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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔族侵攻編
114/205

第113毒 猛毒姫、ついに参戦する

 神回(自称)。

 以下、「これはひどい」禁止。

*******************


 前回までのあらすじ


 魔貴族 VS ボッさん


*******************


「ねえ、チビ助ちゃん。

 あんた、実は強いってコト、無いわよねえ?」


 魔貴族がいらいらしながらも、不思議そうに私に尋ねる。

 やはり、自身の殺気に耐えられる5歳児が信じられないのじゃろう。

 私は、正直に答える。


「魔力量10の、体力100じゃ」


 何かの弾みで、死ねるすてーたす。


「魔力量10の、体力100?


 ……そんな生き物が、実在するの……?」



 逆に、驚かれた。


 む、いかんいかん、話を戻さねば。

 何か、良い挑発は……あ、そうじゃ。



「それにしても、婚活の為に戦争とは。

 魔貴族でも年増は大変なんじゃのう」


「は、はああああああああ!?


 私は、まだピチピチの1999歳ですううう!!」


 思った以上に効いた。

 魔貴族のぴちぴちが何歳かは分からんが。

 むきになっている所を見ると、行き遅れておるのじゃろう。

 年齢に右往左往しておる内は、幼い証拠でもあるのじゃがな。

 ちなみに私個人の意見じゃが、人間族の女の盛りは100を過ぎてからと思っておる。

 前世の私は、まだ蕾のままで死んでしまったのじゃ。

 美人薄命。


「分かっておる、分かっておる。

 誰も伴侶になってくれぬのであろう?


 じゃから、格好良い男を集めて、洗脳して、見るも空しい“はーれむ”等を作っておるのじゃろう?


 全く、仕方ないのう。

 そんなお主に、私からの助言(あどばいす)じゃ。

 そもそも、はーれむとか作っておるから、男が寄ってこないんじゃよ」


 元99歳毒女からのあどばいす。


「……チビ助ちゃん……?

 貴女、なかなか面白い子ね。


 じわじわと(・・・・・)嬲り殺しにしても(・・・・・・・・)良いのよ(・・・・)?」


 よしよし、大分怒っておるな。

 魔貴族からしてみれば、ここで怒りに任せて私を殺せば、先程の台詞が全部図星だったことになろう。

 彼女は両手を握り拳で固めながらも、なんとか笑顔で対応をしておる。


じわじわと(・・・・・)嬲り殺しィ(・・・・・)


 拷問を(・・・)舐めるなよォ(・・・・・・)

 がさつなお主に、そんな高等技術は無理じゃ。

 力任せの一撃しか出来ぬ不器用な手先の癖に、面白い事を言うのう!」


「……糞餓鬼ッ! あんた、一体何なの!?

 魔力10で体力100の出来損ないだから、恐怖の感覚とか無いの!?


 とっとと、そこの氷魔法使いみたいにお漏らしの1つでもして、命乞いをしなさいよ!!」


 くくく。

 滅茶苦茶ぶちぎれておる。

 ここまで出来れば大満足じゃ。

 もう一押しで、私を殺しにくるじゃろう。


 此奴は此れから生きていく中で、5歳児の言動にぶち切れて思わず殺したという大人げない自分を、恥辱と共に思い出すじゃろう。

 そして同時に、私の言動が全部正しかったと、暗に認めたことにもなる。


 さて、仕上げじゃ。


「お漏らし、じゃと?

 うーむ、すまんのう。

 私はもう、5歳じゃ。


 お漏らしするのは、怖い悪夢を見た時だけ(・・・・・・・・・・)と決めておる(・・・・・・)


「なッ!?

 私は……怖くない(・・・・)悪夢だって言うコト(・・・・・・・・・)

 『目の覚める悪夢』、13貴族の1柱、この北真倉猿夢様が、怖くないと(・・・・・)……!?」


 殺気が、限界まで強くなった。

 もはや、極寒の地、そのど真ん中に裸でいるような感覚。

 ふいと横を見てみると、兵士の皆さま方は、漏れなく漏らしておる(・・・・・・・・・・)


「……ふむ。


 お主が、怖い、じゃと?

 笑かしよる」


 私は耳まで口角を開くと呵呵大笑をした。


 そしていつかの様に。

 ゆっくりと言葉を溜めて。


 そして、吐き出した。



「『目の覚める悪夢』とやら……。


 ……寝言は(・・・)寝て言え(・・・・)



 次の瞬間、飛び掛かる魔貴族の前に。

 私の命は、潰えた……。











 ……かと、思ったのじゃが。




 魔貴族は私の目の前で、突然、停止(すとっぷ)する。



 口元には、何故か、恐ろしい笑みを浮かべておった。



「貴女……名前を聞いても、良いかしら」


「……ボツリヌス・トキシンというが」


「……ああ、成程。

 例の、ボツリヌス教の、神様ってワケ?」


 む?

 その理解は、間違っておるぞ。


「フフフ……。

 こんなにムカついたのは、初めてだわ。

 ぶっ殺してあげようと思ったけど。

 もっと嫌がるコト、してあげる。


 貴女が洗脳されたら、きっと皆、悲しむでしょうねえ。

 そして、皆が悲しんだら(・・・・・・・)

 きっと貴女も(・・・・・・)悲しむでしょうねえ(・・・・・・・・・)


 ……そう来たか。

 流石は厭らしい年増。

 人の嫌がる事を進んでするとは。


 ……まあ良い。

 マーやハンドも抵抗できた洗脳じゃ。

 彼奴らよりは精神力はあると自負しておる。

 せいぜい、洗脳に抗って、魔貴族の自信を粉砕することにしようか。


 そんな事を思っておると、魔貴族と目が合う。

 そして、彼女の強い視線を受けて、私の意識は遠くなった。




################################################


 辺り一面、真っ白な空間。

 他には自分以外、何もない。


 此処はどうやら、私の精神の、とても深い部分の様じゃ。


 ちょっと面白い所じゃな。


 なんとなく自分の手を見てみると。

 皺皺じゃった。


 顔を触ると、頬も皺皺。



 ふむ。

 これは多分、私が99歳の時。



 すなわち、最盛期の状態(・・・・・・)を表しておるのじゃろう。



 さて。

 これから、私の精神を塗りつぶす様な洗脳が始まるらしいが。


 魔貴族は、どこかしらん。


 少し身構えていると。

 足元に蟻が、ちょこちょことやって来た。


「ん?」


 目を凝らして蟻に近付くと。

 どうやら其れは蟻では無く。


 なんだかうねうね動くあめーばーの様な黒い生き物じゃった。


「……エ?

 ナニ??

 ナンナノ、コノセイシンタイ!?

 キョダイスギル!!

 バ……バケモノ!?」


 非常に聞き取り難い小さな声で、その蟻は叫んでおった。

 良く分からんが。


 とりあえず踏み潰しておく。


「ギュ―――――!!」


 手塚○虫が好きそうな断末魔を上げて、蟻が死んだ。


################################################


「……はッ!」



 何故か私は、意識を取り戻した。

 あれ、洗脳は?


 辺りを見回すと。

 魔貴族が、倒れておった。


 ……まさか。


 私は近づいて、一応、確認する。





「……し、死んでるッ……」



 死んでおった。

 ほら。ボツリヌス様、魔貴族に勝ったぞ。みんな泣けよ。


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[良い点] ~し、死んでるッ いったいどこの何リヌスの犯行なんだ
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