第1話:放課後の図書室
この物語は、《ぼくは女の子?》の続きです。
勇樹は、学校の中にある図書室の本の整理してたが、図書室の中には勇樹しかいなかったなかった。
勇樹はクラスの図書係で、毎週金曜日の放課後は、ほかのクラスの図書係も本の整理をする日と決まっていた。
でも、金曜日の放課後の図書室にあつまる図書係の数が、だんだん来なくなり、そして今日の金曜日、図書室に来たのが勇樹しかいなくなった。
だから勇樹はたったひとりで、図書室の本の整理をしていた。
勇樹が本の整理をしていると、図書室のドアのあく音がした。
「中原くん、ひとりで整理してるの」
勇樹に話しかけたのは、同じクラスの女の子、菊地可奈だった。
「うん、そうなんだ。とうとうぼくひとりだけになったの」
「だって中原くんだけ、毎週マジメに図書室に来ているから、みんな中原くんに押し付けたのよ」
「でもほら、本がボロボロになったりしたら、ほかに本を借りる人がこまるでしょう。
それにぼく、本を読むのは好きだから」
「中原くん、ホントに本が好きなのね」
「菊地さんは、図書室に何の用事があったの」
「先生に頼まれて、あの本棚にある本を取りにきたの。
あら。中原くん髪の毛のばしてるの」
菊地さんが、勇樹の髪のながいことに気が付いた。
「中原くん、髪をのばしているから女の子みたいね。 中原くんが女装したら、双子の由紀さんよりも、女らしいわ。
それじゃ、この本かりるね。バイバイ」
菊地可奈が、図書室から出ていってから、図書室にはだれもこなかった。
おおかた、本の整理がおわるころ、下校をつげるチャイムがなった。
勇樹は図書室のカギを閉めて、職員室の先生にカギをわたして学校をでて、家にかえった。
勇樹は、図書室で菊地可奈のなにげない一言に、ドキッとした。
家の中ではいつも女装をして優子という名前でよばれ、妹の由紀には兄としてではなくて由紀の妹となって女の子あつかいされることに、菊地可奈はこのことをどう思うだろうと、勇樹は思うのだった。
勇樹が、そんな考えをして家にもどった。