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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
豚公爵編
128/205

第128毒 猛毒姫、直される

 *******************


 前回までのあらすじ


 豚毒。(豚を毒殺)


 *******************


 バトラーは左手袋を外すと、手の甲を豚公爵へ向ける。

 そこにも魔法陣---恐らく解毒魔法の魔法陣---が記されておるみたいじゃ。

 解毒魔法も魔法陣化出来ているなど初耳じゃが、今更もう驚かぬ。



 バトラーは魔法陣を光らせる……が。


「……なにこの毒……解毒魔法が……効かない!?」


 ……あれ?

 テーラーのやつ、結構まじでやばい物を入れておったのか?

 洒落になっておらぬのか?


 ……その割には、後ろでシャーデンフロイデは未だ爆笑をし続けておる。

 バトラーは豚公爵に人工呼吸をしながら……服を脱いだ。


「「……!!」」


 私とオーダーは息を飲む。


 バトラーは。


 ……全身にびっしりと(・・・・・・・・)魔法陣の入れ墨が(・・・・・・・・)してあったのじゃ(・・・・・・・・)


 まるで耳無し芳一。

 見たことの無い種類の物も、多数。

 間違いなく、ピッグテヰル公爵に入れさせられた物じゃろう。

 乙女の肌を、何だと思っておるのじゃ。

 この豚、まじで屑野郎じゃの。



「……ああ、やっと分かりました。

 私がバトラーさんを嫌いな理由が」


 オーダーが何か言っておる。


「ん?

 オーダーがバトラーを嫌っておるのは何となく知っておるが……。

 以前ぼこぼこにされたからじゃあ無かったのか?」


「私もそう思っていましたが……どうやら違ったみたいです。

 同族嫌悪(・・・・)、でした」


「ふむ?」


 意味が分からぬが、まあ良い。

 何故だか締まらない空気の中。

 1人だけ本気版(しりあすもーど)なバトラーは、腹にある一際大きい魔法陣を光らせる。

 光は豚公爵は勿論の事、力の調整が付かないのか部屋全体に溢れ出した。


「ぶ……ぶひゅうう……」


 おぉ。

 豚公爵が、息を吹き返した。

 解毒魔法でも対処出来なかった毒を、どうやって治したのかは不明じゃが。

 とりあえず私は公爵毒殺の汚名を与えられる事は免れた。


 ####################################


 無事、豚公爵を現世に留まらせる事に成功したバトラーじゃが。

 その後もきびきびと他のめいど達に指示を出して、ピッグテヰル公爵を寝室へと移動させる。


「さて、お嬢様。

 これを」


 一段落ついたのか、バトラーは私の元にやって来て、何かしらを手渡す。


「……こ、これは……先程のぺんだんと、ではないか!!」


 何故じゃ。

 猛毒姫……毒入りぺんだんとが無傷で帰ってきた。

 完全に壊れたはずじゃぞ!?

 いや、それよりも。


「私を責めぬのか?」


「ええ。

 いろいろ突っ込みたい所はありますが……。

 今回の件については、明らかに公爵様が悪いですからね……。

 そのペンダントはお詫びです」


 そう言うとバトラーは90度のお辞儀をする。

 豚公爵の蘇生から尻拭いまで。

 八面六臂の娘っ子じゃ。

 きっと豚公爵の滅茶苦茶を、彼女が毎回ふぉろーしておるのじゃろう。

 良い娘じゃ。



「バトラーよ……お主は本当に、ピッグテヰル公爵が好きなんじゃなあ」


「……ええ。

 公爵様が、私の全てですし。

 私の全ては、公爵様の物です。

 公爵様がお亡くなりになれば、盛大にお葬式を開いた後、私も後を追います」


「そうか」


 すぐに後を追わない所が彼女らしい。

 ……これが洗脳なのか、彼女の本心なのかは知らんが。

 幸せならば、それで良いのかもしれん。


「……ところで、私が妻になって、良かったのか?」


「……正直、身が引き裂かれるほど辛いですが、仕方ありません。


 私の身分では公爵様の妻になる事は出来ませんからね」


 バトラーは苦笑いをして、正直に本音を吐露した。


 成程。

 (めかけ)でも、良いという事か。

 いじらしい。


「私は、公爵様の苗床(めかけ)にして頂ければ、それで満足です」


 バトラーは恋する少女の様に頬を赤らめ、笑いながら呟いた。

 ……なんか『めかけ』と“るび”の振られている漢字が、明らかにおかしいんじゃが。

 ……き、気のせいじゃろう。


「……やはり、同族(ヤンデレ)……」


 オーダーが厳しい目をして歯軋りしておる。

 ……なんの同族なんじゃ、なんの。


「……さて……シャーデンフロイデ。

 大変いい笑顔でしたね」


「にゃっ!? 」


「覚悟は、良いですか?

 良いですよね?

 良くなくても関係ないですが」


「ま、待つにゃ、これには、悲しい擦れ違いが」


死ね(・・)駄猫(・・)


 次の瞬間、バトラーによる投げ技が炸裂した。


「ぎにゃ―――!!」


 それは、頸椎破壊を目的とした(・・・・・・・・・・)、一本背負いもどき(・・・・・・・・)


 猫の首は、ぎゃぐ漫画も()()、という絵面で地面に()り込んだ。


 ……完全に沈黙したシャーデンフロイデを一瞥した後。


「……さて。 それではお嬢様方。


 もうしばらくしたら、夕食の準備が出来ますので。

 その前に、お部屋に案内させて頂きましょう」


 バトラーは再度、慇懃に礼をした。


 彼女の後ろには、猫耳娘が犬神家を思わせる前衛的(あばんぎゃるど)な格好をしておる。


 ……死んでおらんよな、シャーデンフロイデよ……。


バトラーは下ネタ要員。

しかし豚が入ると下ネタが増えていけないね(嬉々と)

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