第168毒 猛毒姫、夜ご飯はハンバーグにする
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あらすじ
ぼつりん の えかきうた!
「♪まーるかいてー♪」
「♪あっというまに、ぼつりーん♪」
ぼつりん「さあ、みんなも、描いてみよう!」
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みんなは上手に、描けたかな?
まあ、私の似顔絵は良いとして。
魔界の土を鑑定してみる。
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魔界の土
魔素の消え去った魔界の土。人間界の土と、何も変わらない。
アイデンティティ・クライシス。
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あいでん……なんじゃろ。
まあ良い。
なんと、トレントの奴。
とうとうこの一帯の魔界の土を。
人間界の土と、変わらん状態にしおった。
大した奴じゃ。
……もしかしたら人間界の世界樹も、人間界の土にある魔素を吸収しておるのかもしれんのう。
いや、ここまで出来る奴は、人間でもおらぬ。
”……ハハウエ 木 ガンバッタヨ……”
ああ、確かに、滅茶苦茶頑張ったのう、お主。
……仕方あるまい、認めようじゃあないか。
此奴も、私の子供であると!!
私が表明を示すようにぴょんぴょん跳ねておると。
「……ボツリヌスよ、帰るぞ」
剛力に、がしっと止められた。
「今後どうしていくか、本当に相談していかなくてはいけないですね……」
横でうんこ好きがため息をついた。
確かに。
こんな姿になってしまったが、戻る算段はある。
算段が、あるにはあるが。
光魔法……というか、バトラーがおらぬとどうしようもないからのう。
ふむ。
バトラー抜きの今。
さて、どうすればよいか。
私も粛々と考えながら、ころころと転がっていった。
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転がりながら気付いたことじゃが。
今の私って、今までの私よりも、相当運動性能が上がっておる。
跳ねれば自身の数倍の高さまで飛べるし。
転がれば相当早く転がれる。
私、もしかして。
……このままで良くないか?
空魔法でなんとなく”ほばりんぐ”しながらそんなことを考える私。
「このままではお母様、排便も出来ませんからね。
大変なことです」
帰りしな、うんこ好きがそんなことを言った。
いや、それで大変なことになるのはお主だけじゃ。
確かに私、肛門も尿道もないから。
うんこもおしっこも無い世界におる、といって良い。
もはや、あいどるじゃな。
それにしても、今の姿見たら、シツジはどんなりあくしょんをするじゃろうか。
気絶とかしないじゃろうか。
はらはら。
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なんだかんだで、無事に屋敷まで帰ってきた。
剛力と交代で私の守護をしていたニンニクも起きだしてきた。
「……なにこの肉団子?」
ニンニクは、とても正確な言葉を吐いた。
「……あ、マザー。
……お帰り……」
シツジは、私の姿に、特に反応した様子もなく。
球体の私に近づくと、ぎゅっと抱きしめてきた。
……此奴、もしかして。
私を、汗の臭いで識別しておらんじゃろうな?
「え?
これがボツリヌス様?
え?
これ、生きてるの??」
「……マザー。
今日はご飯、何がいい?」
ニンニクが驚愕の声をあげるが、シツジは普通の顔でそう言った。
まるで、晩御飯でも決めるかのように。
あ、晩御飯を決める台詞じゃった。
それにしても、食事か。
ふむ。
久しぶりじゃし、カレーとか食べたいのう。
「……」
あ。
私、しゃべれぬ。
「……別に、注文は無い?
じゃあ、ハンバーグにする、ね……」
「ああ、ハンバーグ、良いね」
「私もハンバーグ、食べても良いですか?」
「我もハンバーグが食べたいと思っておったところだ」
シツジの提案に、ニンニクとうんこ好き、剛力までが同意する。
いや、お主ら。
絶対、私を見て食べたくなったじゃろう、はんばーぐ。
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夕ご飯になった。
「……腕によりを、かけた……」
シツジが、少しだけ胸を張っておる。
これは、自信満々のぽーずじゃ。
相当美味しいはんばーぐに仕上がったのじゃろう。
楽しみじゃ。
「これは美味しそうだ」
「良い香りですね」
「では、頂くか」
剛力の言葉を皮切りに、各々が頂きますを言って食事を始めておる。
……私は言葉もしゃべれぬから、頂きますも言えぬが。
まあ、そこは略式で許してもらおう。
さあ、お子様の大好物、はんばーぐじゃ。
やったー。
頂きまーす!!
……あれ。
そういえば、私って。
ご飯、どこから食べれば、良いんじゃろ。