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第二話 目の前にハットを被った男が....!!

 目を開けた瞬間、ぼんやりとした光が視界に広がった。


 頭の中は霧がかかったようにぼんやりしていて、全身が重く感じられる。


 頭を打ったような痛みが引き起こす、軽い耳鳴りのようだった。


 手が動かせない。


 俺は自分の周りを見てみると、どうやら椅子に縛り付けられているようだった。


 無機質な金属で出来た部屋は、外の世界と遮断されているようだった。


 腐った肉の匂いが鼻をツンと刺し、吐きそうだ。


「ここは!?」


 俺は思わず言葉を漏らすと、その部屋に居た一人のハットを被った男が影から顔を出す。


「おーやっと起きたか。自己紹介必要ないと思うが一応しとく。ゲルバだ。よろしく」


 あのおっちゃんではないのか。


 なら、コイツは誰だ?


「ダメじゃないか。店の物を勝手に食べちゃ」


「店の物?あれタダであげている食いもんじゃ無かったのか!?」


「タダ?そんなモンある訳ねぇだろ」


 あれタダの食い物じゃなかったのか....


「それは俺が悪かった」


 俺の謝罪にゲルバは呆気に取られふと笑い出す。


「タダ飯食った奴が居ると聞いたからどんな奴かと思ったら、謝れんじゃねーか」


 あのおっちゃんとゲルバと言う男は、何の関係がある!?


 それにここは、タダ飯食いをした俺へ罰を下す所なのか?


 今思えば、俺は今日何も上手く行ってない。


「お前混乱してんのか。良いだろう。ここは何処か説明してやる。ここは、裏路地にある地下室だ。お前は、“ここ”と繋がってる店主に運ばれてきたのだよ。で、俺らは何をお前にするかだが....お前を魔物に喰わせる」


 嘘偽り無い真摯な鋭い目付きに、冗談では無いと理解させられる。


 は?コイツ何を言っているんだ?


 俺を魔物に喰わせる!?


 魔物って....あのバケモンと同類の奴らか。


 そんな奴をペット代わりに飼ってるとでも言うのか?


 にしても、俺はそのペットの餌になる理由がない。


「流石にそれは....やりすぎじゃねぇか!?確かに俺が悪かったし、罰も受ける。だが、その罰じゃ、釣り合ってねぇ!!」


 男は、俺の命乞いを聞くと、手を顔に近付けクッククと笑い出す。


「罰!?それはお前を連れ出す表面上の理由なだけさ。魔物に人を喰わせ、魔物の力を強くする。それを裏社会で見せびらかし、俺らの権力を向上させる。これが本当のお前を連れ出した理由だ」


 続けて、小声でそれに、際どい勘違いさせる売り方をしている店主が悪いからな。と付け出す。


 俺ら?って言ったよな。


 こんなイかれた事をしているのは、コイツだけじゃない。


 組織で形成されてるって事だよな。


 仲間が居るってことか。


「おい、後を見てみろ」


 俺は男の言われるままに真後ろを見ると、何重にも鉄の鎖で壁に縛り付けられている魔物がいた。


 そのデカく赤く染まった尖った歯が付いている口からは、ヨダレがダラっと垂れており、鎖を引きちぎろうと必死だ。


 目は真っ赤な色をしていて、その目で俺を見据えていた。


 俺は固唾を飲んだ。


 あの生臭い肉の臭いもまさか....


「びびったか?アイツは俺達を喰おうとしか頭に無い能無しのバケモンだ」


「お前らあんなのを育て....」


 俺は絶句した。


 俺は、あのバケモンではなく、意図的にバケモンを育てているコイツらに。


 こんな分かりやすい悪が居たとは。


「こんな仕事してんだ。俺らは狂ってんだ。だから、お前を意識ある状態で喰わせるんだ。喰われていく人間の悲鳴を聞くのは最高さ」


「お前....こんな事をしてたら、思わぬ形で返ってくるぞ。正義の目は必ずお前に牙を立てる」


 俺はゲルバを睨み上げた。


 ゲルバは、その言葉を聞くなり、頭に被っていたハットを深く被り俺の方へと向かってきた。


「俺もこんな事してりゃ、いつか殺されると思ってるし、地獄行きっての分かっている」


「開き直り....無敵状態って訳か」


 男は大きく息を吐き言った。


「開き直りとはちょっと違うな。少し、喋りすぎた。今からお食事タイムの始まりさ」


 そして、男はそう不敵の笑みを漏らすと、俺が座っている椅子を魔物方へと引きずった。


 クッソ!!縄が解けねぇ。


 椅子も破壊不可能だ。


 無理矢理壊そうとしても先に俺の体が壊れるだろう。


「簡単に壊せねぇように、魔力で補装されてんだよ。大丈夫さ、断末魔は、大抵3秒ぐらいで消える」


 俺は至近距離で魔物とやらを見る。


 クセェし、歯には、血がこびり付いてんのが分かる。


「さぁ、どんな断末魔を聞けるかな?」


 木で出来た椅子が軋み、ゲルバに力が入ったのが分かった。


 クッソ!!万事休すっていう奴か。


 俺がそう諦めかけていた瞬間、天井がガラっと崩れゲルバと俺の目線は釘付けにされる。


「魔剣騎士団のナギだ。魔物を意図的に所持している事により、今からゲルバお前を殺す」


 アイツって小川で喋った奇抜な髪型をしている無愛想な男じゃなかったか!?


