第141毒 猛毒姫、寝取られられる
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前回のあらすじ
勇者「あの子を解き放て、あの子は人間だぞ!」
豚公爵「黙れ小僧! 吾輩も人間だ!!」
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どうしてこうなった( ^ω^ )!?
「ちょちょちょ、ちょっと、お、お、落ち着いておくれ。
何だか、いろいろすれ違いがある様じゃ」
私が勇者一行に話しかけると。
「俺達がボツリヌスと別れて武国領へ向かっている時、サヨナラー公爵領への魔族侵攻の話を聞いたんだ」
とセンシが。
「大急ぎでサーモン王国へ向かっている最中に、トキシン侯爵領が魔族を撃退した話を聞いたの」
とマホウツカイが。
「きっとボツリヌスちゃんがやっつけたんだ、やっぱりモノホンですね!……と皆で話をしていたのです」
とソウリョが、それぞれ答えた。
……うむ、此処までは、特に間違っておらぬ。
「そのままサーモン王国で聖剣・ヘキレキを手に入れたんだ。
もう、僕たちは昔みたいに弱くない。
心も体も強くなった。
そのことを一番最初にボツリヌスに伝えたくて、この間トキシン侯爵家に訪ねて行ったんだ。
……そしたら!」
ユウシャが聖剣の柄に手を掛け、雷をばりばりさせながら話を続ける。
「ボツリヌスが……軍を出撃させることと引き換えに、ピッグテヰル公爵と無理矢理婚姻を結ばされた、と言うじゃないか!」
うーん。
それは、ちょっと違う、かも。
「トキシン侯爵は、奥歯を噛み砕いて悔しがっていたぞ」
センシよ。
お兄ちゃん、まだ奥歯、残っておったかのう。
「感極まり過ぎて、『あわわわ』しか喋れなくなっているメイドもいたわ」
ふむ、マホウツカイよ。
あれは、仕様じゃ。
「アフロもいました」
そうか。
成程、これで分かったぞ。
どうやら、トキシン家である事ない事吹聴されて。
私を助けるために、ピッグテヰル公爵領へ乗り込んでくれたらしい。
取り敢えず、早速私がしなくてはいけない事がある。
「私のために、争うのは止めて!!」
2人の男に取り合いされるとは。
うむ。
浪漫じゃ。
一生に一度は言いたい台詞らんきんぐ4位。
二生目で言う事が出来て、満足。
さて。
次に、戦力を確認しよう。
ピッグテヰル公爵とユウシャでは、恐らくユウシャの方が圧倒的に強い。
シャーデンフロイデとセンシでも、魔力4対魔力2のヒトケタで、センシに軍配が上がる。
バトラーとマホウツカイはいい勝負かもしれんが……魔力量でマホウツカイ有利じゃろう。
キサイとソウリョは……流石にお婆ちゃんではソウリョに勝てない。
ピッグテヰル一味、全敗が濃厚じゃ。
「……ぶひょひょひょ。
金を渡せば物を買える。
恩を渡せば恩を買える。
貸しを渡せば借りを買える。
お子様でも分かる、と、等価交換だ。
そんなことも、わ、分からないのか?
全く、馬鹿は、度し難い」
ピッグテヰル公爵は相変わらず煽っていく方針。
左にキサイ、両側後方にバトラーとシャーデンフロイデを侍らせて、本気で魔王みたいじゃ。
うむ。
圧倒的に不利なはずなのに。
ピッグテヰル公爵が負ける姿が思い浮かばんのが面白い。
ちなみにオーダーは、ピッグテヰル公爵、ユウシャ一行から私を守るかのように体で壁を作ってくれておる。
この部屋の武闘派の中で、1らんくも2らんくもれべるが低いと思われる彼女であるが。
既に、狂人版。
正直この状態のオーダーも、誰かに負ける姿とか想像がつかん。
多分今なら、雷とか普通に避けそう。
……は。
ぼーっとしている場合ではなかった!
「ま、待て、ユウシャよ!
だ、大丈夫じゃ、私は今の状態に満足しておる!!」
「「「「……!?」」」」
勇者一行が息を飲む音が聞こえる。
「ぼ、ボツリヌス、本気かい!?
