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第5話:最悪の使者、そして筋肉痛

活気を取り戻し始めたアド・ヴァルム王国。

しかし、隣国の帝国が黙って見ているはずもありません。

突如現れた帝国の特使による、強引な交渉。


 劇的なリブランド・プロモーションから一夜。

 アド・ヴァルム城の客室で、ミナトは「あだだだだ……」と悲鳴を上げていた。


「おいボー……。昨日の修行のツケが、今頃来たぞ。体が……バキバキだ……」

『ミナトさん、お疲れ様。急な修行の代償ね。でも安心して、龍神の加護の「自動回復」が 進行中よ』

「筋肉痛が治った!」


 湿布もエナジードリンクもない世界。ミナトが食堂へ向かおうとしたその時、城内に不吉な鐘の音が鳴り響いた。


 城の正門前に、漆黒の巨大な魔導馬車が横付けされていた。

 そこから現れたのは、磨き上げられた黒い鎧に身を包んだ男――帝国の特使、バルザック。


「……ほう。ボロボロのゴミ捨て場かと思っていたが、随分ときれいな『ショールーム』に仕立てたものだ」

 バルザックは、リニューアルされた城を鼻で笑い、玉座の間へと踏み込んできた。そこには、ミナトに鼓舞され、少しだけ覇気を取り戻した国王とリリアーヌが待ち構えていた。

「アド・ヴァルム王よ。我が帝国の国王様からの伝言だ」


 バルザックは仰々しく羊皮紙を広げた。


「『民を惑わすのはやめよ。速やかに我が国の傘下に入れ。さもなくば、その美しい城ごと切り刻んでやる』……とのことだ」

「……っ。民を惑わしてはおりません! 」


 リリアーヌが毅然と言い返すが、バルザックは腰の魔剣を軽く抜いて見せた。

 その瞬間、部屋の温度が氷点下まで下がったかのようなプレッシャーが走る。

「口先だけで何が変わる。この『ブレイド・ガルド帝国の魔剣』に勝てる道理があるのか?」


「……おいおい、アポなしで来て随分な言い草だな」


 廊下の影から、筋肉痛でぎこちない動きのミナトが姿を現した。


「何奴だ、貴様」

「通りすがりの移住者だよ。……いきなり隣国に乗り込んで脅迫なんて完全にアウトだろ」

「何だと? 貴様が、『アド・ヴァルムの移住者』か!」


 バルザックが激昂し、魔剣を振り抜く。


 一撃。


 普通の人間なら反応すらできない速度。だが、修行中のミナトの視界には、「予測線」がはっきりと表示されていた。


「あぶね……っ!」


 ミナトは、昨日学んだ格闘術を、前職の「精神的受け流し」のイメージで体現した。

 魔剣の切っ先がミナトの頬を掠めるが、致命傷には至らない。


「なっ……かわしただと!?」

「相手の怒りを正面から受けちゃダメなんだよ。……次は、こっちの『提案』だ」


 ミナトは指先に、修行で覚えた『ファイアボール』を灯した。

 火力的にはマッチの火ほどだが、そこには龍神の加護による超圧縮されたエネルギーが詰まっている。


「……お返しだ!」

 ミナトがその小さな火をバルザックの魔剣に「置く」ように触れさせた。

 次の瞬間。


 ドォォォォン!!!


 魔力密度の差による爆発が起き、バルザックは魔剣ごと壁まで吹き飛ばされた。


「ぐ、は……っ! 馬鹿な、たかだか初級魔法で、帝国の魔剣が……押し返されるだと!?」

「スペックだけが全てじゃないんだ。……さっさと帰りな」


 ミナトは、肩で息をしながらも冷徹な営業スマイルを崩さない。

 バルザックは震える手で魔剣を鞘に収めると、捨て台詞を残して逃げ出した。


「……覚えておれ! 」


 使者が去り、騎士たちの歓声が上がる中、ミナトはその場に崩れ落ちた。


「……あ、あだだだだ! 肩! 肩が外れるかと思った……!」

「ミナト様!」


 リリアーヌが駆け寄る。その瞳には、救世主への深い敬意と、それ以上の「何か」が宿り始めていた。


『ミナトさん、お見事! 』

「ありがとボー……。これで武器の移住者が来るな。……本気で『最強の剣』とやらを迎え撃つ準備、急がないとマズいぞ」


 29歳、元広告マン。

 初めての勝利の味は、急に出てきた鼻血の味だった。


第5話をお読みいただきありがとうございました!

ついに始まった帝国との直接対決。


次回、第6話。

帝国の移住者ついにその姿を現す!?

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※AIとの共同執筆作品となります。


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