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海老漁師

3日目のあらすじ。

恋人ができました。


ユーリside


一昨日初めての実戦で来た平野地帯に、俺と当夜さん、そして真朝の3人で来た。


・・・まぁ、昨日ずっといちゃついてたせいで俺の訓練が先延ばしになっちゃったわけで・・・


「おし、到着だ。ターゲットは覚えているな?」

「リッパーの討伐だよね、バッチリだよ」

「しかし・・・リッパー、て処刑人と呼ばれているネームドリッパーとどう違うんです?」

「そうだな・・・簡単に言えば実戦経験豊富で、長く生き永らえたリッパーをネームドリッパーと呼ぶ。普通のリッパーはまぁ、若輩者だ。魔狩では半分蔑称でエビ、て言われるくらいのな・・・」


・・・そういや作戦名が海老漁師だったな・・・


「まぁ、鋏があるからザリガニが一番近いか?普通の生き物で例えるなら」

「でもリッパーはあくまで魔物・・・それに中型の、ですよね」

「ああ。エビと呼ばれてるがやつは甲殻類の魔物、他の小型、中型魔物と比べれば多少なりとも堅い殻を持ってる。恐竜みたいな二本足もある分機動力もあるし、鋏の斬れ味も舐めれるもんじゃねぇ。気を抜けばこっちが狩られるぜ。中型魔物だからウルフと比べても単純な戦闘力はかなり上回るしな」


仮にも処刑人と同じ種類だ。経験の浅い俺と真朝からすれば充分強敵となるだろう。


「しかしまぁ・・・なんだ」

「どうしました?」

「いや・・・もうちょっと真朝とイチャつくと思ってたんだがな」


・・・いやまぁ確かに出発前までくっついてましたけど・・・


「舐めないでお兄ちゃん。いくら私でも危険地帯ではイチャつかないよ」

「ええ。ここで2人そろって死んだらそれこそ洒落になりませんからね」


2人とも、バッチリ腹くくってますよ。


「へ、心配いらなかったな。んじゃいくぞ!」

「うん!」「はい!」







「さて、この辺りから奴さんの周回ルートに入るんだが・・・」


やってきたのは湖畔。やはり甲殻類だからか水辺を中心に活動しているのだろうか。


「にしてもお兄ちゃん、恐竜みたいな二足歩行のエビ、て言われてもイマイチ想像がつかないんだけど・・・」

「本当にそんな感じだぞ。ちょいと肉食恐竜を想像してみろ」


えーと・・・ティラノサウルスみたいな感じか?


「そいつの頭が蟹みたいな目をして、海老みたいな触覚が生えて、前脚がちょっと長めの蟹みたいな鋏をしてて、尻尾がまんま海老の尻尾してて、背中が甲殻類特有の殻をしてる感じだ」

「えー、えーと・・・」


ティラノサウルスに触覚が生えて・・・目が蟹っぽくて・・・尻尾が海老で・・・前脚が鋏で・・・


「・・・当夜さん、俺の頭の中ですごいゲテモノが出来上がったんですが・・・」

「どんな想像したんだオイ」


最早原型留めてないティラノサウルスです。


「ん・・・2人とも、茂みに隠れろ」

「「了解」」


当夜さんが何かを見つけたらしく、俺たちに茂みに隠れるよう指示を出した。リッパーの登場だろうか・・・


とか考えていたその時。



バシャア ビチッビチッ


魚を挟んだ海老のような何かが陸に上がってきた。



「おーし、リッパーのお出ましだ」

「・・・なんか想像とちょっと違う・・・」

「いや本当になに想像したんだ」


原型留めてないティr(以下略)


「お兄ちゃん、奴が左の鋏で掴んでいるのって・・・」

「魚だな。奴らの主食だ。奴の体を見てみろ」

「体?それがどうしたの?」

「リッパーは住む環境によって見た目が変わるんだ。奴の体は青色に近いだろ?あれは水辺に住んでいる証拠だ。狩りを行う際、水に溶け込んで獲物に自分を悟られないようにあんな色になっているんだ」

「へぇ・・・青色以外にもあるの?」

「森に生息するリッパーは緑色だ。周りの草木に溶け込むためだな。で、住む環境が違うということは当然食性も変わってくる」

「青色のリッパーは奴みたく魚を食べるんですね」

「その通り。で、緑色の奴は鹿や猪みたいな、割と大型の獣を捕食する。当然人間もその中に入っている。で、狩りを成功させやすくするために青色のリッパーより若干鋏が大きいんだ」

