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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔族侵攻編
121/205

第120毒 猛毒姫、センチメンタる

ブクマ800越えました!


ユニークアクセスが800以下なのに、喜ぶ意味があるのかは置いといて・・・・・・。


いつも読んで下さっている皆様、本当に有り難うございます!



「ウォォ!実は俺は1回刺しただけで死ぬぞォォ!」


 *******************


 前回までのあらすじ


 活動報告で人気投票中ですよ。

 期限は今日の午後、終了時間は作者の気分次第です。


 *******************


 調理場に訪れると、コックが暇そうにしておった。


「コックよ、忙しそうじゃのう」


「お、ボツリヌス様か、誕生日おめでとう。


 ……なにしろ9月9日は誰かさンのせいで絶食の日だ。


 夜は流石に皆食べるだろうがなァ」


 ……成程。

 去年の誕生日と言えば、私が牢屋にぶち込まれた日でもあったな。


 ひょいと顔を覗かせると、美味しそうな七面鳥やらしちゅーやらたくさんの食事が確認出来た。

 夜の誕生日用じゃろうか。

 なんとも、美味そうじゃ。

「……ほら、弁当だ。

 昼は、外の、小屋?だったかに行くンだろ?」


「おお、助かるぞ、コックよ」


「……うん」


 コックは私の頭にぽん、と手を置いた。

 ……此奴は、私が今日いなくなる事に、何となく気づいてそうじゃのう。


 #######################################


 廊下をてくてく歩いておると、呼び止められた。


「おい、毒舌娘」


「む、テーラーか、なんじゃ?」


「悪いが俺は今日、お前の誕生会に出られん。

 実家で反省会だ」


 ……成程。

 去年の誕生日は、私が牢屋にぶち込まれた日であり。

 即ち、テーラーが粗相をした日でもある。


「お前にはボツリヌス様を祝う資格がない」とか「みっちりウチで反省会だ」とか、狂戦士な一族郎党から言われておるのじゃろう。


「だから、これを、渡しておく」


 そう言って渡してくれたのは……るびーの様に赤い色の、ぺんだんと、じゃった。


「ふむ……綺麗じゃのう……。

 ん? この宝石、捻ったら簡単に外れたぞ?」


 ぱきんと外れた宝石を、良く見ると。

 小さな小さな、蓋みたいなものがついておった。

 お寿司の出前で付いてる、魚の形の醤油入れの小さい版みたいじゃな。


「中には蜂蜜から作られた猛毒が入っている。


 ……ピッグテヰル公爵に関しては、良い噂は聞かない。

 何かあったら使え。

 最悪、飲め」



 実に狂戦士らしい贈り物じゃった。


「ちょ……テーラー!」


 今まで隣で無言を貫いていたオーダーが叫ぶ。


「いや……私の気持ちを汲んでくれた、大変有難いぷれぜんとじゃ。

 嬉しいぞ」


「……悪気は無い。

 使う日が来ない事を願っている……」


 ふむ。

 それにしても、毒は腐らないのじゃろうか?


 ……まあ良いか、使わなければ。

 それにしても、綺麗じゃのう。


「見た目は赤くて綺麗じゃが、なんと中身は猛毒か。

 まさしく私に、相応しいじゃあないか!」


 一人で納得して呵呵大笑しておると。

 二人が溜息を吐いてやれやれと言った顔をしておる。


「お気に召しました様で光栄です……猛毒姫様(・・・・)


