第36話:総資産、ゼロ
追い詰められた皇帝ギルベルト、禁断の権能で帝都そのものを道連れに自爆を図る!
だが、それを阻むのは岩山丸の「ぶちかまし」と、ミナトが率いる連合軍の絆。
元CEOvs元広告マン。異世界を揺るがした支配の終焉が、今ここに!
轟音を立てて高度を下げるアブソリュート・ワン。その爆炎が吹き荒れる皇帝室で、皇帝ギルベルトは静かに椅子から立ち上がった。
足元が傾き、警報音が鳴り響く絶望的な状況下にあっても、彼の瞳には冷徹な計算の光が消えていない。
「……不愉快だな。私の完璧な覇道が、これほどまでに荒らされるとは」
ギルベルトが空中に指を走らせると、彼の背後に巨大なホログラムの「帳簿」が現れた。スキル『アセット・コントロール』。
彼はこの瞬間に、帝都メトロポリス・ゼロの全施設、全魔導兵器、そして領民の命さえも「自身の私有財産」として最終処理に入った。
「帝都すべてをエネルギーに変換し、おまえたちごと消去してやる」
帝都中のビルが不気味に赤く発光し始める。都市そのものを巨大な自爆装置に変え、道連れにするつもりなのだ。
「そうは問屋が卸さないわい!!」
地上の爆煙を突き破り、巨大な岩の腕が皇帝室の窓を粉砕して突っ込んできた。
岩山丸だ。彼は旗艦の落下地点を先読みし、地上から皇帝室まで駆け上っていた。
「どすこぉぉぉぉいッ!!」
岩山丸の巨大な掌が、ギルベルトの「手」を物理的に握りつぶす。
データの塊であるはずの権能が、岩山丸の規格外の闘気によって「バグ」を起こし、都市の自爆シークエンスが強制停止した。
「計算違いだったな、ギルベルト。お前が『資産』だと思っていたものは、もう誰もお前の言うことなんて聞いちゃいない」
メーナの風に乗り、アイアン、ゼノ、カイと共に皇帝室へと降り立つミナト。
ミナトは肩のホロを撫でながら、一歩前に出た。
「……ここでお前の覇道は『終わり』だ」
「……黙れ! 力こそがこの世界の真理だ!」
ギルベルトが最後の魔力を振り絞り、自身の肉体を魔導武装化させようとした、その時。
皇帝室の影が揺らぎ、影隼が刃を突きつける。さらにルヴィアから射出されたレンの超長距離魔導砲が、王宮の屋根を消し飛ばした。
空を埋め尽くす連合軍。地上を制圧する岩の巨人。そして目の前には、最強の剣客カインを背後に従えたミナト。
「チェックメイトだ。……ギルベルト」
「……待て、ミナト。ここはワシに任せてくれ」
「……分かった。岩山丸、お前にまかせる……皆、ここは引くぞ。外の残党を片付ける」
ミナトたちは岩山丸の覚悟を感じ取り、燃え盛る旗艦から脱出した。残されたのは、崩れゆく皇帝室の中、対峙する二人の移住者だけだった。
「……不愉快だな。貴様ごときに私が倒せると思ったのか!」
ギルベルトは冷徹に言い放つと、『アセット・コントロール』を全開にした。彼の背後に現れた巨大なホログラムの映像から、帝都中の全エネルギーがギルベルトの肉体へと集束していく。砕けた手は瞬時に治り、その姿は、光り輝く魔導の鎧を纏った、冷酷な黄金の騎士へと変貌した。
「岩山丸!ここで完全に消去してやる!」
「ほざけ! 貴様の技はもう効かん!!」
岩山丸が大地(甲板)を蹴った。
激突。ギルベルトの放つ超高出力の魔導レーザーが岩山丸の肉体を焼くが、岩山丸は止まらない。
「どすこぉぉぉぉぉいッ!!」
岩の拳がギルベルトの黄金の鎧を砕き、ギルベルトの不可視の刃が岩山丸の脇腹を深く抉る。
一進一退の攻防。だが、徐々に差が開き始めた。
ギルベルトの力は、支配下の「資産」を削り取って得た借り物の力。対して岩山丸の力は、北の民を守れなかった悔しさと、再び立ち上がる意志が呼応した「魂」の力。
「なぜだ……! なぜ数値で勝る私の出力が、貴様に押し負ける……!?」
「簡単よ!ワシの法が強いからよッ!!」
岩山丸の全身から、マグマのような紅い闘気が噴き出した。
「不動・鉄砲突き!!」
万物を押し出すはりてが、ギルベルトの魔導鎧を粉砕し、その肉体を皇帝室の壁ごと突き破った。倒れたところに最後の追い打ちを食らわせる。
「千岳・万雷踏み(せんがく・ばんらいぶみ)」
空中で爆発四散するアブソリュート・ワン。
皇帝ギルベルトは、自身が築き上げた帝都の空へと放り出され、その意識は暗転した。
地上に轟音が響き渡る。北辰大帝国の象徴だった皇帝塔が、岩山丸の進撃と旗艦の墜落によって根こそぎなぎ倒された。
帝都メトロポリス・ゼロに、アド・ヴァルム同盟の旗が掲げられる。
「終わったぞミナト。岩山丸の……我々の勝利だ!!」
瓦礫の中から立ち上がった岩山丸の背中は、かつてないほどに大きく、そして誇り高く見えた。
北辰大帝国、陥落。
二大勢力が消滅し、世界は今、一つの大きな「国道」によって結ばれようとしていた。
第36話をお読みいただきありがとうございました!
「資産支配」を「物理的な握りつぶし」で無効化する岩山丸、最高にロックですね。
ギルベルトの「損切り」という冷徹な判断も、ミナトたちの情熱の前では通用しませんでした。
次回、激闘の結末。そして新時代の幕開け……?
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※AIとの共同執筆作品となります。




