第41話:深海の主と牡蠣の宴
浮島都市での束の間の休息。
海の幸「牡蠣」に舌鼓を打つミナトたちだったが、深夜、水龍の加護が未知の存在を呼び寄せる。
女王コーラルとの謁見を終えたミナトたちは、ニルバスの捜索を約束し、浮島都市『アビス・ラグーン』を案内されることになった。
都市の至る所には、見たこともない色鮮やかな魚や、クラーケンの巨体から切り出されたばかりの食材が並んでいる。
「……クラーケンには随分と蓄えを食われてしまったが、これを見てくれ。我々の誇る『海の宝』だ」
自警団船長のバルドが指し示したのは、海中に吊るされた無数の籠だった。そこには、魔物がその硬い殻を嫌って手を出さないという巨大な貝――『真珠牡蠣』がぎっしりと詰まっていた。
「ほう、これは見事な牡蠣よのう! これほどの大物は、陸ではお目にかかれんわい」
岩山丸が目を輝かせる。さっそく振る舞われた牡蠣を一口食べれば、濃厚な海の旨味が口いっぱいに広がり、ミナトたちを虜にした。
「うまい……! これは最高の商材になりますよ、女王」
「ふふ、喜んでもらえて何よりだわ。今夜は歓迎の宴よ!」
その夜、アビス・ラグーンは牡蠣パーティーに沸いた。焼きたての香ばしい匂いと、海中で育つ果実の果実酒。レンは珍しい海洋魔導の書物を片手に酔い、岩山丸は海の男たちと飲み比べ、影隼は相変わらず闇に溶けていた。
宴もたけなわ、深夜。ふと目が覚めたミナトは、言いようのない「呼び声」を肌に感じた。
龍神の加護が脈動している。吸い寄せられるように船の舳先へ向かうと、静まり返った海面に巨大な影が蠢いていた。
――バシャッ……!
月光を浴びて現れたのは、優に五十メートルはあろうかという巨体。見た目は巨大なウツボ、ヌルヌルしたしなやかな体躯に、龍の角と鋭い牙を持つ、深海の怪異だった。
「……龍神の……加護を持つ御方……」
脳内に直接響く重厚な声。その巨体は、戦うためではなく、恭順の意を示すようにミナトの前で首を垂れた。
「驚いたな。……この海の主か?」
「我は長きを生きる海蛇。龍の気配を感じ、主と仰ぐべく参った。……御身に従い、その『道』を拓く矛とならん」
「分かった。歓迎するよ。……けど、今出るとみんなが腰を抜かす。明日ちゃんと紹介するから、夜明けまで潜っていてくれ」
主の命令に、巨大な海蛇は満足げに深く潜っていった。
翌朝、甲板に集まった仲間たちを前に、ミナトは海面を指差した。
「みんな、新しいメンバーを紹介するよ。……おーい、上がってこい!」
轟音と共に海が割れ、昨夜の巨躯が姿を現した。
「な、ななな……何だいあのバケモノは!?」
レンが悲鳴を上げ、岩山丸が反射的に腰を落とすが、ミナトは平然と笑った。
「紹介するよ。種族は『深海大蛇龍』。名前は……『レヴィア』だ。この海のナビゲーター兼、俺たちの護衛として働いてもらうことにした」
レヴィアは、その鋭い金色の瞳を細め、ミナトの足元に静かに顎を置いた。ドラグーン・リリア号の隣を泳ぐ五十メートルの「生ける要塞」。
アド・ヴァルム同盟に、空前絶後の「海上戦力」が加わった瞬間だった。
第41話をお読みいただきありがとうございました!
海の幸パーティーからの、巨大な相棒の登場。
五十メートルのウツボ型龍「レヴィア」、その描写は迫力満点です。
ドラグーン・リリア号とレヴィアが並んで進む姿は、まさに無敵の艦隊。
次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




