表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔貴族編
170/205

第170毒 猛毒姫、久しぶりに会う

 *******************

あらすじ


 これはもはや。

 梅干しと言うより、Botulinです。 


 *******************


 屋敷に居る私を担いだ剛力は。

 そのまま開いている窓に向かって私をぶん投げた。


 おお。

 梅干しが、空を飛んでおる。


 と思ったら、剛力もいつの間にか私の横で飛んでおった。



 こ、此奴。

 ぶん投げた私の後からじゃんぷして、追いついたというのか。

 そ、そして、私の上に、乗るつもりか!

 桃〇白のように!!


「……いくら何でもそれは侮辱になるな。

 やめるか」


 私の声を聞こえていないはずの剛力であるが。

 自分でなんだか自己完結して自重しておる。

 ……お、おい。

 乗らないのか?

 桃白〇のように!!


 それは、逆に侮辱じゃぞ!?


 今度、ぜひやってもらおう。


 浪漫じゃ。




 ずーーーん!




 地面に着陸すると同時に、私を抱きかかえてなるべくだめーじが無いようにしてくれた剛力。

 此奴の株が、私の中で鰻登り。

 

 そして、目の前には。



「ななな……」


「にゃにゃにゃ……」


 驚愕するバトラーと、シャーデンフロイデ。



 そして(・・・)


「……ぶひょ、ぶひょ。


 ぶひょひょひょひょ(・・・・・・・・・)ひょひょひょひょひょ(・・・・・・・・・・)!」



 ああ。

 懐かしい、『ぶひょひょ』じゃ。

 セルライト(・・・・・)ピッグテヰル公爵様(・・・・・・・・・)、じゃ。


「き、貴様、魔貴族第2位、『聳え立つ奈落』剛力殺、だな。


 ど、どうした。

 貴様は、何も、か、関係ないだろう?」


 ……お。

 流石はセルライト。

 強さが分かっておるのじゃろう。

 いきなりぶっこむことはしないようじゃ。


「関係なくは、ないな」


 剛力は、きゃっちした私を地面に、とん、と置くと。

 静かに、宣言した。


「これが、ボツリヌスだ」








 ……場が、静寂に支配される。



「「「「は、はああああああああああ!?」」」」


「ぼ、ボツリヌス様!?

 く、首は?


 ボツリヌス様の、首は!?」


 後方からオーダーがやってきて、私をぺたぺたと触りながらおろおろしておる。

 いや、見ればわかるじゃろう。

 ないわ、そんなもの。


「ば、馬鹿な。

 あ、穴は?


 穴はないのか!?」


 セルライトもぺたぺたと私を触っておろおろしておる。

 だから、ないってば!


「「う、う、うあああああああああああああ!!」」


 2人が顔を覆って、膝を付いた。

 大分過剰に悲しんで居るようじゃ。


「……シャーデンフロイデ、コードネーム:餅つき」


「了解にゃ!」


 セルライトが号泣したのを確認したバトラーが、すかさず剛力をたーげっとに定めた。

 ふむ。

『餅つき』で、大体予想がついたぞ。


 多分バトラーが『雷魔法』で相手を動けなくして。

 そこにシャーデンフロイデが物理攻撃を加える。


 ということを、繰り返す(・・・・)、のじゃろう。

 

 まさに、餅つきじゃ。


雷内兎(ウサ・イン・ボルト)!』


 轟音とともに、剛力に雷魔法が落ちる。

 動きが止まった剛力に、シャーデンフロイデが殴り掛かる。


 獣人のヒトケタによる打撃じゃ。

 いかに剛力といえど流石に……。


「にゃ、にゃああああああああああ!」


 だ、だめじゃ。


 またもや剛力は一歩も動いておらぬ。

 そして。

 シャーデンフロイデの右拳の方が、壊れた。


「次、行きますよ!」


「ま、待って!

 これ、意味ないにゃ!」


 シャーデンフロイデの声を無視して、2発目の『雷魔法』が剛力に落ちる。


「う、うにゃああああああ!


 にゃあああああああああああああああああ!」


 同じく、剛力を殴りつけるシャーデンフロイデ。

 そして、今度は左の拳が砕ける。


「さあ、どんどん行きますよ!」


「ま、待って……」


 そこからさらに、シャーデンフロイデの右足と左足が砕けて、『餅つき』は終了した。


「なんという強さ……これが、魔貴族……」


「いや、もっと早く分かって欲しかったにゃ……」


 楽しい餅つきこんとをしてくれた2人を一瞥すると。

 剛力は、豚公爵に向きなおる。

 が、相変わらず剛力は動かない。


 どうやら、攻撃に関しては甘んじて受け入れる心積もりのようじゃ。

 そういう事しそうな奴じゃな。

 無駄に男らしい。


 あれ?


 ……もしかしたら、此奴ら。

 私を殺された、と思っておるのかもしれぬ。


 っていうか、普通に考えたら、まあ、そうじゃろう。

 肉団子を指さして、『これがボツリヌスだ』と言っておるわけじゃし。


 ここは、ちゃんと剛力に説明してもらわなくては、な。



「さて。

 それでは、我の話を聞いてもらえると……」


 そういうと、剛力は、言葉を切った。




 ……私に縋って泣いておったブギーマンが。


 泣くのを、止めておった。


 そして。


「もう……良い……」


「え?」


 いつの間にか。



 がおおおおおおおおおん!



 剛力を、ぶん殴っておった。


 当然、オーダーの拳が壊れ……。


「ぐぶうううううう!?」


 ……ずに、剛力が(・・・)吹き飛んだ(・・・・・)


 いくつかの木や岩を砕いて環境破壊をする剛力。


「な、なんだ……このパワーは……!?」


 驚いておる。


 ちょ、ちょっとまて、魔貴族でも手も足も出なかった剛力を。

 ふ、ふ、吹き飛ばす、じゃと!?


 オーダーを見ると。


 なんというか。


 完全に、れいぷ目に、なっておった。




「もう、これで……。


 終わってもいい(・・・・・・・)……」


 ……え?

 ……終わっちゃ駄目じゃよ?



 これはもしや、オーダーの奴、『オーダーさん』に、なりかけておる!


 このままじゃ、剛力が、ボ。され兼ねん。


 く、やばい!

 


 私がふるふる震えておると。



「は?

 え、この肉塊、なんで震えて……。


 も、もしかして、奥様……生きて……」



 バトラーが気づいてくれた。


 私は跳ねるようにぴょんぴょんと弾むと、2人の間に割り込んだ。


「……!


 『光魔法』!!」


 見計らったように、完璧なたいみんぐで光魔法を使うバトラー。

 そして。


「ふ、二人とも、やめよ!


 私は、この通り、無事じゃ!」


 私は、オーダーと、剛力の中央で。

 元の姿に戻ることになった。

 2人は、ぽかんとした顔で、私を見ておる。


 よ、よし。


 なんとか、2人を止める事が出来たぞ。

 良かった良かった。

 

 喜びながら、自分自身を確認する私。


「え、あ、あれ?」


 球体から、『光魔法』を使われて、元の姿に戻った私は。


 何故か。



 ……逆立ちの姿で(・・・・・・)復活しておった(・・・・・・・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