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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔貴族編
169/205

第169毒 猛毒姫、梅干す

 *******************

 あらすじ


 ゴキブリは頭を切られてもすぐには死なない、が。

 その状態で数週間経過すると、流石に命が尽きるという。



 因みに、死因は。




 餓死(・・)


 *******************


 おい。

 なぜごきぶりを例に出したのじゃ。


 うう。

 でも、確かに、このままでは私、餓死しちゃう。 


「……マザー、ハンバーグ、食べられないの?


 ……えい」


 シツジが私に、ハンバーグのデミグラスソースをかけてくれた。

 なるほど、液体であれば表面から栄養に消化できるやもしれぬ、と思ったのじゃが。


 駄目じゃ、消化できぬ。


 それどころか、いよいよ、美味しそうな巨大ハンバーグになってしまった。

 まるで、子供の浪漫じゃ。


############################################


 数日が経過した。


「……」


「……」


「……」


「……」


 シツジと、ニンニクと、なぜかまだ屋敷に居る剛力と、なぜかまだ屋敷に居るうんこ好きが。

 酸っぱそうな顔でこちらを見ている。


「……マザー……一体、僕は、どうすれば……」


 酸っぱい顔をしながら、白米を貪るシツジ。


「ボツリヌス様……もう、無理なのか……」


 酸っぱい顔をしながら、白米を貪るニンニク。


「くそ、一体どうすれば良いんだ!」


 酸っぱい顔をしながら、白米を貪る剛力。


「誰でもいい!

 お母様を助けることのできるものは、いないのですか!」


 酸っぱい顔をしながら、白米を貪るうんこ好き。


「……」


 私は五感開放で、自分の姿を確認する。


 綺麗なまん丸だった私は、数日間の絶飲食を経て、すっかりしわしわになっておった。


 うん。


 どう見ても。


 大きな、梅干しじゃった。



 ……て言うかお主ら、私をおかずに飯を食うな。

 


 しかし、そろそろ、流石にやばいのう。

 絶食はまだいけるが。

 絶飲食となると、もう限界に近いぞ。


 ……そうじゃ、バトラーじゃ。

 彼奴さえ居れば、元の姿になれる。


 幸い私には五感開放があるからのう。


 破ー!


 ……お、東の方から、何か桶みたいな物を背負った坊主が一人で歩いてきておる。


 いや、東を見ても意味が無いんじゃった。

 西側の、人間界側を探さなくては。


 破ー!


 む、いたいた、バトラーじゃ。

 あれ、結構近くに居るのう。

 もしかして、ここから数㎞も離れておらぬぞ。


 私は視界を更に広域にしてみる。


 お、近くにはセルライトもおるようじゃ。

 更に遠くには、オーダーもおる。

 更に遠くには。

 

 ……おやおや、あれあれ、なんじゃなんじゃ。


 ぐ、軍隊が出動しておるぞ。


 そこには。


 魔族領を蹂躙せんとばかりの豚公爵軍が、展開しておった。


###########################################


 とりあえず五感開放で聴力を近くまで持っていくことにした。


「皆の者、偉大なるセルライト・ピッグテヰル公爵様より、訓示がある!

 心して聞くように!!」


「「「ワーワー!」」」 


「ぶひょ、ぶひょ!

 み、皆の者、奴らはわ、吾輩の妻、ボツリヌスを誘拐するような真似を、し、し腐りおったのだ!!


 わ、吾輩の妻ということは、き、貴様らの母親も同然!


 母親を攫う、そ、そんな奴らを、き、貴様らは一体どうする!?」


「「「白き正義を! 白き正義を!」」」


「い、今から侵攻する街には、老女が、幼児が、中年が、少女が、壮年がいるだろう!

 そ、そんな奴らを、き、貴様らは一体どうする!?」


「「「白き正義を! 白き正義を!」」」


()そうだ貴様ら(・・・・・・)

 今こそ奴らの口腔内に(・・・・・・・・・・)

 直腸内に(・・・・)

 子宮内に(・・・・)


 吾輩達の(・・・・)白き正義を(・・・・・)()注ぎ込んでやるのだ(・・・・・・・・・)!!」


「「「白き正義を(・・・・・)! 白き正義を(・・・・・)!」」」


 あっ。

 これ、だめな奴じゃ。



「先輩……ま、マジですかコレ?」


「ああ、お前新入りか。

 これは、なんというか、一種のノリだ。

 そして公爵様は、アレだ、反面教師だ。

 絶対変なこと、すんなよ。

 同類と思われるぞ」


「う、うす!」


 と思いきや、意外と統率がとれていそうな声も聞こえてきた。

 それにしてもセルライトの軍隊は、すっかり意気も軒昂じゃ。


 ……いや、これ、やばくないか?

 町が蹂躙されるぞ。

 私がぴょんぴょん飛び跳ねて危険を知らせておると。


「……西からの軍隊は、ボツリヌスの仲間か」


 そんなことを言って立ち上がるものがいた。


 ……案の定、剛力殺じゃ。


「え、軍隊?」


「どうやらボツリヌスを取り返しに来たらしい。

 我がともに、向かおう」


「ま、待ってください、剛力様。

 ボツリヌス様は魔貴族なのです。

 この領地から離れていただくわけには……」


「此奴は、もう死ぬぞ?


 貴様の都合で連れてこられて。

 貴様の都合でこんな姿になり。

 貴様の都合でここで飼い殺しにするつもりか?」


「ぐ、ぐううっ」


 ニンニクは、2の句が告げぬ。

 ……ちょっと早口言葉みたい。

 ニンニクハニノクガツゲヌ。


「行くぞ、ボツリヌス」


 剛力が、私を頭の上に持ち上げると。


「破ー!」


 凄い風が巻き起こり。


 そして(・・・)その状態で(・・・・・)既に(・・)


 セルライトの真ん前に(・・・・・・・・・・)いた(・・)

 正義の主人公:豚公爵様、やっと戻ってきたんじゃー

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