第103毒 猛毒姫、腹を割る
***グロ回ですが、この小説ってこの注意書きいらないよね***
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前回までのあらすじ
このあらすじも、そろそろ要らないよね?
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「……私と、結婚しませんか?」
意を決しての、告白じゃ。
「こ、断る」
断られた。
しょんぼり。
「し、使用人か、奴隷と言うなら考えんことも無い」
ピッグテヰル公爵は、相変わらず気持ちの悪い笑顔でぶひょぶひょ笑っておる。
やはり、そう来たか。
この世界は、基本的には男尊女卑じゃ。
一夫多妻も認められておるし、女性の地位は男性の地位より総じて低い。
しかし、嫌がる妻に無理矢理物事を要求した場合、それを断る権利くらいは持っておる。
これが使用人になると断る権利は弱くなり、奴隷になればそんな権利は無い。
何が言いたいかと言うと。
此奴は、私が持っている魔法やら何やらの情報が、1つ残らず欲しいのじゃろう。
つまり。
「さ、さあどうする、ボツリヌス・トキシン侯爵代行?」
やっぱり、私がボツリヌス・トキシンである事は、とっくにばれていた様じゃ。
後ろに控えている長身ぽにーてーるを見れば、拉致の犯人であることは一目瞭然。
彼女から話を聞いたのであれば、私が空を飛んだり、鉱国の象牙壁を越えたりしたことは既に聞き及んでいるはずじゃし
魔法きちがいでなくても、詳細を知りたいじゃろう。
もちろん、全部を話すつもりは無い。
だからこその、妻じゃ。
しばし、沈黙が流れる。
……さて、次の一手はどうするか。
発展四源魔法か雷魔法でも使って、私そのものの存在価値を高めてみるか。
いや、変に魔法を使うと公爵の知識欲を刺激して、何が何でも奴隷に落とそうとしてくるかもしれぬ。
ぬう。
くそ。
……これは詰んだか。
そんな事を考えておると、バトラーが何かを書いた紙をピッグテヰル公爵に渡した。
公爵はそれをちらりと見て、顔色を変える。
「き、貴様……。
龍殺しを成し遂げたのか!?」
……おお。
そう言えばあったのう、そんな二つ名。
他の公爵も……と言うか、部屋にいる全員が驚いておる。
「い、言え、これは命令だ。
ど、ど、どうやって龍を殺した!!」
「妻にしてくれると言うのであれば、お話ししましょう」
「こ、公爵命令だと言っているだろう。
命令違反をするのであれば不敬罪を適応するぞ。
今すぐ吐け!」
「吐きません。
この件は、ピッグテヰル公爵との交渉条件になり得る話です。
つまり、ひいてはトキシン侯爵家の存続が。
更には我が領地の民の命が掛かったお話。
例え惨たらしく殺されようと、話すつもりはありません」
「よ、良く吠えたぞ、歯抜けぇ!
言っておくが、舌を噛み千切って一瞬で死ねるだとか。
そんな生易しい物だと思うなよ?」
私の躍動的な自殺の話もバトラーから聞き及んでおる様じゃが。
しかし、私の拷問に対する耐性までは知らんらしい。
私が吐かぬと言ったら、自白剤や脳味噌くちゅくちゅすら無意味なんじゃが。
……うむ、良し。
ここで、出すか。
私は椅子の上に立ち上がる。
「もとより。
たかだか侯爵代行が。
公爵様方と肩を並べて話しをしに来たのです」
そして、腹に巻いてあった、元々は白かった赤い晒を、するすると外していく。
「此処で、こうやって話をする機会を得られた時点で。
不敬罪や侮辱罪で処刑されることなど。
とっくの昔に覚悟は済んでおります」
晒を取ると。
横一文字に切り開かれた腹の傷口から。
腸がぼたぼたとまろび出た。
うむ。
こういう事もあろうかと。
屋敷に到着した時点で、腹を切っておった。
必死さを伝えるために使うつもりだったので、時的には微妙じゃが、まあ良かろ。
……しかし、晒を外したらすぐに中身が飛び出すとは思わなんだ。
お陰で、ちょっとくらっとしたぞ。
……あっ!
でもそう言えば此奴等、冷静で冷酷な奴らじゃった。
影腹切りくらいは見慣れてるかも。
く、しまった……。
私が鎮痛の面持ちで周りの反応を見ると。
……みんな、ぽかんとしておった。
ほっ。
良かった、流石にそんなに見慣れている物では無いらしい。
私は一安心すると、改めて言葉を続けた。
「繰り返しましょう。
例え惨たらしく殺されようと、話すつもりはありません」
「衛生兵ッッッ!!」
私の決め台詞を邪魔するかのように。
ダブルピース公爵が、悲鳴のような声を上げて衛生兵を呼んだ。
いやいや、当然ピッグテヰル公爵のお墨付きが貰えるまで、治さんでくれよ?
私の一連の腹切り活劇を見て。
阿呆みたいな顔をしていたピッグテヰル公爵は、やっといつもの調子を取り戻したようじゃ。
「……ぶひょ、ぶひょ。
ぶひょひょひょひょひょひょひょひょひょ!
お、面白い、面白いぞお、歯抜けぇ。
……い、良いだろう、今回はトキシン侯爵家の味方に転んでやる。
その代り……」
公爵は、自分の顔に飛び散っている私の血をぺろりと舐めると、続けた。
「きょ、今日から貴様は。
吾輩の、妻だ」
うむ。
……その血は大腸の血じゃから、糞とか混ざってないじゃろうか。
変な短編書きました。
こういう馬鹿小説が好きですが。
やっぱり人気はありません。
御暇でしたら是非。
『遺憾の意』がやって来る!
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日本国大本営から『遺憾の意』が発表された!
旧帝國陸軍汎戦闘術・『遺憾の意』の使い手・井之頭市助は、部下である九条京都と供に、今日も日本の国敵を物理的に叩く!




