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豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔族侵攻編
109/205

第108毒 NiOさん、骨折する

*******************


 前回までのあらすじ


 作者が骨折しました。

 励ましのお便りを。


*******************


 最近、あらすじがあらすじを放棄しておるんじゃが。

 まあいい。


 私はニコチンに連れられて、味方後陣の更に後方へと移動した。


「寡兵・弱兵で多兵・強兵を短期間のみ相手取るという戦いだからな。

 オリジナルで陣を組んだんだが。

 かなりピーキーな布陣になっていて、正直自分でも自信が無い。

 気が付くことがあったら、教えてくれないか」


「ニコチンよ……私って、5歳児じゃぞ……?」


「俺はお前を5歳児とは思っていない。

 戦闘のプロ達とも相談し、お墨付きを貰った陣形ではあるが。

 一般人の目から見て、穴が無いか意見を聞きたい」


 ……一般人の目か。

 成程確かに。

 未だ1000対400。

 しかも相手は全員が一騎当千。

 かなり虚を付いた陣形を取らないと勝利は危ういと判断し、ぎるど連中と相談して決めた陣形なのじゃろう。

 じゃが、そんな教科書に載っていないような陣形は、大抵は『致命的な弱点』があって、歴史的に淘汰されてきた物である事が多い。

 戦闘に詳しくない私などを含め、多方向からの見解を得たいのじゃろう。

 そういう事なのであれば、協力する事は吝かではない。


「後方の陣形は戦闘補助系の特殊スキル持ちと魔法使いで敷いている」


♪~♪~♪~♪~♪~♪


 む、どこからか綺麗な声が聞こえる。


「む、あ、あれ?

 あれは……マー坊か!?」


 後方陣の一際高いところにマー坊がおる。

 いつもの彼女とは思えない堂々とした立ち姿で、この世の物とは思えない美しい歌を歌っておる。


「彼女は『歌姫』のスキル持ちだ。

 戦意高揚、体力回復、筋力強化、魔力強化などを風魔法に乗せて、自陣営全員に届けている」


 超技術(すーぱーすきる)来た!!

 マー坊よ、普段からあわわわ言わずに歌っておれば良いのに。

 声帯の無駄遣いあわわわじゃ。


「と言う訳で、戦力強化や回復に関しては彼女に任せ、魔法使い連中は、全員攻撃に専念して貰っている」


「魔法使いの陣営が、戦線よりかなり後方に位置しておる様じゃが」


「50m程度に魔法使い布陣を敷くのが一般的だがな。

 相手が魔族でもあり、安全マージンを取るために、100m程にしている」


 安全まーじんか。

 成程。


「中盤陣営は特殊魔法使いと、魔法剣士などの近中距離戦が得意な連中で固めている」


 お、オーダーが活躍しておる。

 ……む、あれは?


「後方と前方の連携を取るため、中盤にハンドメイド長を置いた。

 『風読』のスキルに風魔法を乗せて、陣全体の情報を繋いでいる」


 またも聞いた事のない技術(スキル)

 良く分からんが、彼女がとらんしーばーの役割を果たして軍全体を1個体の様に動かしておる様じゃ。


「前線はもちろん、戦闘系の者達が戦っている」


 ……おお、テーラーは戦闘系だったのじゃな。

 紳士の様に美しく、空手の正拳突きの様な動きで次々と魔族を仕留めておる。

 流石は狂戦士(ぱーさーかー)

 ……コックの姿が見えんが、まさかやられてはおらぬよな……?


 ふむ。

 総括すると。

 ぱっと見では1日くらい持ちそうな陣形にも見えるが。


「3つ程、聞いても良いかの?」


「なんだ」


「安全まーじんを取ったと言う100mの後方陣営じゃが。

 これ、最低でも50m、出来れば30mにした方が良いと思うんじゃが」


「……はあ?」


 私は縄張(テリトリー)という概念を説明した。

 そしてこれは予想じゃが、縄張(テリトリー)は魔力量の大きさに依存する事が多い。

 私は85㎝じゃが、オーダーは52m、お子様達に至っては300m超じゃ。

 ここにいる者が全員オーダーよりも広い縄張(てりとりー)を持っているとは考えにくい……と言うか、ほとんどはオーダー以下なんじゃなかろうか。

 安全まーじんを取るのは良いが、恐らく途中でそのほとんどが魔力枯渇状態に陥るじゃろう。


「そ……そんな事は、今まで調べた本に書かれて無かったぞ?」


「ふふふん、私が見つけたのじゃ!

 ふふふん!!

