ目の理由は、北真倉猿夢とか言う、お主にとって最悪に相性の悪い相手……そして同時に、味方にすると最高に相性の良い相手。

 ……彼女の遺骨を(・・・・・・)回収するため(・・・・・・)じゃ(・・)


 いちころさんは、ここで、初めて。


 その顔を、ぴくりと(・・・・)歪ませた(・・・・)

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