第7話:はじめてのティーパーティー
日曜日の昼下がり、可奈が待ち合わせの時間に遅刻しそうだったのでは走ってきた。
可奈が待ち合わせの公園に着いたら、勇樹は公園のベンチに座っていた。
「遅れてゴメン勇樹くん」
「平気でしたわ菊地さん」
可奈は勇樹を見た。勇樹は女の子の服を着ていて、髪型は三つ編みをしていた。そして勇樹の顔は化粧をしていた。
「どうしたの菊地さん」
「負けたわ」
「なにが負けたの」
「だって勇樹くん、わたしより可愛いもの」
「そんな可愛いだなんて」
「それにそのしぐさよ。まるっきり女の子よ」
「ありがとう菊地さん。でも今は女の子だから」
「あっそうか。今は優子さんなのね。じゃ優子さん家に案内するわ」
優子は可奈の家に案内された。
可奈の家は、公園から少し離れたところにあった。家にたどりつくと、可奈の母親が出迎えてくれた。
「ただいまお母さん」
「おかえり可奈、あなたはたしか」
「はじめまして可奈さんのお母様。中原優子と申します」
「優子さんは、わたしと同じサッカークラブに入っている由紀の妹なのよ」
「由紀お姉様がいつもお世話になっております」
「そんな堅苦しいアイサツは抜きにして、家に案内するね優子さん」
優子は家に入り、可奈の部屋に案内された。でも可奈の部屋も由紀と似た部屋のようだった。
「ごめんなさいね優子さん。可奈の部屋が散らかっていて」
「ひどいお母さん。これでもキレイにしたのよ」
「由紀さんに妹がいているなんてしらなかったわ。たしか、お兄さんがいたと聞いていたけど。
何か飲みものを持ってくるけど」
「あの、わたしプリンをつくってきたの」
「このプリン優子さんがつくったの」
「はい。由香里お母様といっしょに、朝からつくっておきましたの。お口にあうかわかりませんけど」
「ありがとう、これをみんなでいただきましょう。
可奈手伝ってちょうだい」
可奈と母親は、いっしょに部屋からでた。
「それにしても優子さんてとても女の子らしいわ。
可奈も見習ったらどうかしら」
優子が男の子と知ったらお、お母さんはどういう顔をするのだろうと可奈は思った。
可奈の母親は、天気が良いから外でお茶を飲みましょうと言って、可奈は優子を呼びにさそいにいった。
可奈の母親が、庭でお茶の用意をしていた。
「今日は優子さんが来たから、庭でティーパーティーを開いたわ」
「ありがとうございます」
「でもお母さん、庭でこんな事をするのはじめてだったよね」
「可奈が連れてくる友達はみんながさつなのよ。
優子さんみたいなおしとやかな女の子を連れて来たら、いつでも開くわよ」
「優子さんがつくったプリンとてもおいしいよ」
「可奈たら、もっとゆっくり味わったらどうなの」
三人は時間を忘れて、パーティーを満喫したのだった。
「こんなパーティーを開いて菊地さんありがとう」
「菊地さんだなんて、可奈と呼んでちょうだい。わたし達友達同士でしょ」
可奈に友達と呼ばれて、優子は突然泣きだした。
「どうしたの優子さん」
「だって、わたしの事を友達だと言ってくれたのが、わたしうれしくて」
「そんなに泣いたら、せっかくのお化粧も台なしだわ」
「わたしの部屋で化粧をなおしたらいいわ。行こう優子さん」
可奈は、優子の手をとって部屋に入った。
優子が化粧をなおしているとき、可奈はカラーリップが目に入った。
それは、ドラッグストアで由紀といっしょに買い物をしたとき、由紀がキライなカラーリップを買ったので訳を聞くと、優子のプレゼントだと由紀がテレて答えたのを可奈は思いだした。
化粧をなおし終わり、可奈の母親がひとりで帰って大丈夫なのと心配そうにいうと、
「公園で由紀と待ち合わせしているから心配しないで。じゃ優子さん行きましょう」
優子は可奈の家を後にした。公園には由紀が待っていた。
「二人とも遅い」
「ゴメン由紀、優子さんと話に夢中になって」
「わたしも可奈さんといっしょにいて楽しかったですわ」
「二人ともいつのまに、こんなにに仲良くなったのね」
優子と可奈はおたがいの顔を見て笑みを見せた。それは新しい二人の友情のはじまりだった。
「明日学校で会いましょう可奈さん」
「ええ優子さん。でも明日会うのは勇樹くんなのね。じゃ次は優子さんの家に遊びに行くから約束よ」
優子と別れた後、可奈は帰ったら母親を喜ばすためにお手伝いしてをなるべくしようと思った。