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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
豚公爵編
130/205

第130毒 猛毒姫、舌鼓を打つ

※※※久しぶりのジビエ回です。

お食事中の人はブラウザバックを推奨します※※※

 *******************


 前回までのあらすじ


拙作、ブレーメンの屠殺場がスコップされました。

 12/18 ブクマ57

→12/22 ブクマ267


NiOさん

「スコ速様がワダすの作品、『ブレーメンの屠殺場』をスコップしてくれたことは。

 すごく……光栄で、感動で心が震えました。

 まるで……一度死んだ我が子が生き還ったような……そんな気がすたんです」


ぼつりん「おいおい、ふらぐ、ふらぐ」


 *******************


 夕食の時間になると、バトラーが部屋までえすこーとしに来てくれた。


「ピッグテヰル公爵がお待ちです」


「え。

 もう大丈夫なのか、公爵は」


 光魔法で体は回復したとは言え、精神的には一回死んだはずじゃ。

 私でも、死んだら1週間くらい寝っ放しになるというのに。


 此処で寝込んでしまっては、私とのいにしあちぶの取り合いで完敗したことになるとは言え。

 相当に、頑丈(たふ)な精神力をしておる。

 改めて、気を引き締めねばのう。


#########################################


 案内された部屋は、予想通りの巨大な広間に、馬鹿みたいに長いてーぶるが置かれていた。

 端っこに豚公爵は座っており。

 私は、逆の端っこの席に座らされた。


 それにしても、何という無駄なてーぶる。

 うむ。

 貴族っぽくて、浪漫じゃ。


「さ、さて、ボツリヌスよ。

 そう言えば、あ、挨拶をしていなかったな。

 よ、ようこそ、ピッグテヰル家へ」 


 ……うん?

 ピッグテヰル公爵は、にこにこと笑いながら、挨拶をする。


 ……毒物持参については何も言及しないつもりか?

 勿論此方は既に理論武装を済ませておるが。


「先ほどは、申し訳なかったのう」


 一応、軽く牽制してみると。


「な、なあに、構わんさ。


 じゅ、従者が武器を持つことを許されるように。

 お、お前も自分を守る武器を持つのは、し、自然な事だ」


 意外な事に、あちら側から許しを得ることが出来た。


 そこで、やっと気づく。

 公爵の声に力が無い。

 顔色も、遠目から見ても分かるれべるで青い。


 やはり、相当無理をしておるのじゃろう。

 現在のこんでぃしょんで私と言い合いをしても勝てないと判断し、器を見せつける方針にしたのじゃろうか。


「こ、これからは家族として。

 と、ともにピッグテヰル公爵領を盛り上げていこうぞ」


「勿論じゃとも」


 そちらがうぇるかむしてくれるのであれば、私としても何をどうする事も無い。

 公爵と会話をしておると、シャーデンフロイデがぐらすに液体を注いでくれた。


「そ、それでは、ピッグテヰル家の発展と、ボツリヌスの嫁入りを祝って、か、乾杯」


「乾杯!」


 ……まさか、変な物は入っておらぬよな?

 念のため久しぶりに鑑定をしてみたが、あるこーるや毒などは入っておらぬ様じゃ。


 私はぐらすを掲げ、中の液体を乾かす。


「ど、どうだ、熊の生き血の味は?」


「ぬるいの」


 私が正直に答えると、豚公爵は何故か目を見開いて驚いておる。


「そ、そ、そうか」


 む?

 何を狼狽しておる。


 不思議に思っていると、今度はほかほかのすーぷが出てきた。 

 なんとも食欲をそそる、良い匂い。

 それでは、さっそく。


「おお美味い、なかなか良い出汁が出ておるのう」


「そ、そうか。

 そ、底の方にある肉は、も、もっと美味いぞ」


「ふむ」


 ひょいとすぷーんで掬ってみると。

 まるまると太った蛆虫がごろごろしておった。


「ど、どうだ、蛆虫スープの味は?」


「くにくにしてて珍味じゃな」


 以前食べた生のぷちぷちも良かったが、太らせたものを煮ても美味しいんじゃな。

 勉強になったぞ。


「え、ええ、あ、ああ、うん」


 ピッグテヰル公爵も、何だか苦々しい笑顔で相槌を打っておる。


#######################################


 そんな感じで食事は続いた。


 どうやらピッグテヰル公爵は、本当に私を歓待してくれておる様じゃ。

 なんだか疑って悪かったのう。


 次々と出てくる、ご馳走の数々。


 蛙の卵のさらだに、源五郎と田螺(たにし)の炒め物、やもりの踊り食いに、ごかいの天麩羅。


 流石は異世界。

 面白い料理もあるもんじゃ。

 私は夢中でもきゅもきゅ食べる。

 おう、ごきぶりのすなっくは、ぼりぼりと触感が面白いのう。

 穀象虫(こくぞうむし)の炊き込みご飯も、見た目が可愛らしい。

 ハムッ、ハフハフ、ハフッ!!


 あ、蛆虫のすーぷ、お変わり貰えるかの?


「なんで平気な顔で食べてるにゃ。

 全然つまんないにゃ」


 む?

 シャーデンフロイデはぼそりと何か呟いて、私のすーぷ皿を回収していった。


「……」


 ピッグテヰル公爵は、何だか完全に沈黙しておる。

 それに、食事も進んでおらんようじゃ。

 ……やはり、先程のだめーじが相当に(こた)えておるのじゃろうか。 


 こんなに美味しい物を。

 可哀想に。


「メインディッシュの、鼠の丸焼きになります」


「いよっ、待ってました!」


 鼠は大好物!

 私が目にはーとまーくを浮かべておると。


 ……何故か豚公爵がぶち切れながら。

 私の鼠肉を、風魔法で皿ごと地面に叩き落とした。


「……な、なんじゃ?」


「お、おや、ボツリヌスよ。

 肉を、お、落としてしまったか……」


 白々しい。

 お主が落としたんじゃろ。


 ……まあ良い、3秒るーるじゃ。

 なんとなく、鑑定をしてみる。


 ****************************


 床に落ちた鼠の丸焼き 

 毒性なし。感染症なし。

 ボツリヌス・ピッグテヰルが今まで食べてきた物の中では清潔な部類に入る。


****************************


 お。

 結婚したから、私の苗字が変わったわ。

 そして最後の行は、毎度毎度大きなお世話じゃ。



「トキシン侯爵領ではどうだったかは、し、知らんが。


 ピッグテヰル公爵家では、お、落ちた物も食べきらなくてはならん」


 ふむ、そんな家訓が。

 勿論、郷に入っては郷に従えであるからのう。

 私は鼠肉を回収しようとすると。


()違う(・・)




 直に(・・)口で(・・)()




 ……む。

 やはり美味しい料理だけでは終わらぬか。



 わざわざ幸せの絶頂に置いて、油断したところにこの仕打ち。

 豚公爵の私に対する嫌がらせの第二幕が。

 とうとう、始まったようじゃ。

たまに発動する、猛毒姫の鈍感力。


ちなみに、スコップされた作品は、以下の奴です。


ブレーメンの屠殺場

http://ncode.syosetu.com/n9431ct/


面白いよ!

ホントだよ!

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