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第六話 魔人出現

【ナギ目線】


「俺がアイツらの世話係!?」


 俺は唖然とした。


 俺がアレンとラインと一緒に任務を熟す事になったらしい。


 しかも、許可無しにだ。


 ライヴァンさんは、こう言う適当な所があるのは知っていたが、ここまでとは....


「そう、アレンとラインはまだ魔剣士になって日が浅いからね。だから、ナギに頼みたいって訳。僕は、少し出張に出なければいけないから」


 仕事だから仕方ないか。


 それにそこまで足引っ張らないだろうし、あの時のように助かるかもしれん。


「....分かりました。で、今回の任務はどのような?」


「そう言ってくれると思ったよ!!今回の任務はね――」


 【アレン目線】


 どうやら今回の件は、レベル3の魔物が工場で出現したらしく、働いてた従業員の殆どは避難したらしいが、全員とまではいっていないらしく、3人まだ居るらしい。


 と言う事で、ライン、ナギ、俺で生きている従業員を救出し、魔物の討伐が課せられている。


 ライヴァンは居ないのか....少し残念な気持ちもあるがこのメンバーで任務行けるのも嬉しい。


 そして、もう死んでいる人は、放置しろとの事だ。


 あくまで、第一優先は、魔物の討伐だそうだ。


 人命救出は、無理するなと。


 そうやって、魔剣騎士団の関係者が言ってた。


 説明してくれた人の名前はロインと言うらしい。


 現場監督的な事をしている人らしい。


 ま、俺にとっては人命救助も魔物討伐も第一優先だ。


 どっちも出来ないと、ヒーローになれねぇ。


「アレン何をしている?早く行くぞ」


 ナギが振り向き、手招きをする。


「遅いわよ。先に私が殺しちゃうわよ」


「ちょっと待って....」


 俺が言い掛けると被せるように女の人の声が耳を刺す。


「私の兄が....まだ!ここに!!お願いです助けて下さい」


 何でここまで民間人が来ている?


 無理矢理ここまで来たのか。


 てか、兄?そっか、家族がここの被害に。


 少女が涙を瞳に溢れ、顔をグシャリと濡らす。


「すみません。ここからはもう危険地帯なので」


 魔剣騎士団関係者が少女を静止する。


「兄は、本当に良い人なんです!!私達の家が貧乏だから!だから、ご飯を満足に食べさせてあげたいと、学校に行かず工場で!!お願いです。私のせいで....」


 俺の胸が信じられない程、ギュッと締め付けられた。


 顔が崩れそうになる。


 この人の兄が生きている保証は何処にもない。


 死んでいる確率の方が高いだろう。


 だが、諦めきれない。


 魔物もレベル3程度だろうから、被害はそこまで出ている事はない。


「絶対救い出す。どっちを優先させるじゃない、どっちも必ずやり遂げる。お前らもそのスタンスで頼む」


「私のせいで人が死んでしまったら、落ち込むってこの前に言ったでしょ」


「レベル3の魔物は、一体だけと聞いている。人を救ってる余裕はあるだろう」


 俺は、意を噛み締め、工場の中へと入った。


 工場の中は、まるで嵐の通り過ぎた後の海のように荒れていた。


 鉄で出来た機械は、捻じ曲げられ歪んでいる。


 壁には無数の傷が付けられており、鋭い物で付けられているようだった。


 爆発されたかのように焦げた臭いが鼻をツンと刺す。


 金属同士がぶつかり合い軋む音を残している。


「にしても、気持ちの悪いな。魔物が住み着いた場所はどこもそうなのか?」


「魔力は、不安定物質だからな。だから、攻撃性が高く、人へと危害を加え、不快と感じる」


 ナギは淡々と説明をした。


「そんな空間に長く居たくないわね」


 ラインは機械を人差し指でフッと触り、付着した汚れを息で飛ばす。


 その行動を見たナギが口を開く。


「機械に安易に触るな。放置された機械は、下手に触ると爆発したりするかもしれん」


「やっぱ、ナギは頼りになるな。安心して任務を行えるよ!!」


 俺の言葉を聞くとナギは、目線を下へとやった。


 そして、魔力が濃い方へと足を進めていると、グッと足を掴まれた。


「魔剣士の方々ですか....?」


 風一つ吹けば消えちゃいそうな男性の声が聞こえた。


 俺は、びっくりして尻餅をつく。


「大丈夫ですか!?」


 ナギが足速に駆け付けると、男性の容態を見る。


「特に目立った傷はない。だが、魔力による体の侵食が進んでいる。早くここから出さなければ....!」


 早くここから出さなければいけないのか。


 なら、俺がコイツを外へと運ぶか。


 ナギがここで1番強いから、戦って貰わないと困る。


「この先には、非常口があるからそこら辺に居た人達は、きっと逃げられていますよ。そう言う訓練もしてたので....それと、1人が喰われています。もう手遅れだと思う....」


 男性は拳を強く握り締め言った。


 クッソ、1人はもう死んだのかよ。


 助けられなかった....


