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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔貴族編
172/205

第172毒 猛毒姫、バランサーになる

 *******************

あらすじ


オーダー「ババア、その牌だ。

     リーチ一発、平和ジュンチャン三色イーペーコー、ドラ31」


ぼつりん「」ぐにゃ~


 *******************


「さ、さあ、ボツリヌスよ。

 案内するのだ。


 わ、吾輩は、一体、誰を愛すれば良いのだ(・・・・・・・・・・)?」


 ……ど、どうしよ。

 セルライトが、良い笑顔でこちらを見ておる。

 セルライトは、あれじゃな。

 味方にすると頼もしいが、敵にするとやばすぎる。

 勿論、正着な手順を踏むならば、ニンニクに会わせるべきなのじゃろうが。

 会わせても、私の城が白い正義でべちゃべちゃになるだけじゃ。

 どうしたものか。

 うーむ……。


 魔貴族城に連れていくべきかどうか悩んでおると。


「……乗りかかった船だ。

 この案件が終わるまで、ボツリヌス……貴様に味方してやろう」


 後ろからふらりと現れたのは、剛力殺じゃった。

 どうやら私が希望する落着点に落ち着くように、手助けしてくれるらしい。

 こんな素敵な奴を脳筋とか言っていた、昔の私を叩いて叱ってやりたい。

 多分『豚公爵と猛毒姫』の中で、バイタビッチ・ダブルピースの次に話が通じる奴じゃあないか。


 ……因みに下から2番で話が通じないのは私じゃろう。

 そして下から1番は、なんというか、言わずもがなじゃろう。


「ぶひょぶひょぶひょ」


 笑って居る。


############################################


「それにしてもオーダーよ。

 39回転って。

 いくら『10本の指☆完全回復記念』とはいえ、めちゃくちゃじゃあないか」


「え?

 ボツリヌス様。

 そうはおっしゃいますが。


 39回転は、基本料金ですよ?」


「え?」


「え?」


「……基本料金?

 え?

 込み込みぷらんじゃなくて?」


「そうですよ。

 屋敷に帰ったら、ちゃんと追加料金を清算してくださいね☆」


 ぎえええええ。


 てっきり(みそぎ)は済ませたと思ったのに。

 例の39回転は、オーダーから言わせれば、最低限の回転数だったらしい。

 屋敷に帰って、私の話を聞いてから、ゆっくりと追加の回転を加えるつもりなんじゃろう。

 ふえええええ。


「それにしても、あんな肉塊の状態で、どうして周りの状態が分かったんですか?」


「ああ。

 それはのう、『5感開放』というすきるが……」


「……はあああああああああああ⁉」


 ……いきなり、叫ばれた。


 あ、あれ?

 いきなり虎の尾っぽを踏んだらしい。


「……ボツリヌス様、そのスキルは、今すぐ捨ててください」


「……え、え?

 なぜじゃ、便利なのに」


「……『5感開放』のスキルは、人間には早いスキルと言われています」


「に、人間には早いスキル?」


「使うと脳がついていかずに、七孔噴血して果てるのです」


「し、七孔噴血、とな」


 な、なるほど、それは確かに声を荒げてしまうのも無理はない。

 ふむ、思い起こしてみれば、5感開放は、使うたびに相当に精神をがりがり削っておった。

 人間の体で使っていたら、体中の孔という孔から、血を吹いて死んでおったのかもしれぬ。

 はんばーぐだったから、助かったのじゃろう。

 むしろ中がじゅーしーになって、ちょっと美味しくなったくらいで済んだのじゃ。


「そ、そんな恐ろしいすきるが、あるんじゃのう」


「まあ、ハズレスキルはむしろメジャーですよ。

 5感開放なんて、その代表格です。

 寝ぼけて使って、死んじゃうスキルですね」


 なにそれこわい。

 と、そんな話をしていると。


「……あそこですか」


「ふむ。

 魔貴族城じゃ」


 我が魔貴族城が見えてきた。


#########################################3


「はじめまして、ピッグテヰル公爵、で良いのかな?

