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第39話:双子門の洗礼

穏やかな船旅を切り裂く、深海の悪魔クラーケン!

足場の悪い海上での戦いに苦戦するミナトたち。

そんな中、丸呑みにされた岩山丸が驚愕の反撃を見せる!


 アド・ヴァルムの港を出て三日。魔導戦艦ドラグーン・リリア号は、大陸西側の穏やかな沿岸部を離れ、海図に「空白」として記された南洋海域へと足を踏み入れていた。

 どこまでも続く深い紺碧の海。だが、その静寂は突如として破られた。


「ミナト、前方。……あれが影隼が言っていた、南洋への入り口だね」


 船酔いで少し痩せたレンが、眼鏡の奥の鋭い瞳で前方を指差す。

 そこには、海面から突き出した二本の巨大な岩柱が、あたかも巨大な門のようにそびえ立っていた。『双子門ツイン・ゲート』。南洋諸島を守る「海の民」の聖域への入り口である。


「……うぷっ。……ようやく揺れが収まった。これならなんとか、魔法の演算に集中できそうだよ」


 船酔いで青ざめていたレンが、ようやく眼鏡を直して甲板に這い出してきた。しかし、その平和な時間は長くは続かなかった。


 ――ズ、ズズ……。


 突如、船底を巨大な何かが擦るような嫌な振動が走る。


「……何か来るぞ。巨大な魔力の塊だ」


 レンが叫ぶのと同時に、海面が爆ぜた。

 現れたのは、優に百メートルは超えるであろう巨大な触手の群れ。深海の悪魔、クラーケンだ。その巨大な吸盤が船体に吸い付き、自慢の魔導商船を真っ二つにせんと締め上げる。

 マストの上で寝ていた影隼は、薄目を開けて一瞥すると「……水中は専門外だ」と呟き、再び寝る姿勢に入った。


「がはは! 海にも土俵があるとは驚きよ! ワシが押し出してやるわい!」


 岩山丸が果敢に触手へ飛びかかった。しかし、ここは海の上。足場が定まらず、岩の重みを乗せた踏ん張りが効かない。


「ぬ、ぬおおっ!?」


 クラーケンの巨大な口が海面から姿を現し、なんと岩山丸をそのまま丸呑みにしてしまった。


「岩山丸ッ!!」


 ミナトが叫ぶ。水中の戦いでは、おかの移住者たちの能力は極端に制限される。頼みの綱は、レンの魔法と、ミナトに宿る水龍の加護だけだ。


「レン、船を支えろ! 俺が注意を引く!」


 ミナトは水龍のスキルを発動させ、海水を操って巨大な槍を形成する。クラーケンの目に狙いを定めて放とうとした、その時だった。


 ド、グンッ!!


 クラーケンの腹部が、内側から不自然に膨れ上がった。


「……ごっつぁんですッ!!」


 バリバリと肉を裂く音が響き、クラーケンの胴体を内側から突き破って、粘液まみれの岩山丸が這い出してきた。岩の神の頑丈さは、深海の怪物の胃袋ですら溶かすことはできなかったのだ。


「今だ、レン! 内側から焼いちまえ!」

「了解! ……『フレア・インジェクション』!!」


 レンが放った高圧縮の火炎魔法が、岩山丸が開けた「穴」へ吸い込まれるように着弾した。

 凄まじい爆発音が響き、クラーケンの巨躯が内側から炎上する。一度、火が付くと消えることがない炎は体内を焼き尽くし、断末魔の叫びと共に、海の怪物は力なく海中へと沈んでいった。


「……ふう。危ないところだったな。岩山丸、大丈夫か?」

「がはは、少々胃酸で肌が荒れたが、ちょうど良い湯浴みよ!」


 笑い飛ばす岩山丸を見ながら、ミナトは改めてこの海の厳しさを実感していた。


「……ミナト、まだ安心できないよ。……ほら」


 レンが指差す先。クラーケンの騒ぎを聞きつけたのか、海獣に跨った「海の民」の戦士たちが、波を切り裂いてこちらを包囲していた。


第39話をお読みいただきありがとうございました!

岩山丸の「胃袋からの帰還」、まさに規格外のタフさですね。

影隼の「戦う気ゼロ」なマイペースっぷりも相変わらずです。

さあ、怪物を倒した直後の満身創痍(? )な状態で、ミナトはどう「海の民」と交渉するのか?

次回、お楽しみに!

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※AIとの共同執筆作品となります。


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