 ふふふん!!」


 私がどや顔をしたら、でこぴんを食らった。

 褒めて欲しい。


「成程、分かった。

 陣形に関してはギルドメンバーの長に伝えておく。

 後の2つは?」


「2つ目は……分かっておるとは思うのじゃが……。

 この陣形、マー坊かハンドが倒れたら、終わりじゃよ?」


 そう、この陣形で最も負担を強いられているのがこの2名。

 マー坊がいなくなれば前線が崩壊するし、ハンドがいなくなれば陣形そのものが崩壊する。


「……分かっている。

 そうなったら、終わりだ。

 これは、賭けでもある」


「そか。

 ならばそれ以上は言わぬ。

 最後の3つ目じゃが……。




 ニコチンよ、お主は戦闘に参加しなくて良いのか?」



 先ほどから見ていると、ニコチンは戦闘にあまり参加していない。

 最初こそ私達天使の触手(バッカルコーン)組と連携するために陣を率いておったが、今はそれも、ぎるどのお偉いさんに任せておる様じゃ。

 此奴もトキシン家の血を引いておるのであれば、其れなりの魔力はあるのじゃろうし。

 相当に勉強したのじゃから、今こそその成果を出す時だと思うのじゃが。


「俺は総大将だからな。

 後ろの陣でどっしり構えているだけの、気楽な仕事だ」


「なんじゃ、そういう事か。

 なら、私がそれをやろう。

 お主は後陣なり前線なりに出て、八面六臂に活躍すると良い」


 私は良い考えだとばかりに提案したのじゃが。


「おい、ボツリヌス・トキシン。



 ……貴様(・・)勘違いしていないか(・・・・・・・・・)?」



 何故か、ニコチンが滅茶苦茶怖い声を出しておる。



「この戦場には、替えの効かない命が2つある。

 1つはシガテラ・トキシン。

 何かあった場合、トキシン家を継ぐ者だ。



 そして、もう1人が。



 この(・・)俺だ(・・)



 猛烈に怒りながら、ニコチンは貴族が言うみたいな事を喋り続けておる。


「例の風使い2人が死のうが、前線が崩壊しようが……。


 この2つの命があれば(・・・・・・・・・・)勝ちなのだ(・・・・・)


 お前の様な(・・・・・)凡百の命と(・・・・・)一緒にするな(・・・・・・)



「……矛盾しておるのう、ニコチンよ。

 だったら、なんで総大将なんて役職についておる」


 ニコチンは、ぐっと息を飲む。

 戦線は膠着しているとはいえ、未だに勝機は見えないこの戦局。

 負ければ即ち死ぬ事になるトキシン側の総大将は、この戦場で多分最も死ぬ確率が高い。

 そう。

 ニコチンは。

 いざとなったら、この戦場で最も価値(・・・・・・・・・)のある自分の命を犠牲(・・・・・・・・・・)にして(・・・)、この戦いを終わらせようとしておる。


「大丈夫、私が公爵代行として、その役割をこなそう。


 後ろで踏ん反り返っていて、いざとなったら(・・・・・・・)死ぬだけの(・・・・・)簡単なお仕事(・・・・・・)じゃろう?

 多分、私が1番向いておるよ」


 私は呵呵大笑しておると。

 ニコチンは、ふっと笑って答えた。


「貴様は……本当にいろいろと御見通しだな。

 ……だが、これだけは変えるつもりは無い。

 

 もしもこの戦いが敗北で終わるとしても。

 幕を引くのは、5歳の少女の命では無い。

 俺の命だ(・・・・)


「なんじゃ、5歳児扱いしないって言っておったじゃろうが」


「気が変わった。

 貴様は可愛い、俺の妹だ」



 あまりに突然の言葉に、思わず赤面する。



「……意地悪な兄ちゃんじゃのう」


「まあ、それは良いとして。


 引き続き(・・・・)馬車馬のように(・・・・・・・)働いてもらうぞ(・・・・・・・)


「え、え、えええええ!?


 この話の流れで!?」


 私はまたしても襟首を掴まれて持ち上げられる。

 空中でじたばたしながら抗っていると。


 ハンドの声が、風に乗って届いてきた。


『前衛より報告あり、前衛より報告あり!!

 敵陣後方から、2枚羽、3本角の魔族が現れました!



 ……魔貴族です(・・・・・)!!』



 ……ニコチンの喉が鳴る音が、此方まで聞こえてきた。

こんな展開の時にアレですが……骨折のせいで、投稿スピードが落ちると思われます……。

もういやだしにたい。

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