「成る程・・・あれ、じゃあ目の前のリッパーは・・・」

「ああ。捕食目的で人を襲うことはない。ただ緑色のリッパーより縄張り意識が強くてな。侵入者を手加減無用で襲うんだ。鋏そのものの威力は緑色の方が上だが、気性の荒さなら青色も負けてねぇ」


食事中のリッパーにバレないように隠れながらコソコソ話す。今襲わないのもそのリッパーの縄張り意識の高さと、それに伴う警戒心の高さ故だ。


だが大概のリッパーは・・・


「・・・そろそろだな」

「ええ」

「そだね」


目の前のリッパーは食事を終え、キョロキョロと辺りを見渡している。そして確認が終わった後・・・




ボテ クココココ・・・



・・・寝た。


「・・・当夜さんの言う通りだな」

「ああ、大概のリッパーは食後、安全を確認すると狩りの疲労を取る為に昼寝するからな」



狩りをしてからの食後はぐうたらする、というのはよくあることらしい。身近なもので例えるとライオンとか。


「おし、あとはブリーフィング通りに動けよ」

「「了解」」


俺と真朝はそれぞれ左右に分かれて行動する。定位置に着いたら俺が合図、そしたら当夜さんが茂みから狙撃。その後俺が挑発してヘイトを稼ぎ、反対側にいる真朝が背後を晒したリッパーを攻撃、これが今回の作戦だ。


因みに真朝は真由と同じブレイバーで、プライマリは双短剣・・・つまりナイフの二刀流だ。セカンダリは双拳銃。まぁ詰まる所、当夜さんのスタイルに似たような感じだ。流石兄妹というところか。




(真朝、準備いいか?)

(オッケーだよ)


声を出すわけにはいかないのでジェスチャーで向こう側にいる真朝と連絡を取る。オッケーみたいだな。


(お願いします当夜さん)

(あいよぉ!)


続いて俺が当夜さんに合図を送る。




ズドォン!


クカアアアア!?


・・・流石当夜さん、相変わらず撃つまでが速い・・・


続いて俺がヘイトを稼ぐ。今は確実に当夜さんの方にヘイトが向いているだろうから・・・




ドン!ドン!


「おねむのところ悪いな海老さんよぉ!」


わざと足音を大袈裟に立て、あのシュミレーターと時みたく挑発。



クカアアアア!!


あ、随分と簡単に挑発に乗ってくれた。シュミレーターの時は実感湧かなかったがちゃんと効果あるんだな。


リッパーはこっちに向かって走ってきた後、両前脚・・・つまり鋏を振り上げながら跳躍してきた。


つまり鋏を此方に振り下ろしてくる・・・そのタイミングを見計らって・・・


「今!」


抜刀ガード!




ガキィィイ!




くぅぅう!やはりシュミレーターの時と比べて攻撃が重いし衝撃がデカイ!しかし・・・魔狩の補正もあってか、耐えれないものではないな!



「はぁぁぁああ!」


俺がリッパーの攻撃を防いだことを確認するや否や、真朝がナイフを構えて走り出す。そして先程のリッパーよろしく振り上げて跳躍し・・・


「どっせいぃ!」


ザクゥ!


最初の当夜さんの狙撃によってヒビがはいった甲殻めがけ振り下ろした。


バキバキバキ・・・


甲殻にはいっていたヒビが大きくなった。


「まだまだぁ!」


真朝は突き刺さったナイフを押し込みながら、リッパーに跨る。


あれがブレイバーの乗り込みらしい。動きの軽さを利用し、文字通り敵に張り付いてゼロ距離から攻撃するんだと。今回の場合跨ってヒビ割れた部分をナイフでザクザクやっている。


乗り込み攻撃には色々あるらしい。落ちながら腹かっ捌いたり、同じように跨って頭に銃弾ぶち込んだりとか・・・うん、えぐいな。


とはいえ魔物も当然黙ってザクザクやられるわけにもいかない訳で・・・


クカアアアア!