 ゲルバは、その言葉を聞くなり、懐から鋭いナイフを取り出し鞘を抜いた。


 だが、それ以上にナギが剣を抜きケルバの間合いに入った。


 ナギの踏み込みは重く、床にヒビが入り揺らす。


 俺が目視する前に、ケルバの首を一突きした。


 ケルバが崩れるように倒れるのをナギは支えた。


「また会ったな。お前は、悪運だけは強いようだな」


「ナギって言うんだな!俺は....」


 あれ、俺の名前って何だ?


 記憶が無いから分からない。


 まぁ適当に....


「俺の名前はアレンだ!!助けれくれて、ありがとう!!」


 俺がそう言うと、ナギは表情一つ変えずにこう返した。


「俺は任務をこなしに来ただけだ。感謝される義理はない」


 ナギは、死んだケルバを床に横たえると、剣で縄を切った。


 ったく、コイツ感情の表現の仕方を知らないのか?


 無愛想すぎるぜ。


「お前は、ここから離れろ。ここは危険だ」


「ナギは、あの魔物を見張るのか?」

 

「あぁ、それとナギって呼ぶな。馴れ馴れしい」


 トーンが低くなった。


 【ナギ視点】


 あの魔物は、レベル3クラスの強さを持っているだろう。


 俺の力でもまだ心許ない。


 取り敢えず、ライヴァンさんが来るまで現状をキープする事が良いか。


 アレンとやらは、まだ子供のようだし、こちらが保護し、親御さんに連れてって貰うのが良いだろう。


 それにしても、ここまで魔物を育てるなんて、一体どれだけの人が喰われてるんだ?


 ケルバと言う奴もそれに加担した一員という訳か。


 このような事が行われている事は分かっていたが、見つけるまで、時間が掛かってしまった。


 不甲斐ないばかりだ。


 ケルバを注視すると


「ッツ!!」


 俺は目を疑った。


 俺の目に映ったのは、ケルバのズボンのポケットから出たヒビの入った魔道具だった。


 魔道具は、魔物の力を吸収し、暴走を止める役割もある。


 もし、コレがその役割を担っている魔道具だったとしたら。


 魔物を縛り付けていた鉄の鎖が一気に弾け、俺へと襲い掛かってくる。


 俺は気付くのが遅かった。


 体が反応しな....


 ドサ!!


 喰わせそうなになる束の間、横腹が、ギュッと何かに掴むように押され、壁際に体をぶつける。


「大丈夫か!!」


 俺を助けてくれたのは、アレンだった。


「すまない。でも何故ここへ戻ってきた!?何故逃げずに助けた!?」


 アレンは、俺の問いを聞くと、無理にへへっと笑った。


「トイレ出来る場所を聞きに来たんだが、魔物が鎖を千切る所が見えたからよぉお。お前に助けられたから借りを返しただけだ。それに、ここで俺が逃げ出したとして、被害は民間人まで及ぶ可能性がある。そんなのは間違ってるって思う。俺の心の中に漠然と誰かを助けないとって、渦巻いているんだ。だから、ここで俺は被害を食い止め、ヒーローになるんだ。皆んなに感謝されるヒーローになぁああ!!最高だろ?」


