表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
豚公爵と猛毒姫  作者: NiO
魔族侵攻編
107/205

第106毒 猛毒姫、炸裂させる

*******************


 前回までのあらすじ


 バッカルコーンの元ネタを知らない人は、画像でググってみよう。


*******************


 土と水の混合魔法、天使の触手(バッカルコーン)

 この浪漫魔法がお目見えする道のりは、実は非常に困難極まる。


 まず、こんな阿呆な魔法を考え付く者が必要じゃ。

 そんな阿呆な魔法を使おうとする、阿呆な天才魔法使いが2人必要じゃ。

 そして、阿呆な天才魔法使い達が、数か月から数年以上の調整をして得られる、阿吽の呼吸(こんびねーしょん)が必要じゃ。

 ここまでやって、やっと手に入る魔法じゃが。

 実戦で使うとなると、更に課題が残る。


 魔法が実際に見えていないと、こんびねーしょんが取れない。

 圧倒的な魔力を使うため縄張り(テリトリー)圏内でしか使えない。

 つまり、魔法の近くにいない(・・・・・・・・・)と使えないという課題(・・・・・・・・・・)


 魔法使用中は完全に無防備状態になる。

 自身が魔法に巻き込まれる可能性がある。

 つまり、魔法の遠くにいない(・・・・・・・・・)と使えないという課題(・・・・・・・・・・)


 そう。

 実はこの魔法。

 死ぬほど使えない(・・・・・・・・)


 課題を克服するとすれば。


 例えば、空魔法を使う人間がいると仮定して。

 その人間が魔法使い2人と共に空の上から。

 2人の縄張り(テリトリー)を見極めながら。

 敵の攻撃を回避しながら、使うくらいしか方法はない。


 以上の事実から分かる事がある。


 この魔法が実戦で炸裂して殺される確率なぞ。

 1等の宝くじに10回連続で当選する確率よりも低い。

 

 と言う訳で、長くなったが、結論じゃ。



 4000名の(・・・・)魔族の皆さま(・・・・・・)お愛で度う御座い申す(・・・・・・・・・・)


 今日は(・・・)1等宝くじの(・・・・・・)大盤振る舞いじゃ(・・・・・・・・)




「「「バ ッ カ ル(・ ・ ・ ・) コ ー ン(・ ・ ・)!! 」」」





 魔族軍の隊列の真ん中から半径400mに。



 ……6翼の触手を(・・・・・・)持つ天使が登場した(・・・・・・・・・)



「へええええええええええええ?」

「ぎゃあああああああああああ!」

「ひいいいいいいいいいいいい?」



 体力が強いも。

 魔力が強いも。

 技術が強いも。

 魔族も。 

 獣族も。

 妖精族も。

 それら(・・・)等しく(・・・)関係なく(・・・・)


 飲み込んで(・・・・・)磨り潰して(・・・・・)貪食する天使(・・・・・・)


 辺り一面、一瞬にして鮮血絨毯(れっどかーぺっと)になる。


「目を逸らすなシガテラ、ダイオキシン。

 大丈夫じゃ、この惨劇は、私がお前たちに頼んだ事。

 責任は、全て私にあるのじゃから」


 普段と比べると動きの鈍い天使の触手(バッカルコーン)を見て、私は2人に檄を飛ばした。

 敵とは言え、知能のある生き物を殺すと言うのは、きっと誰にでも抵抗がある。

 もしかしたら2人は、これから先の人生、今日の日を思い出して眠れない夜が続くかも知れぬ。

 じゃから、私に全てを(なす)り付けた方が精神衛生上良いかと思ったのじゃが。


「違うよ、聖女様。

 ……だってこれは、3人の魔法だもの」

「うん。

 聖女様が考えて、(ちー)兄様と私で使うもの」


「……そか。

 じゃあ、3人の責任じゃな」


 魔族が何とか届かせてきた攻撃を撃ち落としながら答えると。

 お子様2名は、恐怖に引き攣りながらも、笑顔を見せた。


 これは可愛らしい。


 強気で。

 張りぼてで。

 潔い。


 幼いながらに、貴族の笑みじゃ。


(ニコチンよ……お主が保護対象と思っていたお子様2名は。

 貴族の青き血と、黄金の精神を持ち合わせた、素晴らしい紳士淑女に育っておるぞ……)


『貴様の心の声が聞こえてくる様だ、ボツリヌス・トキシン』


 ぎく。


『さて。

 言い訳を聞こうか。



 貴様を(・・・)どの程度(・・・・)高く吊るすかの(・・・・・・・)参考にしたい(・・・・・・)


「つ、吊るすことは確定なのか!?」


 私は、持っていた“とらんしーばー”に向かって声を上げる。

 奴の……ニコチンの声は、とても落ち着いておった。

 ……まるで、怒り過ぎて、感情が一周した様な声じゃった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