「おおおお落ちるうぅう!」


体をブンブン振り回して真朝を振り落とそうとする。刺したナイフを起点に踏ん張っているがそろそろ時間の問題だな・・・


「真朝!ナイフを抜いて奴の勢いを利用して飛び込め!」


当夜さんが真朝に指示を出す。と、同時に俺にアイコンタクトを送る。


「と、飛び込め、て言われてもぉお!」

「大丈夫だ真朝!俺が受け止める!」


剣を納刀し、体勢を整える。


「じ、じゃあ行くよ!」

「来い真朝!」

「と、とおおおおう!」


リッパーが体を振り上げたと同時に、ナイフを仕舞った真朝が此方に飛び込んだ。俺は腕を広げて真朝を受け止める体勢に入る。


ガシッ


「きゃっ」

「うし!」


そして彼女を抱え、勢いを殺す。ディフェンダーの補正があるからか、あまりノックバックせずに真朝を受け止めれた。


「よっしゃ!ナイスだユーリ!」


俺が真朝を受け止めたことを確認すると、当夜さんはリッパーに弾丸を撃ち込む。真朝を振り落とすことに精一杯だったリッパーは思わぬ不意打ちをくらう形になり、大きく体勢を崩してすっ転んだ。


「今だユーリ!」

「了解!」


当夜さんが弾を撃ち込むと同時に真朝を降ろした俺は柄に手を当てた状態すっ転んだリッパーに走り寄る。


そして真朝の攻撃によってボロボロになった背中の甲殻目掛け・・・


「ふぅぅう!」



バギャァっ!



抜刀振り下ろしを浴びせた。

この一撃により、リッパーは絶命。任務完了となった。




「おーし、追加依頼もないみてぇだ。お疲れさん」

「お疲れさまー」

「お疲れ様でした」


他に目撃された魔物もいないということでそのまま帰還となった。


「初めてにしては上手いこと連携がとれたな。少なくとも今回については文句なしだ。二人とも当初の予定であるスタイル有りきの技もちゃんと出来てたしな」


モルゲンロートに戻ってから反省会が開かれたが、これ反省することねぇな・・・と、当夜さんが言った。


「あ、当夜さんと真朝とユーリ、帰ってきてたんだ」


そこに真由が合流した。今日は非番だったな。


「おお、真由か。丁度いいところに。ちょいとこっち来てくれるか」


すると当夜さんが手招きした。真由は軽く首を傾げながら空いていた俺の隣に座った。


「えーと、とりあえず新人三人は、これで基礎プログラムは全て完了したこととなる」


当夜さんは真面目な顔をして言い出した。余程大事なことなのだろう。


「これからはいつ、どの任務に、誰と行くのか、ということも自由になってくる。任務に関しても余程危険なやつじゃなけりゃ好きなものを受けれる。任務を受けず1日副業に専念するもよし、休息をとるもよしだ。まあつまりは色々自分で管理しないといけなくなる」


成る程・・・一気に世界が広がるのな・・・


「まぁ最初のうちは俺たちに頼ってくれればいいさ。俺も仕事があるから毎回は行けねぇが喜んで同行するからよ。特に初めて挑む魔物の討伐の時は暫くは俺たちを同行させろよ」


確かに新人だけで挑むのは危険だよな・・・暫くは当夜さんに頼ることになりそうだ・・・ん?俺たち?


「お兄ちゃん、俺たち、てことは冬樹さんたちもいるの?」

「「冬樹さん?」」

「あー、ユーリと真由は知らねぇか。まぁ俺の同僚だ。皆、今はちょいと遠出してるけどな・・・昨日冬樹からは予定より早く此方に戻れる、て連絡があってな。明日にはここに着くみたいだ。里依紗もそのうち戻ってくるだろうし、あと浩二も論文を纏めに戻ってくる言ってたな」

「里依紗おねぇちゃんも浩二さんも戻ってくるんだ!」

「おう。真朝はお前の高校の卒業式以来か?」

「そうだねー。楽しみー」


・・・うん、あとで色々真朝から聞いておこう、そうしよう・・・


とりあえずまぁ、俺たちはこうして魔狩のチュートリアルを漸く終えたわけだ。これからまた大変なことになりそうだな。



次から漸く懐かしい人を出せそうです。


冬樹「懐かしい人言うなし」


浩二「・・・僕のこと覚えてくれている方いるんですかね・・・」


里依紗「あ、あはは・・・(汗)」

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