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第五話 所属する理由

【アレン目線】


「わりぃ!遅くなった。大丈夫だったか?」


 空中に舞って、俺は叫んだ。


 地面に着地と同時に、魔物の腕を切り落とし、2人の少年を奪還する。


 魔物は、目を大きくかっぴらくと背中を丸め逃げていく。


「逃がすかぁ!!」


 ラインは怒りが混じった声を発すると、地面から何かを拾う。


「あんまり使いたくなかったけど....アレン!私に背を向け子供を守って」


 俺は言われるままに、少年達を手で包み、背中を向けた。


「なんか分かんねぇけど、やっちゃって!!」


 ラインは、黒く丸い物体を手に強く握りしめ、ピンを口の端で引き抜く。


 まさか、爆弾!?


炸裂焦(さつれくしょう)爆丸(ばくがん)!!」


 そう呟き爆弾を壁の方へと投げた。


 すると、閃光の光が周辺を覆った。


 咄嗟に俺は、反射的に目を強く瞑り、少年達を強く抱きしめる。


 背中がピリッとヒリつく。


 その瞬間、パッと魔物の気配が消えた。


 それは、爆弾の爆発による気配のかき消しなのか、それとも倒せたのか。


 それを知ったのは、爆発が落ち着いた頃だった。


「ったく、危なかったわぁ。ねぇ見た?凄かったでしょ。コレが私のユニークスキルよ!!」


 ラインは誇らしげに語る。


 ユニークスキルって....あぁ、サラッとライヴァンに聞かされた事だが、生まれつきに持っている特殊能力的な奴らしい。


 皆、持っているらしいが、その能力が発現する事は稀らしい。


 壁貫通を起こせるのか。


 どんなスキルかの詳細は、後で聞いとこ。


 割と気になるし。


「あぁ凄いスキルだ。助かった!!」


 俺は、顔をほころばせた。


「そんな事より、早く子供達を運ばないと!」


 慌てた様子で俺に包まれた少年達を腕に乗せると、外へと出ていった。



 少年達が歯車の付いた乗り物に運ばれ、大きな馬車へと乗せられた。


「ラインって何でこの職業に就いたんだ?」


 俺は、ふと思ったので聞いてみた。


 この職業は、好かれる職業でも無いからだ。


 だから、ただの興味本位で。


「お金が無く、極貧生活だったからだよ。だから、高月給のこの仕事に就いた。まぁ親が死んで、孤児だったのよ」


 顔を俯かせ、瞳を揺らした。


「へぇ、なんかすまん」


 俺の謝罪を受け取ると、ラインは首を振った。


「別に良いわよ。高月給だから、私のオシャレが出来るもの。私の空いた心を埋めてくれる」


 彼女は、そう言うと何かを思い出したかのように、空を見上げた。


「まだ、あの時のお礼言ってなかったわね。子供達を助けれなかったら、きっと私は相当落ち込んでた。ありがとう!!」


 彼女は顔を赤く染めた。


 俺は、拍子抜けした。


 あんなに印象の悪い人が感謝の言葉を言えるなんて。


「まぁ、俺ら仲間だろ?助け合いが必要だし別に....」


 辿々しく喋ってると、彼女は表情を一気に顔を鋭く豹変させた。


「はい!!私の事喋ったんだから、あんたも教えなさいよ!私だけ喋るなんて不公平だわ」


 彼女の言葉は、どこか棘があるように感じるが、きっと照れ隠しみたいな物なのだろう。


 別に恥ずかしい理由でも何でも無いし、答えるか。


「ヒーローになりたかったから」


 彼女は、顔を引きつらせたが、嘲笑するように笑った。


「ヒーローになりたいって....あんたガキすぎでしょ!!」


「あぁ!!笑ったな!ったく、何回笑われれば良いんだよ!」


 え、俺何言ってんだ。


「へぇ、誰に笑われたの?親?友達?」


 そんな事言われて....


 また、訳の分からない記憶が出てきたのか。


「すまん、思い出せねぇ。俺記憶無くしてんだ」


「え?それって....じゃぁ大事な人も思い出せないんだ....」


「あぁ、だから、その為にも原因を突き止めるため魔剣士やってんだ」


「そっか....あんたも何か重いものを背負ってるんだ。お互い様ね。これからよろしく!」


 胸ら辺を軽く拳に付ける。


「よろしく!」


「おーい、お疲れ様ー!!良い活躍っぷりだったよ!!そんじゃ、どこの飯行く?」


 ライヴァンは、手を振って陽気に喋った。


「ステーキ食べたい!!」


 ラインは有無を言わせない強い口調で喋った。


 ステーキか、確かに食べたい!!


「俺もステーキで!」


 ライヴァンは手を上げて言った。


「決まりだね。じゃ、出発進行!」


「おーう!!」


 俺達も手を握りしめ手を上げた。



 暗い部屋で10人のお偉いさんとライヴァンが対談をしていた。


「ちゃんと白龍を宿す者は使えてるのか?ライヴァン」


 そう嫌味な口調で喋るのは、魔剣騎士団のお偉いさんだった。


「彼は素晴らしいですよ。僕の期待を応えてくれる」


 ライヴァンは、お偉いさん達から圧力を掛けられていた。


 白龍を宿した例に前例のない人を魔剣騎士団に保護をしているからだ。


 故に白龍による民間人への被害が起こされた際、お偉いさんの立場、税により運営されている魔剣騎士団の立場が危うくなるからだ。


 お偉いさん達の意見は、総じてアレンの死刑を直ちに執行する事である。


 だが、ライヴァンも魔剣騎士団を支えている大きな柱でもある。


 ライヴァンとの意向に合わず、魔剣騎士団を抜けられたりでもしたら、それもまた魔剣騎士団の立場を危うくする。


「忘れてはおらんだろうな?白龍が民間人に危害を加えた場合どうなるか分かってるだろうな?」


「えー、“死刑執行する”でしょ?大丈夫ですよ。彼に関係のない人々を殺させませんよ」


「しかし、ライヴァン。お前がアレンばかりに構っておられると、他の魔物への被害はどうするのだ?」


 ライヴァンは、魔剣騎士団の最強戦力であり、少ない人員の1人だ。


 ライヴァンが熟す任務は、山となる程ある


 従って、ライヴァンには好きに出来る時間はないのだ。


「はいはい、分かっていますよ。大丈夫。大丈夫。信頼の出来る後輩が居るんでね。それより、あんた達の歪な実験に気を配った方が良いですよ。ボケて、失敗でもしたらショックで死んでしまいそうですし」


 お偉いさんは、秘密裏に実験を行っていた。


 その実験の歴史は長く、800年も続く。


 その古くからの柵は、時代を越え、形を変え今も受け継がれてきた。


 実験の詳細は、未だお偉いさんの中でも数少ない人しか知らず、ライヴァンさえ曖昧な事しか知り得ない。


「クソガキは、コレだから困る。最近の若い者は礼儀すら知らんのか」


 お偉いさんは、唾棄をしながら言った。


「はは、流石の僕でもそんな事を言われちゃ照れますよ。時代の流れに順応した方がいいですよ。老害」


 黒いサングラスの奥で鋭い眼光でお偉いさん達を見て、立ち去って行った。

 

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