第102毒 猛毒姫、102毒目のプロポーズ
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前回までのあらすじ
ずっとボツリヌス様の三味線ターン。
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やはり、此奴ら5公会議の正式な定義をしていなかったな?
まあ、あまりにも当たり前すぎてそんな事は普通せぬが。
そこにこそ、私の突破口は、ある。
「そもそも、5公会議への参加条件とは何ですか?」
私がそういうと、デカエース公爵が御冠になって答える。
「勿論、我らデカエース公爵家を始め、コロスキー公爵、サヨナラー公爵、ダブルピース公爵、ピッグテール公爵の5名のみというのが、この会議への参加条件だ!」
「それは違いますね。
例えば今後、サヨナラー公爵領を新たに治める公爵が現れた時、公爵様方は5公会議に参加させないおつもりですか?」
「……無論、参加して頂く事になるだろうな」
ダブルピース公爵が、私の話した内容を咀嚼しながら慎重に答える。
「では、『魔族領に面する領の公爵、もしくは公爵代行』というのはどうでしょう」
今度はコロスキー公爵が楽しそうに発言する。
「それも違いますね。
例えば、サヨナラー公爵が打ち取られた後、残された領民が再度戦線を構築。
捲土重来するために公爵家のなんばー2……例えば長男などが5公会議に参加しようとした時。
公爵様方は5公会議に参加させないおつもりですか?
彼らは公爵でも公爵代行でもありませんが」
「……成る程。
公爵が死亡する等、止むに止まれぬ不在の際に、他の者を代わりに参加させる事が出来るか?という事ですか。
……その場合は参加を許可するでしょうね」
コロスキー公爵は相変わらず笑いながら答える。
「ならば私から提案しましょう。
5公会議の参加条件は……『魔族領に面する領の代表』であると」
「……サヨナラー公爵が魔族領へと落ちたという事で、トキシン侯爵領の代表である貴女にも、参加資格が出てきたとおっしゃるのですね。
ふむ、それならば確かに……」
「ば、馬鹿な!
そんな滅茶苦茶、通るか!」
「いや、筋は通っている」
コロスキー公爵が納得し、デカエース公爵が異議を唱え、ダブルピース公爵が補論した。
よし、2対1じゃ。
穴だらけの理論ではあるが、勢いで押せるかのう。
私はちらりと最後の1人、ピッグテヰル公爵を見る。
「……ぶひょ、ぶひょ。
な、なかなか面白い三味線を弾くなぁ、歯抜けぇ。
こ、これ以上発言すれば、自分の首を絞めかねないと言うおまけつきか。
面白い、面白いぞぉ!」
おお。
そこまで読まれておったか。
「い、良いだろう。
き、貴様のその案を取りあえず飲もう!」
「……分かりました。
それでは、3対1で、トキシン侯爵代行の5公会議参加を認めます」
コロスキー公爵が笑顔でまとめ、渋い顔のデカエース公爵も含め、皆が頷いた。
よし、とりあえず第一関門突破じゃ。
私はまず一心地つくが。
戦いは、全然終わっておらぬ。
今のまま5公(?)会議を始めれば。
2対3……つまり、私・ダブルピース公爵 対 コロスキー公爵・デカエース公爵・ピッグテヰル公爵であり。
やっぱりトキシン侯爵領見殺しが決定するからじゃ。
あと1人、誰かを此方側の陣営に組み込まなくてはならない。
デカエース公爵は……無理じゃろう。
私にやり込められたせいで、すっかりこちらを敵視しておるし。
コロスキー公爵は、絶対に嫌じゃ。
見た目は好青年であるが、名前がやばすぎて、死亡旗が見え見えじゃ。
……となると、残りは。
仕方が無いので、私はぶひょぶひょ笑っておるピッグテヰル公爵に声を掛ける。
「さて、会議を始める前にピッグテヰル公爵にお尋ねしたいのですが」
「ん、んん?」
豚公爵は私の言葉が楽しいらしく、相変わらずのにやけ顔で返してくる。
私も同じく笑顔を浮かべて。
ピッグテヰル公爵に尋ねた。
「ピッグテヰル公爵様。
……私と、結婚しませんか?」
明日は馬鹿系の短編を書くと思います。
チェック頂けますと幸いです、はい。