第48話:砂塵の歌、砂漠の主
砂塵渦巻く北の最前線。
そこでミナトたちが見つけたのは、砂漠を自ら作り出す巨大な魔物と、その背に突き刺さった不気味な機械装置だった。
ヴァイス・ゼノビアを滅ぼさんとする「環境テロ」の残酷な正体。
「岩を砕いているものがおる」と岩の神の移住者らしく、岩山丸が感じ取り、砂漠を渡ること三日。目的地に到着した。
そこは、物理的な法則が捻じ曲げられたような場所だった。天を突くほどの激しい砂嵐が渦巻き、視界は数メートル先すら判別できない。時折、砂の粒子による猛烈な摩擦で「キィィィィィィィン!」と悲鳴のような金属音を上げている。
「……ミナト、聞いて。この音、ただの風じゃないよ」
レンが魔導眼鏡を調整し、集音センサーの波形を空中に投影した。風の荒ぶるノイズの中に、一定の周期で繰り返される不気味な低周波――地底から響くような「重低音の旋律」が混ざっていた。
「……これ、何かの『音』だ。魔導波が特定の波長で共鳴して、周囲の物質を細かく砕いている。……この砂漠、自然にできたものじゃない。岩や土壌を強制的に分解して砂に変える、広域破壊兵器の結果だよ」
レンの指摘に、ミナトは戦慄した。不落の盾を誇るバスティオンが防げなかった砂漠化。それはゆっくり侵攻していくという攻撃だったからだ。
「レン、頼む。この嫌な『砂のカーテン』を一度引き剥がしてくれ!」
ミナトの合図とともに、レンが天に向かって魔法を放つ。水魔法の権能によって、砂漠には似つかわしくない局地的な豪雨が降り注ぐ。舞い上がっていた砂が水分を含んで地面に叩きつけられ、一瞬だけ視界がクリアになった。
そこに現れたのは、直径数キロメートルに及ぶ巨大な「すり鉢状」のクレーターだった。
中心部で蠢いていたのは、優に百メートルを超える、砂の鱗を持つ巨大な魔物。『砂喰いの大鯨』だ。
だが、その姿は異様だった。大鯨の背中には、極東の古代文字が刻まれた巨大な「魔導増幅アンテナ」が、痛々しくも深く突き刺さっていた。装置が不気味に明滅するたびに、大鯨は苦悶の声を上げ、その咆哮がアンテナによって増幅され、周囲の大地を粉々に粉砕して砂へと変えていたのだ。
「なんて大きさだ。あの大鯨を利用して、砂漠を『製造』し続けているわけか。……みんな止めるぞ!」
ミナトの冷徹な分析に、岩山丸が怒りのあまり足元の甲板を鳴らした。
「おのれ……! 生き物を道具にし、大地を死なせるとは! ミナト殿、あの哀れな主を、ワシの拳で解放してやってもよいか!?」
「待て、岩山丸。ただ倒すだけじゃダメだ。アンカーのように突き刺さったあの装置が暴走して、この辺り一帯が消滅する可能性がある。……レン、あの装置に外から干渉して、破壊できないか?」
「……破壊? できないことはないと思うけど、簡単にはいかないよ!」
「じゃあたのむ!」
ミナトは不敵に笑い、砂の嵐の中、巨大なクレーターの底へと降下を開始した。
第48話をお読みいただきありがとうございました!
砂漠化の原因は、巨大なクジラを「発振器」として利用した、人為的な土壌破壊システムでした。
物理的な盾では防げない「振動」という攻撃。これにはバスティオンも手が出せなかったわけです。
いつも応援ありがとうございます!次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