 ヒーローか....そっか、こいつもそんな信念があるのか。


 理由がどうであれ、立派な大義だ。


「確かに、お前は悪運は強いもんな。どれだけ体が動かせる?」


 民間人に助けて貰うのは、悪いがどうも俺一人では、コイツを足止め出来そうにない。


「あんま分かんねぇが、体が丈夫なのは、自信がある!」


 アレンは、そう言うとキメポーズを取った。


 こいつ丸腰では、幾ら体が丈夫でも攻撃を受けたら体が真っ二つだろう。


 俺が常備しているナイフでも渡すか。


「丈夫なのは良いが、ナイフを渡す」


 俺はナイフを投げ渡した。


「よっしゃ!!魔物を待たせているようだし、広いこの空間で戦いだぁああ!!」


 アレンは、手のひらに拳をぶつけ、気合いを入れると魔物へと走り出そうとしたが、俺は静止した。


「アレン!!お前は前に出んな。俺の後に居て、援護に徹しろ!!」


 殺す事は考えるな。


 あくまで足止めで、攻撃を受け流す。


 まともに戦えば、多分死ぬ。


 先手では、俺では無く魔物の腹の部分を空気を伝わり、俺へと猛威を振るう。


 咄嗟に剣で受けるが、重さに耐え切れず吹っ飛ばされた。


 壁におもいっきり強打し、次の瞬間、嫌な音が体の奥で鳴った。


 背中に走った衝撃と同時に、力が抜ける。


 コレ、背骨逝ったか。


 だが、逆に言えば、背骨だけだ。


 しかし、魔力を全力で込めてもコレかよ。


 悶えている俺にまだ追い討ちを掛けるように、触手の攻撃が飛んでくる。


 だが、アレンがナイフでそれを受け止め切る。


「すまん。さっきイキナリすぎて援護出来なかった。でも今は援護出来たから許してくれ」


「戦いに許すもクソもねぇよ」


「それもそうか」


 コイツの言っている通り、体は丈夫そうだ。


 さっきので、速さが分かりコツを掴んだ。


 魔物の体の側面から触手が計12本生え、こちらへと容赦無く襲い掛かる。


 床、壁、天井凡ゆる所に亀裂を付け、波紋がコチラへと触手と共に流れて来る。


「アレン受けるな。避けろ」


「あぁ、知ってるよ!!」


 俺とアレンは、華麗に触手の攻撃を避ける。


 だが、余波が俺らを襲い掛かり、体勢が崩れる。


 体勢が崩れた俺に触手が一斉に飛んで来る。


 魔力を剣に満遍なく行き渡らせ、弧を描くように振る。


 それを意識し、触手を全て切ってみせた。


 触手から血が溢れ吹き出す。


 魔物はあまりの痛みに聞くに耐えない金切り声をあげた。


「お!あまりの痛みに悶絶しているぞ」


 普通に考えれば、勝っている状況だ。


 しかし、流れてくるこの違和感は何だ。


 分からない。何か懸念すべき大事な事を忘れてる気がする。


「アレン逃げるぞ!!」


「何でだよ!!」


「分からない。でも何かが....」


 俺が言い掛ける前に、触手が俺に触れ、壁に押さえ付けられた。


 それは鉄の帯のように体を締め上げる。


 息が押し出され、肺が潰れそうになる。


 叫ぼうとしても、空気が足りない。


 さっきとは比べ物にならない速さだった。


 俺の違和感は今になって分かった。


 魔道具の存在だ。


 ここまで魔物を育てれるなら、その分組織もデカく抜かりないはず。


 だから、魔道具が一つとは限らない。


 いつでも、魔物の強さを調整できるようにする為に、分散させている筈だ。


 つまり、2個以上あった魔道具が今何処かで壊されたと言う事だ。


 俺は何とか大丈夫だが、まだ魔力など使えないアレンは大丈夫か?


 俺は、横に顔を向けた。


 アレンは、触手に押し潰され、血が散っていた。


 手から骨が出てる。


 あぁ、ダメだ。


 アレンは死んだだろう。


 この衝撃には、丈夫な体でも耐え切れなかったか。


 かと言っても、俺ももう何も出来ない。


 体全体が抑えられ、剣を振るう事も、蹴る事も出来ない。


 このままでは、俺も押し潰されるだろう。


 ライヴァンさんがいつ来るか分からない状況。


 そう諦めかけた瞬間、触手の力が嘘のように抜け、地面へと倒れた。


 何が起きた?


 魔物の方へと目をやると、魔物は八つ裂きに引き裂かれていた。


 これは――ライヴァンさん!?


 違う。それだったら俺が気付いている。


 もっと違う、気持ち悪い魔力反応。


 俺は、ふと横を見ると、神々しい白龍に包まれたアレンがスッと立っていた。


 まさかアレンが!?


 魔物は、八つ裂きにされながらも息をしている。


 それに気付いたアレンがトドメを刺すため、腕を振った。


 音は、あとから来た。


 先に世界が弾けた。


 そう錯覚した。


 視界の端からすべてが崩れ、空気そのものが砕け散る。


 次の瞬間、目の前には何も無かった。











 強さの基準!!

 

 レベル1→戦闘未経験の人でも殴って倒せるレベル


 レベル2→筋肉質の人ならギリ倒せるレベル


 レベル3→良質な爆弾を3個モロに受けさせ倒せるレベル


 レベル4→戦闘専門の職のベテランが倒せるレベル


 レベル5→一つの街を壊滅させる事が出来るレベル


 レベル5裏→国家転覆可能なレベル


 ※人にも適用されます。


 

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