第45話:美髭王の誕生
ぶちかまし一閃! 海賊王ガドを沈めたのは、物理的な威力と……圧倒的な「清潔感」だった。
髭を愛でる「美髭王」へと生まれ変わったガド。
「……信じられねえ。俺の髭が、天使の羽みたいに軽いじゃねえか……」
煙が晴れた広場で、髭王ガドは膝をついたまま、自分の髭を何度も、何度も指で梳いていた。先ほどまで戦場を焼き尽くしていた不浄な炎は消え、代わりに漂うのはレヴィア特製のフローラルなアロマ。
海賊たちも武器を落とし、かつてないほど「清潔感」に溢れた自らのボスの姿に、ただただ圧倒されていた。
「完敗だ。俺は今日から、このサラサラの髭に誓って、お前を『最高の移住者』として認めるぜ」
「そうか……ありがとう」
ガドは、岩山丸にぶちかまされた胸の痛みも忘れ、満面の笑みで立ち上がった。
「がはは! 話が早くて助かるわい。ガドよ、その髭を維持したければ、略奪なんて野蛮なことはやめて、真面目に商売することだな」
岩山丸がツヤツヤの肌で笑うと、ミナトがリリア号のタラップから一歩前に出た。
「ガド。お前の国『バッカニア・ドミニオン』を、今日から『世界一のエステ・アイランド』にしないか? 略奪で奪う金より、お前のその美しい髭を拝むために観光客が落とす金の方が、はるかにデカいぞ」
「エステ、アイランド……? 最高じゃねえか! 野郎ども、今日から略奪は禁止だ! 全員レヴィアのオイルで身体を磨けッ!!」
「……?」
配下の海賊たちは理解していないようだったが、こうして、南洋を恐怖に陥れていた海賊国家は、ミナトの一言で「美容大国」への道を歩み始めた。
そんな中、ミナトはガドから本来の目的である雲の神、ニルバスの行方を聞き出す。
「ニルバス?知らんな……だが不自然に動く雲が、さらに東に向かったはずだ」
「さらに東……ちょうど進行方向だな」
「ああ。軍事国家には気を付けろあそこに寄らないと補給ができないぞ。あそこから先は未知の領域、運が良ければ極東の国にたどり着けるだろう」
ミナトは地図に新しい印を書き込んだ。
美容の力で海賊を味方につけた今、次なる障壁は「軍事国家」だ。
「よし、野郎ども! ドラグーン・リリア号、出航だ! ガド、エステの研修はすぐに始めるぞ!」
「おう! 次に会うときは、俺の部下全員を『美男子』にして待ってるぜ!」
サラサラの髭をなびかせて見送るガドを背に、戦艦はさらなる未知、雲の防壁へと舵を切った。
第45話をお読みいただきありがとうございました!
海賊王が「美容大国」の王になるという、まさにミナト流の強引かつ平和な解決策。
「理屈は髭の長さに比例する」と言っていたガドが、これからは「美しさはアロマの香りに比例する」なんて言い出すかもしれません。
次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




