第7話:スペックの限界と、剣と拳
国道の中心で愛を叫ぶ……のではなく、最強の魔剣と殴り合う!
1万の軍勢を背負ったアカツキの「何でも切れる剣」に対し、ミナトはよくわからない「龍神の加護」で立ち向かいます。
泥臭い一撃が決着の時を刻みます。
「ハッ、逃げてばっかかよ龍神! もっと派手なパフォーマンス見せてくれよ!」
アカツキの振るう黄金の魔剣が、空気を、そして地面をバターのように切り裂いていく。
ミナトは網膜に表示される『回避推奨ルート』をなぞり、紙一重のダンスを続けていた。
「はぁ……はぁ……。あんたこそ、剣を振り回してるだけじゃないか。……そんなの当たらないぞ」
「あぁ!? 当たらないだと!」
ミナトは鼻血を拭い、冷徹な目でアカツキの「動き」を分析した。
アカツキの攻撃パターンは驚くほど単調だ。
最強の剣があるがゆえに、フェイントも、駆け引きも、相手の心理を読む必要すらなかったのだろう。
「あんたの攻撃は、『何でも切れる剣をただ振っているだけ』だ。斬られれば死ぬけど斬られなければいいだけだ!」
「うるせぇぇ! 死ね!」
アカツキが激昂し、魔剣を最大出力で振り下ろした。
黄金の斬撃が国道を縦に割ろうと迫る。
その瞬間、ミナトの脳内にボーの無機質な声が響いた。
『ターゲット、感情の高ぶりにより「最大限の斬撃」を検知。少しだけラグが発生します。』
「……待ってたよ、その隙を!」
ミナトは逃げるのをやめ、一歩前へ踏み込んだ。
理不尽な上司の怒鳴り声を全身で受け止め、それでも「承知いたしました」と微笑んできたあの泥臭い日々。
無理な納期、無茶な予算、ありえない修正。
そのすべてを耐え抜き、現場で形にしてきた「底力」を、今、右拳に凝縮させる。
「あんたが『最強の武器』なら、こっちは『龍神の加護』で上書きしてやる!」
ミナトの右拳が、龍神の加護を受けて青白く発光した。
それは単なる破壊のエネルギーではない。
あらゆる理不尽を飲み込み形にする。佐伯ミナトの意地だ。
「これを受け取れ……! 【ファイナル・インパクト】!!!」
ドッ、ガガガガガガガァァァァァン!!!!!
国道1号線の中心で、すさまじい爆発が起きた。
最強の魔剣は、ミナトの拳が放つ「論理的な暴力」を切り裂きながら受け止めたが、アカツキ自身は剣の力で強化されているが受け止めきれない。
「ば、馬鹿な……。俺の……俺の『最強の武器』が……負けるだと……!?」
衝撃で吹き飛ぶアカツキ。
移住者が倒れたのを見た帝国軍は、側面から攻め立てるアド・ヴァルム軍の勢いに飲まれ、一気に総崩れとなった。
土煙が収まった国道。
ミナトは膝をつき、激しく肩で息をしていた。
「……ミナト様!」
治療部隊を率いていたリリアーヌが、駆け寄ってくる。
背後では、二千の兵たちが勝ち鬨を上げ、信じられない逆転劇に酔いしれていた。
「……勝ったぞ。リリアーヌ様。……」
「大丈夫ですか!? あなたは……あなたは我が国の、わたくしの英雄です!」
涙を浮かべて微笑むリリアーヌに、ミナトは柄にもなくドギマギしてしまう。
だが、頭の上の帽子は相変わらず無慈悲だった。
『お疲れ様、ミナト。初の大勝利おめでとう、無事に終わったね。……でも忘れないで。まだ移住のお試し期間は終わってないし、帝国はこれで諦めるとは思えないわよ?』
「……分かってるよ。でも今は、少しだけ休ませてくれ」
ミナトは、自分が作った真っ直ぐな道の先を眺めた。
29歳、元広告マン。
最強の剣に勝利し、彼はついに異世界の国に自分の名前を刻み込んだのだった。
第7話をお読みいただきありがとうございました!
ついにアカツキを撃破。魔剣を「龍神の加護」で粉砕したミナト。
ミナト「拳が痛い……。やっぱり暴力は体力使うな……」
次回、第8話。
王国に帰還したミナトを待っていたのは、英雄としての熱烈な歓迎と、次なる依頼!?
そして、リリアーヌとの関係にも少しずつ変化が……?
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※AIとの共同執筆作品となります




