第 181毒 猛毒姫、久しぶり
2017/7/8
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さあ、5ヶ月ぶりの更新!
一体どこまで下がるのか、皆様、お楽しみに!!
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前回のあらすじ
豚公爵「豚公爵だブ~!」
猛毒姫「猛毒姫ドクよ!」
豚毒「「豚公爵と猛毒姫、始まるブ~(ドク~)!」」
NIOさん「……うん。久しぶりすぎて忘れたけど、確かこんな感じだったかしら」
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全然違うぞ。
……さて、前回までの話はじゃが、大山寺一殺が私を殺そうとするというものじゃった。
……何で私があらすじを話さなくちゃいけないんじゃろ。
「さて」
いちころさんは、おもむろに背中に背負った桶に手を突っ込んでおる。
周囲が戦闘体勢に入っているが、お構いなしで「ないなー、ないなー」言っておる。
「お、あった!」
いちころさんが取り出してきたのは……なんだか白い、すとろーみたいなもの、じゃった。
しかも、超巨大な。
「ほい、ボツリヌスちゃん。
これ、何かわかる?」
机を挟んで対面する私といちころさん。
その机の上に、ずん、とその白いすとろーを置きながら、いちころさんは問いかけた。
……なんじゃろ、これ。
私の胴より太い細長い棒。
「……む、意外と硬いの……骨か。
いや、これは……牙、か?」
だとしたら、このすとろーの様な空洞は、なんじゃろ。
……蛇の毒腺のようにも見えるが、それにしては巨大すぎるし……。
そんなことを思いながら白いすとろーの先についた黒い煤を見て、私は理解した。
「ほう……成る程。
これは巨大な竜の牙の一部……じゃな!
恐らく蛇の毒腺は竜の発火腺になっておるのじゃろう!」
知らず知らずに大きな声を出しておった私。
いやしかし、興奮するのも無理はあるまい。
竜も恐らく爬虫類、故に蛇と近種なのか。
小さきものは大きいものを倒すために毒を溜め込み。
大きいものは、更に巨大なものを倒すために油を溜め込んだということか。
この世界のみで起こった進化論に思いを馳せる私。
浪漫じゃ。
「せーかーい!」
ぱちぱち、と乾いた拍手をくれるいちころさん。
「もう少し詳しく言うと、元魔貴族、序列2位。
『空を這う蜥蜴』……画竜点睛さんの牙、だねい」
「……画竜点睛……だと!?」
がたん、と立ち上がったのは、剛力じゃった。
……そういえば此奴も序列2位、じゃったの。
もしかしたら浅からぬ因縁でもあるのかしらん。
「……ふみゅう、そう言えば剛力さんは、画竜点睛を倒して魔貴族入りしたんだったねい」
おお、やはり。
浅からぬ因縁、あったか。
「ああ、一応、画竜点睛さんの代わりに言い訳しておくと。
剛力さんに負けたのは、もう、画竜点睛さんが超高齢だったから、だからねい」
「……」
剛力が、黙っておる。
恐らく、老いた竜にぎりぎりで勝利を収めたと自分でも感じておったのであろう。
もしかしたら、その事に後ろめたさを感じておるのかも知れぬ。
「さてさて、皆様、お立会い」
いちころさんが、おどけて立ち上がる。
「魔貴族・現・序列第2位と。
魔貴族・元・序列第2位の、全盛期。
果たしてどちらが、強いのか?」
私は、椅子から転げ落ちると、大急ぎで後方にじゃんぷする。
鉄火場から、少しでも距離を置くため、じゃ。
ここまで来たら、流石に解るという物。
いちころさんの能力は、『骨を媒介として、死者を呼び戻す能力』。
そして、これから呼び戻されるのは、元魔貴族の序列第2位にして、龍族最強と言われた暴龍。
『GYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』
咆哮とともに、魔貴族邸がみしみしと崩壊する音が、背後で聞こえた。
その昔、魔王に最も近いと言われた邪龍。
……画竜点睛が、顕現したのじゃった。
スゴイぞー!カッコいいぞー!