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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔族侵攻編
116/205

第115毒 猛毒姫、目覚めさせる

*******************


 前回までのあらすじ


オーダー「コック総受け! 取り敢えずタク×コク! 夜は料理される方!」


ボツリヌス(腐っておる)


*******************


 と言う訳で、宴が執り行われておる中を、オーダーと当てもなくぶらぶらしておる。



「……お、あっちにおるのはハンドじゃあないか」


「……なんだか、大勢に向かって熱弁を振るっていますね。

 ……マーも何だか熱心に聞いていますよ」



 今回の戦闘について、語っておるのじゃろうか。

 実際彼女は相当の負荷を強いられておった。

 皆に言いたいことも多いじゃろう。


 どれどれ、少し話を聞いてみることにしようか。


「……私は三跪九叩頭をして、洗脳から抜け出したのです」


 ……うむ、やはり一番の語りどころはそこじゃろう。


 魔貴族の恐るべき洗脳に抵抗したという強い意志。

 流石はめいど長じゃ。


「その時の私には、唯只管、(ボツリヌス)様を崇める事しか考えられませんでした。

 一心不乱に、地面に頭を叩き付けたのです」


 ……ちょっと、話が変な方向に行っておる気がするが。


「もはや私の頭が地球にぶつかっているのか。

 それとも地球が私の頭にぶつかっているのか。

 それすらも分からない。

 まるで三昧(ざんまい)の境地の中。


 突然両頬に、張られた様な強烈な衝撃を感じたのです」



 ……それは多分、私が両頬を張ったせいじゃな。

 精神的な物ではなく、物理的な物じゃよ?


「そして、確かに、(ボツリヌス)様の声が、聞こえたのです。



 『 ハ ン ド(・ ・ ・) …… 目 覚 め よ(・ ・ ・ ・) ……』……と」



 ……ふむ。

 言ったな。


 確かに言ったが。


 私は別に、倫理的・霊的に目覚めて欲しかった訳ではないぞ。



「あわわわー。

 成程、成程ぉ。

 そう言う事なんですねー」



 そう言う事って、どう言う事なんじゃ。

 マー坊も謎の納得をしておるし。



「神である(ボツリヌス)様を敬う。

 たったそれだけで。


 どんな願いでも(・・・・・・・)叶うのです(・・・・・)


「あわわわー!」



 うむ。

 新興宗教(かると)の誕生じゃ。

 しかも教祖が私。



「おいおい、流石に嘘臭えなあ」


 屋敷のめいど達は、結構本気でハンドの話を聞いておるが。

 流石にぎるどめんばー達は、酒のつまみ程度に話半分の様じゃ。


「なんだぁ?

 あのお嬢ちゃんに祈ったら、俺の願いも叶うってのかよー」


 酒飲みの一人が私の方を指差して、笑っておる。



「勿論です。


 どんな願いですか?


 世界平和?」


 ハンドは何故か自身満々に答える。

 出来る訳無かろう。

 願いの規模が巨大(でか)すぎる。

 


「じゃあ、ボツリヌス様よー。

 ……あの3人を、どうにかしてくれや」


 おっちゃんが指さした先には。


 ……未だに真剣な顔をして、今後について話し合いをしている、ニコチンとぎるど長、そして村長がおった。

 今後の事を考えたら、酔ってなどいられないと言うのが正直なところなのじゃろうが。

 そんな事をしておったら、こちらまで飲みにくくなってしまう。


 ……いや、違うな。

 彼ら3人はこの戦争を勝利へ導いた立役者(ひーろー)達。

 めいど達も、ぎるどめんばーも、村人達も。

 皆が、彼らと一緒に飲みたいのじゃろう。


「ふむ、分かった。


 ではまず、ハンドとマー坊。

 此奴らを、胴上げしておくれ」


 私は、そうするのが当たり前の様に指示を出す。


「……うん?

 なんだなんだぁ?」



 皆は不思議な顔をしながらも、ハンドとマーを取り囲む。


「え、え、えー!?」 

「あわわわわわ!?」


「よっしゃ、そんじゃあ二人を胴上げしてやろうぜー!」


 わっしょーい、わっしょーい。


 掛け声とともに、訳も分からずハンドとマーが宙を舞う。

 周囲を見てみると、胴上げが目立ったのじゃろう、皆面白そうに此方を見ておる。

 お、例の3人も話を止めて注目しておるな。


 一通り、胴上げをした後、私は声を張り上げた。 



「この戦で最も要所となる役目を担ったハンドとマー。

 2人に盛大な拍手をお願いする!」



 後半は魔貴族に良いように操られては居たものの、彼女たちの戦果は大きかった。

 その事に異論を挟む者はいないようで、皆が力いっぱい2人に向かって拍手をしておる。

 ハンドとマーは若干照れながら、頭を掻いておった。


「さて、続いては。

 我らの頭脳(ぶれーん)となり、この戦を勝利に導いた、偉大なる3人!


 彼らに、宙を舞って頂こう!!」


 私が声を上げると。

 まだ、誰も紹介していないのに、3人の周りに人だかりが出来た。


 そして、誰からともなく胴上げが始まる。



「恰好良いぜ、ニコチン侯爵!」

「流石はギルド代表だ!」

「有難う、村長~!」



 私はどや顔で振り返ると。

 先ほど私に頼みごとをした者が、ぽかんと口を開けておった。


「よし、お主よ。

 指令じゃ。


 あの3人をばらばらに離して皆に連れて行って貰うのじゃ。

 そうすれば彼らも、飲んで騒いで大いに楽しまざるを得まい」 


 私が呵々大笑しながら男に伝えると。


「お……おお、そうだな、分かった!」


 と、若干戸惑い気味に、未だに胴上げされ続ける3人の元へ駆けて行った。


 しばらくすると、とっぷ3人はそれぞれ別のぐるーぷのめんばーに引っ張られて、酒を飲み始めた。

 よしよし、此方の思った通りに行ったのう。


 満足気に頷いておると。

 何故だか周りが、私に注目しておった。


 ……うん?

 もう、終わりじゃよ?



「盛り上げ上手だなあ、ボツリヌス様!」


「次は誰を胴上げしようか、ボツリヌス様!」



 あれ。

 私がなんか盛り上げなくちゃいけない雰囲気。

 やばい。

 面倒臭いことになったぞ。

メイドのスカートは鉄壁仕様。

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