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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
豚公爵編
137/205

第137毒 猛毒姫、ビビデバビデる

 *******************


   「かいしゃぐらし!」のあらすじ


 会社生活部。

 それは会社の施設を借りて会社で食事を作り会社で寝泊まりする部活。

 辛い事も苦しい事もいっぱいある。

 そんな会社で暮らす少年少女たち(独り)のかけがえのない「日常」の物語。


 NIO「最近、会社が好きだ!

 そう言うと変だって言われそう。

 でも考えてみて欲しい。 

 会社ってすごいよ!!(白目)」


 *******************


「そこに正座しなさい」


「え、そんな本格的に怒られるのか?」


 お説教が始まった。

 室内で大魔法を使う事の危なさを。

 厭味を交えて説明してくれた。


 むむむ。

 勿論、そのあたりは調整して使ったのじゃが。

 ちょっとした人形劇を楽しんでほしかっただけなのに。

 ぐすん。

 それにしても、此奴みたいな奴、何処かにおった様な……。

 お婆ちゃんの説教を聞き流しながら色々考えておると、はたと気が付いた。

 高慢ちきなところが、イタコ仲間であった早坂の婆にそっくりじゃ。

 奴は口寄せの出来ない私を見下しており、犬猿の仲じゃったのを覚えておる。


 ……しかし今になって思い起こしてみると。

 此方から歩み寄っておれば、もっと違った関係が築けたかもしれん。

 嫌な奴じゃったが、言ってることは間違いのない正義の人じゃったし。

 実は私のことをそれなりに好いておったようじゃし。

 お別れの時には、泣いてくれたしのう。


 ……ふむ。


 なんだか、このお婆ちゃんが早坂の婆に見えてきた。

 そう思うとこの嫌味も、可愛らしく聞こえてくるから不思議じゃ。


 しかし、お婆ちゃんは何でこんなに死んだ目をしておるのじゃろうか。

 てっきり長い間寝たきりで娯楽に飢えていると思っておったが。

 良く考えたら此奴、いんどあ派じゃし、娯楽が魔法研究の様な奴じゃろうしのう。


 じゃあ、一体何故……。


「……人の話を聞かない小娘だなあ。

 ……もういいや、バトラー、ソコの紙とペン取って」


 私が全く話を聞いていないことに気が付いたキサイは、溜息を吐くとバトラーに指示を出す。

 受け取った用紙にぺんでさらさらと何かを書き込むと、私にそれを手渡した。


「ほら、これが陽魔法魔法陣だ」


「え? あ、ああ。

 ありがとう、御座います」


 突然の展開に戸惑うも、それを受け取る事にする。

 貰えると言うのなら貰おう。


「……ほら、目的を果たしたなら、もう部屋から出て行ってくれ」


 キサイは『しっしっ』と追い払う。

 私は猫か。


 何故だか彼女の言葉に、強烈な違和感を感じた。

 そして、それと同時に彼女のその瞳を見る。

 多分、此奴はもう私に会おうとはするまい。

 ここで出て行ってしまっては。

 彼女が一体何に心を痛ませているのか、もう二度と分からないのじゃ。


「……それにしても、陽魔法など、聞いた事もありません。

 素晴らしい発見ですね」


 なので、一応適当に会話を繋げてみた。


「……私と、メ……セルライト・ピッグテヰル公爵で編み出した、全く新しい魔法だからな」


 め……てなんじゃ。

 ふらぐか何かか。


 キサイは胸を張って、そんな台詞を吐いた。


 そして、一瞬だけ。


 ほんの一瞬だけ、その死んだ目に光が灯る。



 ……あ。

 そうか。



 此奴。



 ……ピッグテヰル公爵に(・・・・・・・・・)会いたいんじゃ(・・・・・・・)



 分かってしまえば当たり前の事。

 愛する者に会いたい。


 でも、何故会わないか。

 多分、自分がもう立てない体だから、恥ずかしくて会えないんじゃ。


「魔法陣、誠に有難うございます。

 何か、お礼をさせて頂きたいのですが」


「いらん。

 早く出て行け」


「そうだ、こうしましょう!」


 私は、キサイを空魔法でベッドから浮かび上がらせる。


「……は? は? は?」


 キサイはまるで自力で立っているかのように、地面に2本の足を付けた。

 実際は、私が重力を操作しているだけなんじゃが。


「今日1日に限り、私がキサイ様の足を務めさせて頂きます」


「……は? は? は?」


 私は笑顔を作って、元気よく声を上げた。

 今日は1日、道化を演じさせて貰おう。


会いに行きましょう(・・・・・・・・・)公爵の元へ(・・・・・)!」


「な、何故私が!