 でも、この先の人は逃げられていると言うことか。


 良かった。


「ナギ、俺がコイツを外へと運ぶ。運んでいる途中にも他の生存者を探し出す」


 そう言いながら、男性をおんぶする。


「そっか、なら俺とラインが魔物を殺す」


「それが良いわ。二手に別れましょ」


 ラインの能力は確か、武器を縛りを付ける事で、特殊な能力を上乗せ出来るだっけな。


 何を武器かにするかは本人次第と言ってたから、この工場には危険物いっぱいあるし好都合な状況だろ。


 ったく、俺にもユニークスキル発現してりゃ良かったのに。


 とにかくこの工場は広すぎる。


 あと1人何処にいるんだ....


 俺は、さっき来た道を引き返そうとすると、ナギの方から爆発音が聞こえた。


「大丈夫か!?」


 俺は咄嗟に後ろへと振り返ると、赤い目が体に何個も付いた魔物が雄叫びをあげながら、機械へと乗っていた。


 爆発した機械から炎が溢れ出し、辺りを包む。


「ここは任せろ!!行け!!」


 ナギの迷いない芯のある声に安堵した。


「それじゃ任せる....」


 後ろを振り向こうとした瞬間、何者かが上から降ってきて魔物をペシャリと潰した。


「コイツと戦い合わせて生き残ったら俺出ようと思ったけど、待ちきれないよ。楽しい事は俺は大好きだからね」


 何処か幼稚で楽しそうな声で、魔物の血が付いた手を舌でぺろっと舐めた。


 俺は気付くと過呼吸になっていた。


 コレは、相手の能力でではない。


 本能に死を直感したからだ。


 見た事ない圧倒的な強さ。


 ナギとラインの方へと見ると、俺と同様に過呼吸になっており、震えていた。


 レベル3の魔物だけじゃ無かったのか!?


 一体どうなってやがる。


 そんな事考えてる場合じゃないか。


 ナギがやっとの思いで口を開く。


「逃げるぞ。あの魔人はレベル5だ。俺らでは絶対に勝てない。アレン!!その男性を置いてけ。そいつを連れて逃げるのは無理だ!!状況が変わった」


 何言って....?


 今、この男性を置いてけって言ったのか?


 ここで見捨てて死なせるって言うのか?


「無理に決まってんだろ!!ここで殺すってのか?」


 ナギは俺の胸倉をガッと掴んだ。


「時と場を考えろ!!俺らが死んでたら元も子もない。もう俺らの目的の魔物は殺せた」


 そう怒鳴るナギに俺は怒鳴り返す。


「俺らは魔剣士だろ?人を助けなくてどうする!!」


「俺らは、魔剣士であってヒーローではない。時には、死の選択に狭まれる。俺らが死んでたら、それこそ被害が広がり民間人が死ぬぞ」


「ちょ!こんな時に何やってんの!!」


 ラインが焦りと怒りが混じった声で俺らを静止しようとする。


「別に俺は気にしないよ!!怒りとか言う攻撃的な感情は好きだよ」


 嬉々そうに魔人は喋った。


「なら、俺1人でアイツを止めてやる。この男性は頼んだ」


 俺はナギに男性を渡す。


「でも...」


 ナギの眉の端がほんの少し下がり、額に細いしわが寄る。


 何かを考えるてるかのように、軽く震えていた。


「大丈夫だ。信じてくれ」


 俺はあの魔物に勝てない。


 天と地がひっくり返ってもだ。


 それは、先程の魔物も1人で倒せるかどうか怪しかったからだ。


 でも、倒せなくて良いんだ。


 あくまでコレは時間稼ぎである。


 それに俺には必殺技がある。


 ナギは何かを察して、「すまない」と歯をギュッと噛み締めラインと男性を抱え撤収してくれた。


 ラインは、「何であんただけ!!私も戦えるわよ」などと、もがきながら言っていた。


 ラインは、俺が白龍を宿している事知らないのか?


 まぁどうでも良い。


 今は、こいつの事しか考えなくて良い。


「あれ?もう、いざこざ終わったの?君の仲間は君を置いて逃げたのかい?」


 大きなタンクに足を組みながら、魔物は言った。


 火の海のように燃える工場内では、薄暗かった場所も明るく照らされる。


 魔人の顔も照らされ、興味津々に笑う顔に真っ直ぐな傷のある顔が映し出される。


 声質的に男なんだろうが、中性的な声でストレートな長い髪なのが目立つ。


「ああ、別れの挨拶は済んださ。今はお前をボコる」


 俺はそう言うと、ケヒッと魔人は高らかに声を上げ笑った。


「ボコされるの間違いだろ?魔剣士」


 暑苦しい今にも肺が焼けそうなこの空間で、俺と魔人は睨み合った。

 


 

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