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第32話:合法的ストライキ

北の暴力、東の屁理屈!

アイアンたちが仕掛けたのは、カミシロの法を逆手に取った「合法的ストライキ」。

ミナトが仕込んだ「業務委託」という毒が、東方六国同盟のシステムを内側からマヒさせる! カミシロの怒りは頂点へ!


 北の戦場で岩山丸が暴れている頃、東方六国同盟の各所でも「静かなる爆発」が起きていた。それは武力による反乱ではなく、カミシロが最も得意とする「法」という名の武器を逆手に取った、陰湿で完璧なサボタージュだった。

 鉄腕公国グレイブの巨大兵器工場。普段なら24時間、火の粉を散らして魔導兵器を打ち出していた重苦しい打撃音が、突如として止まった。

 カミシロ直属の法務官が、顔を真っ赤にして現場の工房に駆け込む。


「アイアン! 何をしている、なぜ製造ラインを止めた! 今日は納品日だぞ、これは重大な契約違反だ!」


 詰め寄る法務官に対し、重い作業用エプロンを外したアイアンが、耳をほじりながら一枚の書類を突きつけた。


「法違反?おかしなことを言うなよ。……これはアド・ヴァルム領主ミナトとの『業務委託契約』に基づく、設備の緊急精密点検期間だ。国道4号線の微振動を計測するために、全魔力を計測器に回さなきゃならん。あっちの契約を優先するのは、同盟法第12条の『近隣住民との係争回避の原則』に準拠している。文句があるなら、法典を読み直してこい」

「業務委託だとそんなの聞いていない!法を破ったなら裁きをあたえるぞ!」


 アイアンの傍らでは、宰相バルカスが不敵に口角を上げている。


「法務官殿。我が国は『法』を遵守しております。ミナト殿のクレームに対応しない場合、損害賠償請求によって国庫が差し押さえられるリスクがある。それを回避するのは宰相としての正当な業務判断ですな」

「法の裁きが発動しない……合法……だと……!?」


 カミシロが作った完璧な「法」という名のシステム。だが、ミナトが差し込んだ「業務委託」という特約は、カミシロ自身が「正当な手続き」として認めてしまった「バグ」として、製造ラインを完全に停止させたのだ。


 同時刻。万緑共和国フォレストのゼノ、空天領ソラリスのメーナ、海覇国アクアテイルのカイも動いていた。


「……申し訳ありません、カミシロ様。現在、国道沿いの植物に異常な魔導ノイズが検出されており、調査が完了するまで国境の門を封鎖、及び全通信を暗号化解除しての再スキャンに入ります」

「……空域も同じだ。フェニックス鶏の産卵率を守るため、飛行は一切禁止。我が国の主力である翼騎士団は全員、地上での『環境監視員』に回した。戦力? ゼロだね。法的に必要な措置だから仕方ない」

「裏切者どもがああああぁぁ!」


 カミシロへの報告は、どこまでも「理路整然」としていた。

 だがその実態は、軍隊を解体し、物流を止め、カミシロの支配権を内側からマヒさせる「合法的ストライキ」。

 報告を受けたカミシロは、白亜の法廷で自身のこめかみを激しく押さえた。怒りで指先が微かに震える。


「……業務委託を盾に、私の法を逆用するとは。……『法の解釈』というものをよく分かっている。善意の第三者を装いながらウイルスを流し込む。実に不愉快で、実に素晴らしい手腕だ」


 カミシロはゆっくりと立ち上がり、背後に控える「法の神」の巨大な天秤を呼び出した。その天秤は、怒りに呼応するように不気味な黒い光を放っている。


「だが、いい加減にその屁理屈に終止符を打ちましょう。……法が機能しないのなら、『戒厳令』を敷くまでのこと」


 一方、アド・ヴァルム。

 ミナトは北と東からの戦況報告――という名の「大混乱の通知」を聞きながら、冷えたコーヒーを一口啜った。


「カイン。いよいよ『三極の均衡』が完全に崩れるぞ。カミシロが激怒して強引な手段に出る。ギルベルトは北の動乱を止められず自ら出陣する。……この二人が同時に動くタイミング。それが、俺たちがレンを奪還し、この泥沼の戦争を終わらせる唯一のチャンスだ」


 ミナトの目は、もはや一介のクレーマーのものではなかった。

 世界を再編する移住者、その鋭い輝きを宿していた。


第32話をお読みいただきありがとうございました!

アイアンたちの「法律を盾にしたサボタージュ」、まさに現代の労働争議のような知略戦ですね。

「ドラゴンクレーマー」ミナトの教えが、移住者たちを「歯車」から「人間」に変えつつあります。

しかし、ついに「法の神」が強権を発動しようとしています。

次回、お楽しみに!

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※AIとの共同執筆作品となります。


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