 僕の名前はニンニク。

 この城では、ボツリヌス様の補佐をしているよ」


「ふ、ふむ、ふむ、ふむ。


 成程。

 つまり、貴様が(・・・)

 ()全ての(・・・)発端だな(・・・・)


 城に招き入れられたセルライト、バトラー、シャーデンフロイデ。

 そして、私とオーダー。


 5人に向かい合うのは、ニンニクと、はーれむ3兄弟。


 ……なんとも不安なめんつ。


 因みに外野では、シツジとうんこ好きと剛力が、はらはら状況を見守っておる。


「え?え?

 お、お母様って、結婚していたんですか⁉」


 息子を自称するうんこ好きが、小さな声で失礼な言葉を吐いておる。

 まったく、私の魅力ならば、当り前じゃろう。

 見よ、このたまご肌を!


「……最初に言っておくけど。

 魔貴族になったものにとって、自領を守るのは権利であり義務だ。

 僕はその手伝いをしたに過ぎないよ」


「ほ、ほう。

 つまり(・・・)()貴様の正義というのは(・・・・・・・・・・)


 幼女を浚って(・・・・・・)監禁すること(・・・・・・)なのだな(・・・・)?」


「……必要とあれば、ね」


 セルライトの訳のわからない威圧を受けても、ニンニクは平然としておった。

 流石はニンニク。

 ちょっと鼻が高いぞ。



「というか、そういう水掛け論は、止めにしないか?

 僕から一つ、提案があるのだけれど」


「ほ、ほう、面白い。

 言ってみろ」


「ボツリヌス様には、引き続き魔貴族として働いてもらう。

 但し、働く場所は、ピッグテヰル公爵領に移ってもらう。


 ……これで、どう?」


 ……お、おう?


 つ、つまりこれは、私がピッグテヰル公爵領に帰ってもいい、という事じゃな。

 私は名前だけの魔貴族となり。

 後のことは、ニンニクたちが何とかする、という事じゃろう。

 しかし、大丈夫か?

 私がいなくても、本当に大丈夫か?


 私は、自分が魔貴族領で行ってきた大変な仕事の数々を思い出す。


 うむ。

 大体が、酒池肉林じゃった。

 いなくても大丈夫じゃな、私。


 それにしても、ニンニクの提案は、一方的に魔族側に不利な様に思えるが。


「……ボツリヌス様には、いろいろ、苦労を掛けたからね。

 本当はお飾りでも、いてくれた方が助かるんだけれど。


 これ以上はもう、申し訳ないかな」


 ニンニクはそう言って、私に笑いかけた。


 うう。

 やっぱり、良い奴じゃ。

 私の体が2つあればいいのに。


 私がぽろぽろと涙をこぼす。


「奥様……」


「ぼつりん……」


「ボツリヌス様……」


「とろこね……」


 両陣営、少しだけ和やかな雰囲気になった。


 なんとなくいい感じで、話がまとまりかけたところで。



「……ぶひょ、ぶひょ。


 ぶひょひょひょひょ(・・・・・・・・・)ひょひょひょひょひょ(・・・・・・・・・・)!」


 ……どこからか、不穏な笑い声が、聞こえた。



()何とも(・・・)笑わせるではないか(・・・・・・・・・)!」


 爆笑しながら、手をぱんぱんと打つと。

 ぎしぎしと、座っている椅子が悲鳴を上げておる。


お涙頂戴(・・・・)そう言いたい所だが(・・・・・・・・・)……」


  一頻り笑った後。

 奴は、とびっきりの笑顔で、こう言った。



「……じょ(・・)譲歩した(・・・・)つもりか(・・・・)


 ()それで(・・・)?」


 なんという、まじきちすまいる(・・・・・・・・)


 声を上げたのは、当然(・・)


 ……我らが(・・・)話が通じない人(・・・・・・・)なんばーわん(・・・・・・)じゃった(・・・・)

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