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第51話:凪の航路と、水平線の来客

サンドラを北の守りへ、レヴィアを海への護衛へ。

軍事国家との同盟を盤石にしたミナトたちは、極東を目指し悠々自適の航海を続けていた。

一ヶ月に及ぶ平穏な日々の中で、釣りや語らいを楽しむ一行。


「サンドラ、ここから別行動を頼みたい。砂漠の北東側……陸路の境界付近で待機していてくれ。何かあったら、俺たちの『盾』になってもらう」


ミナトの指示に、サンドラは深く重厚な咆哮で応えた。100メートル級の巨躯が砂塵を巻き上げ、北の地平線へと消えていく。陸のサンドラ、海のレヴィア。二大守護神獣を陣営に加えたアド・ヴァルム同盟の戦力は、もはやこの世界最強と言ってもいいだろう。

軍事国家『ヴァイス・ゼノビア』と不落の同盟を誓い、ドラグーン・リリア号は再び東へと舵を切った。


それからの航海は、驚くほど平穏だった。

 この海域の魔物たちは、船に並走する深海大蛇龍ディープ・シー・ナーガレヴィアの放つ圧倒的な神威を察知し、戦う前に逃げ出していく。戦艦の砲声が響くこともなく、ただ規則正しい波の音だけが心地よく流れる日々が続いた。


「……平和だね。暇すぎて脳が腐っちゃいそうだよ」


 レンが甲板にハンモックを吊るし、魔導書を顔に乗せて昼寝を決め込む。


「がはは! たまにはこういうのも良かろう。ほれミナト殿、こっちの竿に当たりが来たぞ! 今日は大物だ!」


岩山丸の呼びかけに、ミナトも釣り竿を握り直す。

 サラリーマン時代、分刻みのスケジュールに追われていた頃には考えられなかった、贅沢な時間の使い方。極東から届いたニルバスの招待状は気になるが、急ぎすぎて現地の情報を読み違えるのが一番の悪手だ。

ミナトたちは、釣り上げた珍しい魚をレヴィアと分け合い、影隼が仕留めた海鳥を肴に、夜な夜な未来の「極東市場」への進出戦略を語り合った。チームの絆をより深くし、同時にドラグーン・リリア号の隅々まで完璧なメンテナンスを施すには十分すぎる期間だった。


航海を始めてから、ちょうど三十日が過ぎた頃。

 水平線の彼方、鏡のように穏やかだった海面に、一筋の乱れた波紋が生まれた。


「……客だ。この一ヶ月、影も形もなかった『船』が近づいてくる」


マストの頂上で見張りをしていた影隼の声が、静かな甲板に響く。ミナトは手元の釣果を置き、双眼鏡を覗き込んだ。

現れたのは、満身創痍の一隻の快速艇だった。

 極東の様式と思われる、美しい反り返りを持った船首。異国の素材で補強された帆。だが、その白かったはずの帆は無惨に裂け、船体には無数の火矢が突き刺さったまま黒煙を上げている。


「補給船……明らかに逃げてきたな」


静かだった凪の海が、一瞬にしてきな臭い硝煙の香りに包まれる。

 ミナトはリリア号の速度を落とさせ、そのボロボロの船へと横付けを命じた。


「みんな、釣りは終わり……仕事の時間だ」


極東の門を叩く前に、向こうから「現実の悲鳴」が転がり込んできた。

 ミナトは不敵に笑いながら、救助のためのタラップを用意させた。


第51話をお読みいただきありがとうございました!

サンドラとの別行動、そして一ヶ月の長期航海。ミナトたちにとって、これまでの激戦を癒やすリフレッシュ期間となりました。

しかし、現れたボロボロの船。彼らが口にした「八州やしま」という国の名。

極東では一体何が起きているのか?

いつも応援ありがとうございます!ペースを整え、より濃密な物語をお届けします。次回の更新もお楽しみに!

週3回(月・水・金)の更新になります。

面白かった、続きが気になる!と思っていただけましたら、ぜひ【評価】や【ブックマーク登録】をよろしくお願いいたします!

※AIとの共同執筆作品となります。


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