第155毒 猛毒姫、NAISEIする
NAISEI回というのは、作者の頭脳力が試されますからね。
ふふふ。
NiOさんの溢れ零れてまろび出る豊富な知識量に、惚れてしまっても知りませんよ?
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前回のあらすじ
ボツリヌス様の知識チートが火を噴く!(予告)
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「さて、ニンニクよ。
知恵ある者が生きていく上で必要な物は3つある。
それが一体何か、分かるかのう」
「生きていく上で必要な物が3つ?
なんだろう」
「衣・食・住じゃ」
「イ・ショク・ジュウ??」
「ふう、やれやれ。
衣食住も知らないとは。
説明しよう。
まずは“衣”、これは衣、即ち服の事じゃ」
「フク? フクとは一体……!?」
「体に纏う布の事じゃ」
「そ、それに一体何の意味が」
「温かいし、風邪とかひかなくて済む」
「た……確かに!!
そ、そんな素晴らしい物があったなんて……おい、仕立て屋!仕立て屋はいるか!?」
「はい、ここに」
「貴様、フクの事を知っているか?」
「フク? フクとは一体……!?」
「体に纏う布の事だ」
「そ、それに一体何の意味が」
「温かいし、風邪とかひかなくて済む」
「た……確かに!!
そ、そんな素晴らしい物があったなんて……今すぐこの国の人数分、仕立ててきます!」
「こんな素晴らしい情報があったなんて……流石はボツリヌス様!」
「全然たいしたことじゃないさ。
知識として知っていたことを披露したまでよ。
更に、“住”についても説明しようか。
これは住、つまり家の事じゃな」
「イエ? イエとは一体……!?」
「人が住む、大きな箱みたいなものじゃ」
「そ、それに一体何の意味が」
「雨とか凌げるし、風とかも遮る」
「た……確かに!!
そ、そんな素晴らしい物があったなんて……おい、大工!大工はいるか!?」
「はい、ここに」
「貴様、イエの事を知っているか?」
「イエ? イエとは一体……!?」
「人が住む、大きな箱みたいなものだ」
「そ、それに一体何の意味が」
「雨とか凌げるし、風とかも遮る」
「た……確かに!!
そ、そんな素晴らしい物があったなんて……今すぐこの国の人数分、作ってきます!」
「こんな圧倒的な知性があったなんて……流石はボツリヌス様!」
「全然たいしたことじゃないさ。
私が考え付かなくても、誰かがいつかは気が付いたことじゃよ。
最期に、“食”についても説明しようか。
これは食、つまり食べ物の事じゃな」
「タベモノ? タベモノとは一体……!?」
「食べる物の事じゃ」
「そ、それに一体何の意味が」
「食べると美味しいし、死なない」
「た……確かに!!
そ、そんな素晴らしい物があったなんて……おい、食べ物屋!食べ物屋はいるか!?」
「はい、ここに」
「貴様、タベモノの事を知っているか?」
「タベモノ? タベモノとは一体……!?」
「食べる物の事だ」
「そ、それに一体何の意味が」
「食べると美味しいし、死なない」
「た……確かに!!
そ、そんな素晴らしい物があったなんて……今すぐこの国の人数分、揃えてきます!」
「こんな才能溢れる考えがあったなんて……流石はボツリヌス様!」
「全然大したことじゃないさ。
既存のしすてむを、少し応用しただけじゃよ」
「さすなろ!私を踏んづけて下さい!」
「全く、君には敵わないなあ」
「とろける様だよ子猫ちゃん」
「ぬふふ。
ぬははははは。
ぬわーっはっはっは!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
(´∀` )「なんちゃっての!なんちゃっての!」
私が一人で妄想しておると。
机の上に、良く分からん紙の束が積み上げられた。
「現在、ボツリヌス様の領地で最も問題になっているのは食糧問題だからね。
とりあえずこの地域で取れる小麦の出来高と収益、租税について説明していくよ」
……あれ?
「な、なんじゃそれ。
良く分からぬ。
そ、そうじゃ、それより『悪魔の作物』とか呼ばれている野菜は無いか?」
「ジャガイモのことかな。
当然育成状況の良くないボツリヌス領では大量のジャガイモを育てているよ」
「肥料革命とか知っておるか」
「腐葉土のことかな、肥溜めのことかな。
当然育成状況の良くないボツリヌス領では大量の肥料を使っているよ」
「えーっと、二期作とか二毛作という畑の使い方があって」
「当然育成状況の良くないボツリヌス領では以下略」
「……」
「……」
「……」
「それじゃあ主な穀物の作付面積と収穫割合について説明するよ」
「嫌じゃーーー!!」
「だろうね」
「前世知識でちーとしたいのに!
NAISEIしたいのに!!
『さすなろ』したいのにいいいい!!」
「何言ってんだ此奴」
私は床に転がってじたばたする。
みじめじゃ。
「まあ、ボツリヌス様に期待していたわけではないよ。
食糧問題なんて、そうそう解決するものじゃないし」
「ぐぬぬ」
「それに例え新しい作物や新しい肥料、新しい栽培方法を知っていたとしても。
直近の、まさに今現在の食糧不足の改善には繋がらないからね」
「ぐぬぬぬぬ」
「ほら、邪魔だからさっさとあそこで酒池肉林してきなさい」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ」
くそ、いちいち最もじゃ。
くそうくそう。
悔しい……。
考えれば考えるほど。
前世の知識ちーとは使えぬし。
考えれば考えるほど。
……解決方法は、あの魔法を使う以外、無いことが分かる。
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「こんな斬新な魔法があったなんて……流石はボツリヌス様!」
「全然たいしたことじゃない。
いや、まじで……」
前世ちーとがしたかったのに。
結局最後に頼るのがこの世界の魔法とは、なんとも情けない。
自分にがっかりじゃ。
はあ……。
「まず、この樹液自体が非常に美味しくて。
しかも、後からたくさんの昆虫達が集まってくると言う、まさにこの領地にうってつけの魔法だよ!」
私の提供した魔法は勿論、蜜魔法魔法陣じゃ。
近隣の村にある木の一本にとりあえず魔法陣を書いてみると、村人全員が泣いて喜んでくれた。
ちなみに何故かいけてるめんず達も一緒に来ておる。
「さすなろ!私を踏んづけて下さい!」
「全く、君には敵わないなあ」
「とろける様だよ子猫ちゃん」
「私は悲しみの涙でとろけそうじゃ」
まあその後、村の死亡率が激減したと言う喜ばしい情報が舞い込んではきたのじゃが。
はあ。
私がやりたかったのは、こういうことじゃあないんじゃ。
やりたかったのう。
NAISEI……。
ちゃ、ちゃんと解決はしたし(震え声)。