第8話:新しいお姉様。
月曜日になっても優子はクラスに現れなかった。
担任の先生が風邪のためだと告げたが、可奈は昼休みに、本当の理由を由紀に聞きにきた。
「今日優子さん休んでいるけど、昨日何かあったの」
「言いにくい事なんだけど、昨日の帰り道にね」
「優子さんに何か起こったの」
「知らない男に、抱き付かれたのよ」
「優子さんが」
「そう優子が。それにあの男優子にひどい事をいったの。
「優子の身体をさわりまくったあげく、『なんだ男か』といって、男は優子を倒して逃げたの。
「優子の顔は真っ青になって、身体が震え上がっていたのよ」
「よほど怖かったのね」
「そのことが原因で学校を休んだのよ」
可奈は、優子がそんな目にあった事が心配でならなかった。
学校が終わったら、優子の見舞いに行くと由紀に言った。
「それは優子も少しは元気になると思うわ」
由紀は可奈の心遣いに感謝した。
放課後、可奈は由紀の家に行くことにした。由紀の家に着くと、可奈は優子の部屋に入った。
「優子、可奈が心配してくれて家に来てくれたわ」
「大丈夫だったの優子」
優子は二人の顔を見て、突然こう言った。
「わたし女の子よね」
「そうよ、優子は女の子よ」
「本当、由紀お姉様」
「そうよ。優子さんは女の子よ」
「ありがとう可奈さん」
優子は二人にそう言われてうれしいそうに笑顔を見せた。
由紀は、優子の笑顔を見ておもわずこう言った。
「わたしの事も可奈お姉様と言ってくれる。
だって、優子の笑顔とても可愛いからわたしの妹になってくれないかしら」
「可奈さんがわたしのお姉様になってくれて、うれしいわ。
わたしに二人のお姉様が出来て、とてもシワアセ」
「四年生になったらわたし達、家庭科部に入らない」と可奈は言った。
「だって由紀もわたしも女の子らしくないでしょ」
「この三人の中では優子が一番女の子らしいよね」
「由紀お姉様。わたし恥ずかしい」
「わたしも、妹の優子が女の子らしいわ」
「可奈お姉様まで」
二人のお姉様にそう言われて、優子の頬は夕日のように赤く染まった。
「週末は女の子。」はこれで終わりですが、次の話で優子ちゃんがみんなから女の子として扱われます。どうなって扱われるのかは愉しみにしてください。読んでくれてありがとうございました。