 テーラーはわざとらしく傅いて。

 手の甲に、接吻しおった。


 流石の私も、顔から火が出そうじゃ。

 後ろでオーダーがきゃーきゃー嬉しそうに騒いでおる。


「……ふむ、苦しゅうない!」


 そんな事を言って誤魔化すので、精いっぱいじゃった。



 ########################################


「小屋の方も、いろいろ片づけをせんといかんからのう。

 済まんが行ってくるぞ、オーダーよ」


「誕生会の時間には 絶・対! 遅れないでくださいよ」



「わ、分かっておる」


 私はそそくさと小屋へ向かいながら。

 ふいに、屋敷とオーダーへと振り返る。


 ……なんだか凄く、せんちめんたるな気分じゃ。

 この前、ここを離れると決めた時には、こんな気分にはならなかったのじゃが。

 何故じゃろ。

 ……多分、すっかり居心地が良くなってしまったからなんじゃろうなあ。


「……今考えると、屋敷の皆に世話になったのう」


「……そうですねえ」


 オーダーも屋敷を振り返っておる。


「皆、良い奴じゃったのう」


「……うーん……そうです……ねえ……?」


 悩みながらも、オーダーは頷いた。


「まあでも、こんなに楽しく日々を過ごせたのは、オーダーのお陰じゃ」


 私は、からからと笑う。


「オーダーがかけてくれた回復魔法の温かさも。

 私を守らんとする大きな背中も。

 たまにお痛が過ぎた時に行う首の捻じ切り加減ですら。


 全てが私にとってかけがえの無い物じゃったよ。

 オーダーがいてくれて、本当に良かったと思っておる。


 ……むむ、いかんな。

 まるで、別れの挨拶じゃあないか。


 こ、これからも、よろしく頼むぞ……!」



 私はちょっと涙目になって、おろおろと慌てる。


 オーダーはきょとんとした顔をして。

 次にその顔を真っ赤にして照れた後。

 恥ずかしそうに笑った。


 綺麗じゃ。


「なんだかセンチメンタルになっちゃいますよねー。

 ん? ボツリヌス様? 寂しかったら、小屋までお供しますけどぉ?」


 オーダーは、厭らしく笑っておる。


「いや、そうもいかぬさ」


 涙を拭って、その申し出を固辞する。


「小屋には、タクミがおるし。

 いろいろ話し込みたいしのう」



 嘘じゃ(・・・)

 タクミは、1週間程前に、この地を発った。

 また自身を鍛え直す旅に出るそうじゃ。



「後は、残った屑魔石も今日中になんとか処理しなくてはならんし」



 嘘じゃ(・・・)

 小屋にある屑魔石はちゃんと、全て使い切った。

 アコギには今後、ピッグテヰル家で引き続きお世話になる予定である。



「それに、何だかんだで長く居た部屋じゃ。

 1人でゆっくり最後の時を楽しみたい」



 嘘じゃ(・・・)

 もうすでにブコツによって解体してもらった。

 小屋なんぞ、跡形もない。



 オーダーは、「なら、しょうがないですねー」などと、呑気な事を言っておる。





それじゃあ(・・・・・)行ってらっしゃい(・・・・・・・・)猛毒姫(・・・)



 彼女は、おどけて笑いながら、私に手を振る。



 ……何も気付かずに(・・・・・・・)



行ってくるぞ(・・・・・・)オーダーよ(・・・・・)



 私も、笑いながらオーダーに手を振る。



 ……何も(・・)気付かれないように(・・・・・・・・・)



 ######################################




 私は、一人、トキシン家を後にする。



「最後の挨拶は、済みましたか?」


「うむ」


「あの、ブギーマンは来ないかにゃ?」


「大丈夫じゃ、屋敷におる。

 完全に私を(・・・・・)信じ切っておった(・・・・・・・・)



 ピッグテヰル領へ旅経つのは9月9日の本日。

 それに間違いは無い。


 ただ、その時間。

 それは、真夜中では無かった(・・・・・・・・・)

 オーダーは、私のちょっとした言動でおかしな事を見破ったりするからのう。

 本当に申し訳ないが、皆を騙してこっそり2人で行く、と……騙す事にした(・・・・・・)


 最後の別れの言葉の時は、少し、危なかったがの。


 ……今度こそ、オーダーはもう。

 私がいなくても一人の力で歩いて行ける。


 だから(・・・)……さよならじゃ。



 2人の用意した馬車に乗り込むと。


「あれれ、ボツリヌス、泣いてるのかにゃ? 泣いてるのかにゃ!」


 猫耳娘(シャーデンフロイデ)が嬉しそうに私の顔を見てきて。

 長身ぽにーてーる(バトラー)が、彼女の頭を力いっぱい叩く。

 馬車全体が、ごとんと揺れた。


「それじゃあ、行きますよ、お嬢様」


「……ああ、出してくれ」



 私が小さく頷くと。

 鞭がぴしりと振るわれた。

 馬がゆっくりと歩き出し。

 馬車がぎぎぎと軋む。


「重たい空気のせいで……なんだか馬車まで重たいですね……」


 バトラーは御者席から後ろを振り返り、少し笑いながらそう1人言ちると……馬車がゆっくりと動き出した。

 意味怖。

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