第153毒 猛毒姫、酒池肉林する
本編を書いたのが、1か月ぶりという。
どんな話だったかしら。
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前回のあらすじ
鼻スパ決定。
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うむ。
という訳で誘拐された。
今の私と言えば。
ニンニクに捕まえられて、一緒に空を飛行しておる。
それにしても、思わず声魔法魔法陣に助けを求めてみたが。
もしかして、このえすおーえす、あんまり意味がないんじゃあないか?
セルライトは爆笑はしても助けに来てくれないであろうし。
バトラーも「自業自得でしょう」とか言いそうじゃ。
シャーデンフロイデなんかは、今頃私の『糞こら』を作って喜んでおるじゃろう。
まともに助けに来てくれるのは、オーダー位な気がするが。
多分オーダーに助けられた時が、私の命の終わる時じゃ。
助けに来るのか殺しに来るのか分からぬ。
……それにしてもニンニクの奴、何故私を拉致るんじゃろ。
あまり理由が見当たらないぞ。
一番ありそうなのは、13魔貴族の1柱、『北真倉猿夢』を倒したことへの復讐、か。
しかし、それだったら私と会った瞬間にさっさと殺してしまえば良いはずじゃし。
……と言う事は、もう理由など1つしかない。
……夏の人魚を思わせる、美しい私の玉子肌が狙いなんじゃろう。
いや、吸血鬼じゃから、まーめいどの血……じゃなかった、私の血、か。
なんと言う罪な女じゃ。
罪な幼女。
さて、大体理由は分かったとして、一体どう対処すれば正解なのか。
ふむう。
まあ、なるようになるか。
どうせニンニクからは逃げられぬし、空の旅を楽しむこととしよう。
お、あそこに見えるのは、デリケート山脈か。
デリケートラインを超えると言う事は。
……魔界へ向かっている、ということか。
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私、いん、魔界。
なんだか普通に魔界に来てしまったが。
誘拐された先は、でっかいお城じゃった。
「それじゃあ、くつろいでね、ボツリヌス様」
ニンニクはそう言って、どこかに消えて行った。
ふむ。
……え?
くつろいでね、と言われても。
何か、あぷろーちとか、無いのか?
何で拉致されたのかの理由説明とか欲しいんじゃけど。
私があわあわしておると。
「失礼します」
魔族のめいど達が現れた。
皆、角があったり翼があったりで個性的じゃ。
彼女らは銘々に豪勢な食事を手に持って。
部屋の真ん中にある机の上に、それらをどんどん並べておる。
ぱ、ぱーてぃーでもあるのか?
「それでは、どうぞボツリヌス様、お食べください」
「え、私?」
「はい」
はいじゃないが。
どうやら、私だけのための料理の様じゃ。
ど、毒入りなのか?
しかしのう。
毒入りだとしてもこれだけ豪華な食事を用意してくれたのじゃし。
食べないと、失礼にあたるのう。
ぱくり。
もぎゅもぎゅ。
美食じゃ。
「え、普通に滅茶苦茶美味いんじゃけど」
「それは良かったです」
メイドは笑顔を浮かべると、虚空に向かって手を叩いた。
な、なんじゃ?
私が身構えると、今度は男の魔族達が現れた。
こ、殺される?
びびっておると、男たちが、私に傅いた。
「ボツリヌス様、どうぞ私をお好きなようにお使いください!」
「君がボツリヌス様? まるで奇跡みたいに可愛いね」
「とろける様だよ子猫ちゃん」
美男子達じゃ。
なんか恰好良い男たちが、恰好良い台詞とともに、私の周りに侍っておる。
……あ、分かった。
これ、上げて落とすたいぷの奴じゃな。
良かろう、そっちがそういうつもりならば、こっちだって乗っかってやろうじゃあないか。
私は呵々大笑すると、酒池肉林の宴を始めるのであった。
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酒池肉林が始まって数日が過ぎた。
「ボツリヌス様、お慕い申し上げております!」
「全く、君を見ていると飽きないなあ」
「とろける様だよ子猫ちゃん」
相変わらずのはーれむ。
最高じゃ。
「楽しんでいるかい? ボツリヌス様」
そんなことを思っておると、初日から姿を消していたニンニクが現れた。
「うむ、限界まで楽しんでおるぞ!
それで、お主が現れたと言う事は、とうとう落とす時が来たのじゃな!」
一体どんな酷い仕打ちが待っておると言うのじゃろう。
わくわく。
「……は? 落とす時?」
ニンニクがぽかんとしておる。
あれ。
なんじゃこの空気。
「む?
これから私の拷問とか処刑とかが始まるんじゃろ?
強制的に太らせた私の肝臓を食べたりするんじゃろ?」
「しないよ!
発想が怖いよ!」
違ったようじゃ。
と言う事はやはり。
「ならば、私という青い果実が狙いと言う事か。
この美しい玉子肌が!」
「No Thank you」
綺麗な発音で拒否された。
何故じゃ。
「……え、まさか、ボツリヌス様、なんで此処に呼ばれたのか分かってなかったの?」
「え、う、うむ」
「ボツリヌス様、スキルに鑑定があるって聞いていたけど。
まさか自分のステータス、見てなかったの?」
「え、う、うむ」
ニンニクは眉間に指を当てて、溜息を吐いた。
「……じゃあ、ステータス、見て?」
「み、見て、と言われても」
「見て?」
「はい」
絶対零度の声色だったので、素直に従う私。
さて、すてーたすか。
そう言えば、自分の強さを見るなんて、1年振りくらいじゃな。
確か、聖剣を抜く時が最後か。
体力くらいは増えていて欲しいが、まあ無理じゃろうな。
どれどれ、どっこいしょっと。
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ボツリヌス・ピッグテヰル 女 6歳
二つ名:龍殺し・大聖女・猛毒姫・真の勇者・魔族大量虐殺者・13魔貴族『ボツリヌス・ピッグテヰル』・邪神『ボツリヌス』・豚の妻・魔法学者・天才の後継者
体力:100/100
魔力:10/10
スキル:鑑定LV3
魔力並列LV MAX
流量感知LV MAX
覇気相殺LV1
神との対話LV1
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ぱっと見、相変わらずの塵すてーたす。
体力すら1年前と変わっておらぬとは。
増えておるのは2つ名だけか。
まあ良い。
頭から読んでみるか。
ふむふむ。
ふむふむ。
ふむふ……。
あっ。