第九話 別れ
「で?アレンとナギの容態はどう?レアン」
ライヴァンは、静かな個室で女医に問う。
「アレンの方は、まずまずって感じだけど、ナギの方は結構危険な状態ではあったよ。だが、ナギが悪魔の力で白龍化したアレンを止めたと言うのなら、驚くほど軽くすんだ方だよ」
ライヴァンは深く安堵のため息を吐くと、黒く丸いサングラスの中から目を出し言った。
「レベル3案件の任務に、レベル5級の魔人が出たとロインからの報告、実際そんな事案など腐るほど見てきた。狙われるだろうね、アレン」
魔人は人間の形をした野生の獣、一見理性などを持ち合わせていると思うが、中身は本能に埋め尽くされている。
魔人は一度逃した獲物は、何回でも追いかけ食す。
ナギとラインは幸いにも、戦も交えてなく狙われない。
しかし、アレンはその対象に選ばれてしまった。
「そのようだね、どうすんの?ライヴァンは」
「どうしよっかな?ね、ロイン」
ライヴァンの隣の席には、ロインが座っていて、ライヴァンがロインの両肩に腕を置く。
ロインが震えていた。
「ライヴァン、ロインが怖がっているじゃないか、やめてあげな」
レアンがライヴァンを静止する。
ロインは、レアンに視線を向けパァっと笑顔を見せた。
ロインは、あの日の監督責任であり、レベル5の思わぬ出現にある程度仕方がないとしても、大事な人材を殺してしまう所であった。
本来であれば、魔物の数、敵地、周辺などを調べれる所まで調べ上げ、突入させる。
だが、今回は工場内で起こった事による薬品、機械の暴走などの周辺への危険性を考慮しされていなかった。
ライヴァンはロインに少しキレてるが、それが理不尽でありお門違いの矛先である事は十分理解していた。
現場の監督だからと言い、上層部の判断が最優先される。
今回のレベル3案件も上層部による指示の派遣だったからだ。
ライヴァンは、保守派筆頭の上層部による仕組まれた事だと思っている。
レベル5の魔人の出現が最近、盛んになっている事も併せれば確信犯と言って良いだろう。
「僕はね、多少他人の命の価値を天秤に乗せてるが、皆死んでほしくないと思っている。」
ライヴァンは、静かな個室で喋り出す。
「だから、魔剣士とは言え仲間は全員死なずに、明日を迎えて欲しい。それにアレン、ライン、ナギは若いんだ。そう言う若者が時代を作っていく。老い先の短い老人に勝手な都合で、若者の人生を踏み躙られて良いわけがないんだよ」
ライヴァンは、腹の底から出てくる怒りに気付き、拳を握り締める。
ライヴァンの豹変した様子を見たロインとレアンが、固唾を呑んだ。
◇
【アレン視点】
俺は気付くと無機質な匂いが漂う、石で包まれた部屋に居た。
もっと詳しく言えば、ベットの上に居た。
心臓辺りがジンジンと痛む。
服を捲り、痛みの根源を見てみると、無理矢理くっ付けられたような傷跡が有った。
マジマジと見てみると、吐き気を催すほど気持ち悪い。
服を咄嗟に戻すと、俺の後ろから声がした。
「調子はどう?」
驚き振り向くと、そこにはライヴァンが居た。
手を振りヤーと口角を上げた。
え...え?え?
居なかったよね?ねぇ!!居なかったよね??
「いつからそこに....」
「さっきからだよぉ!!」
ライヴァンは椅子を逆さまに座る。
ライヴァンって強いって聞いたから、存在感あるのかと思ったが、強すぎるあまり気配も消せるってことか?
「あ、そうだ!ナギは?ラインは?どうなった?」
俺は焦った様子で言うと、ライヴァンは落ち着いてと肩を優しく抑えた。
「ナギ、ラインは命に別状はないから安心して良い」
俺は胸を撫で下ろした。
ライヴァンはなんちゃって!!と言う時と同じテンションでサラッと重大な事を言った。
「アレンは今死んでいる判定で生きて貰うからよろしく!!」
俺は喉の底からゲェーーと掠れた声を出す。
「マジっすか?」
「そうだね。それに伴ってラインとの関係は解消して貰う。ナギにはその事は説明しておいた、ナギは思い詰めちゃうタイプだからね。それとアレン、あの日出会った魔人に狙われてるから対応出来る程の魔剣士と相棒を組んでもらう」
ナギとラインとお別れって訳か。
短い期間だったけど、なんか物悲しい。
初めて出来た相棒と初めて一緒に戦った無愛想魔剣士。
「俺自覚したよ。俺は俺が思っている以上に弱く脆い。だから、仲間に迷惑掛けて結局は、別れる事にもなる」
俺の真摯な言葉に、ライヴァンは悲しく表情変えずに聞く。
「俺強くなるよ。威勢だけじゃ誰1人守れない。強くなって、俺は本当のヒーローになる」
「僕ぐらいには強くなってね。期待しているよアレン」
先生ぐらいは無理かもな....