彼奴を見てみろ!
周りにあんなにたくさんの女性を侍らせて……完全にハーレムじゃないか!
あんな男に、ボツリヌスを任せられるわけがない!!」
ユウシャがなんだか悲しそうな顔で叫ぶ。
……まあ、確かに、はーれむ状態じゃな、公爵。
「ふむ、はーれむか、その通り。
そして私も、そのはーれむの一員じゃ。
末席も末席の最低らんくで、側室扱いじゃがのう。
愛の言葉を囁かれたことも、大事にされたことも無い。
しかし、これで良いんじゃ。
公爵と一緒に居られるだけで、幸せなんじゃ。
今の生活で、私は満足じゃよ」
ユウシャを諌めようと、なんとか現状に満足していると説明するが。
「ぐ、ぐうう、ぐがああああああああああ!!」
ユウシャが泣き声にも似た、雄たけびを上げた。
あれ。
正直なところを正直な言葉で言ったつもりじゃが。
火に油を注いだ手応え。
「豚公爵は……」
「洗脳の名手……」
「クズ野郎が……」
他のめんばーも、唸る様にそんな言葉を囁いておる。
あ、もう駄目じゃ。
これは止められぬ。
すまぬ、ピッグテヰル公爵。
「よ、よく言ったぞ、ボツリヌス・ピッグテヰル!
なあに、末席とは言え、わ、私の妻だ。
し、しおらしくしておれば、そのうちまた『お情け』を、く、くれてやろう
ぶひょ、ぶひょ、ぶひょ!」
煽っていく方針。
『お情け』などと、どうとでも読み取れる言葉で煙に巻くとは。
ちょっとだけ、私の詭弁みたいじゃあないか。
ふと。
頬に一筋、熱い物が伝った。
……え?
ここで?
何故私は涙を流しておるんじゃ?
「ぼ、ボツリヌス様?
な、何故泣いているんです?」
横にいるオーダーも驚いておる。
いや、それが、私にも分からぬ。
……少し考えて、私は気が付いた。
煽る形ではあるが、ピッグテヰル公爵の今の発言は。
つまりは、この屋敷に居ても良いと言ってくれたような物じゃ。
いつ離婚を切り出されるか宙ぶらりんだった私。
自分ではそんなつもりは無かったのじゃが。
多分、それなりにすとれすが溜まっていたのかもしれぬ。
良かった。
私は、此処にいても、良いんじゃな。
「う、うむ。
こんな私なのに……ピッグテヰル公爵から『お情け』を頂けると言われたことが……う、嬉しくて、嬉しくて……」
ぽろぽろ涙を零しながら、喜びの言葉を口にすると。
「ぐ、ぐうう、ぐがああああああああああ!!」
ユウシャがとうとうぶち切れて、ピッグテヰル公爵に向かって聖剣を抜き放つ。
あれ。
私、また変な事言ってしまったか!?
このままでは、ピッグテヰル公爵がぼこぼこにされてしまう!
い、いや、まだ公爵が負けると決まったわけではないぞ。
そうじゃ、ユウシャの現在のすてーたすって、どんなもんなんじゃろう。
よし、鑑定してみるか。
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ユウシャ 男 13歳
二つ名:勇者・真の勇者
体力:88888888888 ↑up
魔力:88888888888 ↑up
スキル:逆境LV MAX
限界突破LV MAX
戦闘民族LV MAX
片思いからの祝福LV 1
NTR LV 1 NEW!
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体力魔力、ともに11桁か!
以前は7桁くらいだったはずじゃぞ……成長し過ぎじゃ。
本当に、本当に、頑張ったんじゃのう。
これほど”ちーと”なすてーたすを持つユウシャの前では、流石の公爵にも勝ちの目は無い。
……あと、どうでも良いが、なんか良く分からん技術が、たった今増えた様じゃのう。
えぬ、てぃー、あーるって、なんじゃ?
NiOさん は げんじつ から にげだした!
しかし まわりこまれて しまった!
げんじつ からは にげられない!