第十一話 新たな道へ
翌日ライヴァンの言う通りに、ある場所へと来た。
そこは街外れにある墓場で、死んだ魔剣士が弔われているらしい。
そんな胸糞悪い場所に、1人のレベル4の魔剣士が待っているらしい。
ライヴァン曰く信頼出来る人だと。
相棒と言うよりは指導者だねーって言ってた。
その人は、気難しい所があるとライヴァンが言ってた。
嫌だなーと思い着いてきてと自分の旨を伝えたが、忙しいから無理ー!!と一言。
無責任すぎないか?
あぁ、ちょっと怖い。
俺は、墓場を見渡すとある女の人が一つの墓場を見て、突っ立ていた。
海軍大将が着てそうなマント風の白いロングコートに、制帽を着ている。
あんなの着ても動けるもんなのか?
俺は怖気ついた声で声を掛けてみる。
やけに風の音がうるさく、耳鳴りがする。
「あのあなたが、リヴェナさんですか?」
女の人が振り返ると丁度隠していた太陽が姿を現し、顔がスッと見えた。
白い長髪に、驚くほどの色白な肌、鋭い赤色の瞳を持った人だった。
しかし、顔は少し童顔であった。
「お前があのアレンか、あのクソメガネに聞いたぞ」
声質は鋭かった。
クソメガネ?メガネ....あーライヴァンさんの事か。
え?なんでそんな呼び方されてるの?
良い人なのに。
「はい、アレンです。コレからリヴェナさんの生徒になります!!よろしくお願いします」
リヴェナは静かに、有無を言わせない口調で言った。
「付いて来い」
俺は言われるままに付いて行った。
森を越え、大きな川を越え、住宅街を越えた。
3時間程歩いただろうか。
また、森に入りやっと抜けたと一息吐こうとした時、俺は目を疑った。
そこには大きく高い壁があり、まるで何から守る為に築かれたようだった。
俺が居たのが丘だったので、壁の奥が目に映る。
そこには、荒れ果てた大地が広がっていた。
未開拓と思える程に乱雑な大地で、草も覆い茂らない不毛な土地だった。
壁の近くには、槍を持った銀の鎧を纏った屈強な人達が警備をしている。
俺は鼓動が激しくなっていくのが聞こえるのと同時に、キュウっと何かに締め付けられているような感覚に陥る。
「これは……?」
「昔に建てられた壁だ。信じられるか?壁が建てられる前には、あの壁の奥も栄えていたと言われても」
栄えていた....?
どう栄えるって言うんだ?あんなに不毛な土地を。
では何であんな事に。
「なぜここまで廃れたのですか?」
「魔王がこうしたんだ。元々、昔にも魔物が居たことが分かっている。だが魔王が出現し所持していたユニークスキルで魔物の出現率、強さを著しく増加させた。まさに厄災だ、魔物は自然発生に湧く。だから狭い国を作り、特殊な魔法を掛けた壁を築き魔物の侵入を拒ませその範囲を魔剣士がギリギリになって守っている。そして今も何処か広い世界で生きている。私達は、こんな狭い世界でしか生きれないのに」
「そうなんですね....」
この世界はこんな事に....
俺は唇を血が出るほど強く噛み締めた。
魔王を許せない、俺らをここまで貶めやがって。
俺が強くなって、魔王倒しに向かえる余裕を出せば良い。
「魔剣士の殆どは、魔物に親や大事な人を殺され、魔王を殺したがってる。だが、民間人を守る為に時間を割き何も出来ていない事が現状だ」
じゃ、ナギもラインも....
悲しい過去を持ってんのか。
「お前は何故魔剣士に就いた?」
鋭い眼光を向け、今にも殺すような殺気を感じる。
何か試されてるの?
気に食わない事言ったら殺す的な?
この人そんな理不尽な事する気なの?
ね?ね?
だが、俺の信念は揺るぎない。
応えることは決まっている。
「俺記憶無くしてんすよ、無くしている理由が魔力関連の可能性が高いらしい....ってのが建前で本当は人を助けて、ヒーローになりたいってのが本心だ」
俺が就いた理由を全て吐き出すと、リヴェナさんが俺の首筋に剣を突き立てた。
やべぇ、アウトな答えだったらしい。
先生が生徒を殺すの!?
ねぇ、!!倫理観的に結構ダメじゃないか?
「私が1番嫌いな言葉はヒーローだ。無償で人を助け、感謝される。だが、無償で抽象的な信念のあまり、何処かで躓いたら自分を見失う。そんな無責任な思考を持っている奴よりも、復讐など金の為などを理由に就いている人達の方が、魔剣士に相応しく人助けに向いている。それに爆弾持ち」
俺の魂がリヴェナさんの言葉を否定した。
「確かに、俺の中には白龍と言う爆弾を持っていて。ヒーローになりたいと言う考えは抽象的だ。だけど、無償じゃねぇ。ヒーローは、人を助けるからその分たくさん感謝されると言うお代を貰う。そしてヒーローは人を沢山助けるから、絶望の淵から救い出される人の気持ちを誰よりも知っている。だから、責任感は誰よりもあるぞ。死にも役割にも」
俺はそう言うとリヴェナさんは、フッと微笑み剣に鞘を収めた。
「私はお前の答えを聞いて尚ヒーローは嫌いだ。だが、お前は悪くない。非礼を詫びよう。そして、これからよろしくな」
リヴェナさんは俺に手を差し伸べた。
その瞬間、温かい風が俺とリヴェナさんの間を一過する。
木々に張り付いている虫の鳴き声が、やけにうるさく耳を突き抜ける。
「はい!!よろしくお願いします!!」
俺は手を取った。
握手を終えると、リヴェナさんはふと思い出したように言う。
「でも、お前人の事沢山助けた事ないだろ」
ちょ....この人痛い所刺すなぁ。
「コレからですよ!!コレから人を助けるんです!!」
俺は必死に答えると、リヴェナさんはため息を吐く。
「全く....」
だが、リヴェナさんは、少し笑ってるように見えた。
よし魔王倒しのために、まずは魔物倒しだ。
出来るだけ強い魔物を討伐し、魔王倒しの余裕を持たせる。
あの魔人にも借りがあるしな。
こうして俺の第二の目標が定まったのだった。