 公爵に!

 会わなくちゃいけないんだ!」


 おお。

 めっちゃ照れておる。

 そして、やはり。

 死んだ目に、完全に命が灯った(・・・・・・・・)


会いたい人に(・・・・・・)会いに行く(・・・・・)

 理由など(・・・・)必要ありましょうか(・・・・・・・・・)?」


「……私を見て見ろ。

 もう、こんなしわくちゃな(・・・・・・)お婆ちゃんだ(・・・・・・)

 彼奴に、幻滅されたくない」


「幻滅ぅ!?

 馬鹿を言うでない(・・・・・・・・)!!」


 思わず声を荒げる私。

 キサイもバトラーも驚いておる。


 全く。

 彼女は、自分の美しさについて、全く分かっておらぬ様じゃ。

 その皺こそが、彼女の生きてきた証であり、究極の美であると言うのに!


 確かに、キサイの顔の皺はそんなに良くは無い。

 笑い皺は無く、あまり感情を表に出してこなかったのじゃろう。

 意地悪お婆ちゃんの顔皺じゃ。


 しかし、彼女の手の皺は。

 年齢分だけ頑張ってきた者にしか出すことの出来ない、努力と根性の皺じゃ。

 とてもとても、美しい。

 あればっかりは、年齢を重ねない限りは出すことの出来ない、真の魅力である。

 見る者が見れば、分かるのじゃ。


「キサイよ、教えておこう。

 華の命は短いが(・・・・・・・)

 真に魅力的なのは(・・・・・・・・)華が枯れ(・・・・)

 実を結んで更に後(・・・・・・・・)


 熟れて食べごろに(・・・・・・・・)成る頃じゃ(・・・・・)!」


「ち、ちなみに、それはいつごろなんですか?」


 バトラーが好奇心半分に手を挙げて質問をした。


「痴れたことを聞くでない。

 勿論、百歳を超えてからよ(・・・・・・・・・)!」


 私は呵呵大笑する。

 嘘偽りのない私の答え。

 キサイには届くじゃろうか。


「……私からもお伝えしておきます、キサイ様。

 ピッグテヰル公爵様の決め台詞、『下は3歳から上は95歳まで(・・・・)』。


 キサイ様が引き籠ってから後。

 大奥様の誕生日が来るたびに、その年齢が引きあがっ(・・・・・・・・・・)ているのをご存知でし(・・・・・・・・・・)ょうか(・・・)


 おお、そうだったのか。


 という事は、キサイは今年で、100歳か。

 成程、100歳がすとらいくぞーんなのでは無く。

 好きな人が100歳だった、という事か。


 ピッグテヰル公爵の、キサイに対する愛が伺える。

 流石は本妻と言ったところか。


 なんじゃ、やっぱり純愛ではないか。

 あんまり『純』な感じはしないが。


「何をしておる、バトラーよ。

 さっさとキサイのどれすを用意するのじゃ」


「は、はい!」


 バトラーは大急ぎで服を取りに走り出す。

 ……なんじゃか、しんでれらに出てくる魔法使いのお婆ちゃんの気分。

 ふふふ。

 会いたがっている二人を邪魔する者など、この私が叩き潰すまで(・・・・・・・・・・)

 例えそれが、しんでれら本人で(・・・・・・・・)あろうとも(・・・・・)、な!



「さあ、キサイよ選べ。

 私の言う事に従い、どれすを着て公爵に(・・・・・・・・・)会うか(・・・)

 それとも、私の言う事に従わず、ぱじゃまの姿で公爵に(・・・・・・・・・・)会うか(・・・)


 公爵に会うのは決定事項。

 さあ、キサイの出方やいかに。

 ……と、思っておったら。


 キサイは、笑顔で顔をくしゃくしゃにした後。


「……ふ、ふぐ、うええええええええええ」


 嬉しそうに。

 まるで子供の様に。

 大声で、泣き出した。

死ぬほど忙しいです!


1月は小説の投稿回数が、自宅へ帰った回数です。


今月は、多分これが最後かも。


・・・2月になれば、多少は、改善する・・・はず・・・!

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