第47話:不落の綻びと、究極の「盾」
完璧に見えた不落の要塞、ヴァイス・ゼノビア。
だが、その盾は過剰な維持コストによって、国民の生活を圧迫していた。
謁見を終えたミナトたちは、バスティオンの配慮によって用意された宿舎へと向かった。
道中、レンが魔導眼鏡を小刻みに動かしながら、小声でミナトに耳打ちする。
「……ミナト、この街、何かがおかしいよ。魔導回路の循環が、あまりにも『一方通行』すぎるんだ。街中のエネルギーが、あの城壁とバスティオンの盾を維持するためだけに注ぎ込まれている」
「ああ。さっきのバスティオンの言葉も気にかかる。『不落の誇りを汚すな』か」
ミナトは窓の外を眺めた。鋼鉄の街は機能美に溢れているが、人々の表情には余裕がない。盾に守られている安心感よりも、盾を維持しなければならないという強迫観念が勝っているように見えた。
その夜。補給を終えた岩山丸が、肩を落として戻ってきた。
「ミナト殿……。この街の鍛冶屋に、ワシの肌を拭くための布を買いに行ったのだが、相手にされんかったわい。『軟弱な手入れに使う道具はない』とな」
「がはは、岩山丸。それはこの国の『ブランドイメージ』に合わなかっただけだよ。……よし、それなら俺たちが、この国の『盾』を少しだけアップデートしてやろう」
ミナトは、影隼が密かに持ち帰ってきた「街の防衛記録」のコピーを広げた。そこには、北側の国境の砂漠化の問題の事実が記されていた。
「砂漠化問題?温暖化でもすすんでいるのかな?」
「自然災害ならどうしようもないね。いつまでも盾で守るしかないと思うよ」
補給の許可に対する礼を伝えるべく、ミナトたちは再びバスティオンのもとを訪ねた。
「……ミナト殿、実は折り入って相談がある」
バスティオンに案内され、城塞の北側に位置する展望塔へと登った一行は、絶句した。 そこには、豊かな緑でも青い海でもなく、地平線の彼方まで続く死の砂漠が広がっていた。そして、その砂の進軍を食い止めるように、数百枚もの『浮遊盾』が連結され、地平線の向こうまで巨大な透明な壁を形成している。
「……見ての通りだ。数年前から北側が急速に砂漠化し始め、我が国の領土を飲み込もうとしている。私は神盾を広範囲に展開して物理的に砂を遮断しているが……」
バスティオンが指差す先、連結された盾のわずかな継ぎ目から、さらさらと細かな砂が滝のように流れ落ちていた。
「防いでも、防いでも、砂は隙間から入り込む。盾を広げれば強度が落ち、絞れば隙間ができる。……このままでは、数年でこの首都フォート・ヘイヴンも砂の下に沈むだろう」
「なるほど。不落の盾でも、形のない自然現象は『弾く』ことができないってわけか」
ミナトは顎に手を当て、砂漠の様子を観察する。
「がはは! これは難儀な土俵よな。だがバスティオンよ、一人で背負いすぎては盾も割れる。ワシらも協力しようではないか!」
「……ふん、砂漠化の進行速度が異常だよ。これ、ただの自然現象じゃない。魔導波の乱れが、砂の奥から聞こえてくる」
レンが魔導眼鏡を調整しながら、鋭い指摘を飛ばす。ミナトはバスティオンの肩を叩き、力強く頷いた。
「この国の砂漠化の原因を突き止めてみせる。……原因さえわかれば、対策できるかもしれない」
「……恩に着る。調査に必要な物資や兵は自由に使ってくれ」
こうして、一行はドラグーン・リリア号を拠点に、砂塵舞う北の最前線へと調査に乗り出した。 果たして、不落の国を蝕む砂の正体とは――?
第47話をお読みいただきありがとうございました!
守りすぎるがゆえの弊害。ミナトはそこに「効率化」という名のプロモーションを仕掛けます。
「不落」という言葉の定義を書き換えようとするミナト。
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※AIとの共同執筆作品となります




