第183毒 猛毒姫、青くなる
2017/7/15
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……うん、自慢するつもりじゃなかったんだよ?
減るはずだったんだよ?
ネタにするつもりだったんだよ?
皆様、ありがと~!
頑張るぞ~!
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前回までのあらすじ
穢○転生かな?
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穢土○生?
何を言っておるのか全然分かり兼ねるが。
NiOさんの、完全おりじなるじゃよ?
さて。
目の前に、人族最高の英雄たちが現れた。
魔族侵攻を食い止めた彼らが、もしも人間界に攻め込んできたら。
確かに、これはまずいじゃろう。
戦闘力は勿論のこと、多くの人族にとっては御伽噺の存在で、精神的な支柱とも言える彼らが、魔族とともに攻めて来たなら。
まともな抵抗もなく滅ぼされる事が容易に想像できる。
そんな最悪を考え青い顔をしている私の横で。
「……ぶひょっ」
……豚が、嗤った。
「……ふうん?
勇者一行のメンバー……メタボル・ピッグテヰルと言えば……ピッグテヰルはんのお爺さんやよねえ。
……意外と、普通の顔、しているのねい~」
いちころさんの言葉に、セルライトが、言葉を続ける。
「な、なあに。
そいつは、も、もう、死体、だからなあ。
……ただ、確かに、他の面子は。
め、めんどうだなあ……」
セルライトは、懐から魔方陣の書かれた紙を、数枚投げ捨てる。
「ま、まあ。
しょ、召喚獣でも、呼ぶか」
しょ、召喚獣!?
初めて聞いた概念じゃぞ?
あ、いや、でもセルライトなら可能か。
転移魔法があるので、予め調教しておいた獣を呼べば良いのじゃから。
……それにしても、最強と名高い勇者一行に対抗する召喚獣とは。
果たして、鬼が出るのか、蛇が出るのか。
そんな事を考えてわくわくしておると、魔方陣が、輝き始める。
「緊急度・赤。
バイタビッチ・ダブルピース、推参」
「緊急度・赤。
サイコパス・コロスキー、はいはい、きましたよ~」
「緊急度・赤。
オンヲアダ・デカエース、顕現」
魔方陣から現れる、見知った面々。
……おいおい。
ちょっと、それは、まずいんじゃあないか?
呼び出された、召喚獣は。
現・王国5公のめんばー、じゃった。
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「おいこら、ピッグテヰル公爵!
一体、何を考えている!!
我々は、王国5公……戦闘も去ることながら、領地安寧もその職務に入るのだぞ!
……ていうか、我々、一応貴族なんだぞ!?
何故こんな鉄火場に単騎で呼び出したのだ!」
気炎を上げておるのは、我らがまどんな、バイタビッチ・ダブルピース公爵じゃ。
相変わらずの『豚毒』良心。
言っている事は、どうしようもなく正論じゃ。
「ダブルピース公爵のおっしゃる通り。
ちゃんと、理由をお話頂きたいものです」
にこにこ笑いながら、サイコパス・コロスキー公爵が言葉を続ける。
「い、いや、まて。
あ、あれは、もしかして……」
お、意外にも、最初に気がついたのは、オンヲアダ・デカエース公爵じゃった。
「……ぶひょ、ぶひょ。
ぶひょひょひょひょひょひょひょひょひょ!
簡単に、言っておく。
ここは、に、人間界に程近い、ま、魔界の一地方だ。
目の前の敵は。
い、いずれ倒さねばならぬ者共、よ」
「……曾祖母様……!?」
バイタビッチ・ダブルピース公爵が、アヘガヲ・ダブルピースへ声を上げる。
「ははあ、お爺様、ですか」
同じくサイコパス・コロスキー公爵が、パラノイア・コロスキーに向けて言葉を放つ。
「お、お、おおお、おじいいさまあああああ!?」
最後に、オンヲアダ・デカエース公爵が、オンヲオン・デカエース公爵に向かって叫ぶ。
「こ、此奴らは、に、人間界へ攻め込む、脅威だ。
緊急度・赤!
倒す算段を、建てよ!!」
「「「……了解」」」
公爵たちは、各々のご先祖様に剣を向けておる。
公爵家を興したという、尊敬すべき彼らが。
洗脳に近い状態で、目の前に立ちはだかっておるのじゃ。
恐らく、3公は、怒りでいっぱいじゃろう……。
「……曾祖母様……私が、必ず、止めて見せます……」
「やあ、お爺様……。
一回殺してみたかったんですよねえ、貴方」
「お爺様、倒させていただきます。
例えそれが……恩を仇で返すことになったとしても!」
各々が、思い思いの言葉を叫んでおる。
……詳細は、割愛するが。
……ん?
まてよ?
「お、おい。
セルライトよ。
このままでは、ライオン・サヨナラーと、ストリー1世に対峙する者がおらぬぞ」
「……ライオン・サヨナラーは、強いとはいえ、たかだかヒトケタの戦士だ。
バトラー、シャーデンフロイデ!
い、行けるな?」
「「はい(にゃ)!」」
後方に控えておった、バトラーとシャーデンフロイデが、戦闘態勢でライオン・サヨナラーへ向きあう。
それを満足そうに見やると、セルライトは声を上げた。
「ストリーは、我輩が、あ、相手をしよう」
ふむ。
てきぱきとした指示。
確かに、大変頼りになる……が。
「お、おい。
それだと、一人、足りないじゃろう。
め、メタボル・ピッグテヰルは、どうするつもりじゃ!?」
私の声に、セルライトは、心底面倒くさそうに、答える。
「はあ?
め、メタボル?
……ああ、親父のこと、か?」
そして、目の前に立つ、父親に向けて、呪文を唱えた。
「粉砕嵐流」
風の魔法が、渦巻いて。
……セルライトの父親は、爆発四散した。
ふむ。
爆発、四散、した。
……は?
「サヨナラ!」(爆発四散)