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第30話:幻龍の投影と、岩山の四股

東方六国同盟の緊迫した審議会。カミシロの「真実の法」を前に、「嘘偽りなき隠蔽」とは!?

一方、北の大地では「岩の神」岩山丸が復活の四股を踏む! 運命の歯車が激しく回りだす!


 東方六国同盟の首都、法治王国ジャスティス。その中央にそびえる白亜の議事堂は、一切の汚れも妥協も許さない「法の神」カミシロの精神を体現したかのような静謐さに包まれていた。

 円卓を囲むのは、帰還した三人の移住者と、彼らを支える各国の宰相たち。そして上座には、静かに書類をめくるカミシロが座している。


「……では、報告を。アド・ヴァルムの龍神の移住者、モンスタークレーマーミナト、いや……ドラゴンクレーマーとしようか……との接触について」


 カミシロの低く冷徹な声が響く、うまいことを言ったと眼鏡の奥の瞳が少し笑ったようだ。

この場では、カミシロが敷いた「真実の法」が展開されており、嘘をついた瞬間に、その魂は「偽証罪」として裁きを受けることになる。

 鉄腕公国グレイブの宰相、バルカスが歩み出た。髭を撫で、彼は淡々と事実を述べる。


「報告いたします。先方との接触は、あちらの『公式抗議状』に基づく、国道4号線周辺住民の環境被害に対する現地調査についてです。ミナト本人が同席し、鶏の産卵率低下という極めて些末な、しかし執拗な抗議を受け、我々はその真偽を確認するための調査を余儀なくされました」


 嘘ではない。実際にミナトは延々と鶏の話をしていたのだ。

続いて、万緑共和国フォレストの宰相、エリンが補足した。


「調査中、カミシロ様が懸念されていた『不適切な外交交渉』の事実はございません。調査範囲はアド・ヴァルム領、境界線付近に限定されており、他国との軍事同盟や領土に関する対話は一切行われませんでした」


 彼女もまた、嘘はついていない。ミナトが差し出したのは「同盟」ではなく「業務委託」であり、その内容はあくまで「環境改善のための協力」という名目だ。同盟法における『報告義務』には、近隣諸国との民間の業務請負までは含まれていない。法務的な定義の隙間を突き、彼らは決定的な事実――「ミナトから自由への支援を約束されたこと」を、報告の義務がない範囲として隠し通した。

 カミシロは眼鏡を指で押し上げ、三人の移住者たちの瞳をじっと覗き込んだ。


「……些末な苦情に時間を浪費させるとは、バカが考えそうなことですね。ただ、何かの目的があったことは間違いないのでアド・ヴァルムの監視を強化してください……よろしい、書類に不備はありません」


 その瞬間、アイアン、ゼノ、メーナの三人は背筋を伝う冷や汗を拭った。カミシロの法を、「法」という名の屁理屈で潜り抜けたのだ。


 同時刻、アド・ヴァルム。


「キュピッ! キュピピィ!」


 ミナトの肩で、小さな幻龍ホロが誇らしげに翼を広げていた。透明な鱗が七色に光を反射し、周囲にキラキラと燐光が舞う。


「助かったよ、ホロ。お前の『幻影』で、実際にはいないファニックス鶏の群れを投影し続けてくれたおかげで、あいつらの調査報告に完璧な『客観的証拠』が揃ったわけだ」


 ミナトはホロに小さな木のおやつを与えた。草食ドラゴンのホロはそれを器用に食べると、満足げにミナトの首筋に寄り添う。この小さな龍が、カミシロという巨大な「法」に開けた小さな風穴。それはやがて、取り返しのつかない崩落へと繋がっていく。

 その時だった。

執務室の窓が激しくガタつき、床に置かれた水瓶の水面が同心円状に波打つ。


「……始まったか」


 北辰大帝国の最北端、大嶺国ギガント。

皇帝ギルベルトが「不要な資産」として切り捨て、地図から消し飛ばしたはずの聖域で、巨大な岩塊が内側から爆ぜた。


「……ぬ、おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉんッ!!」


 空気を、そして空間そのものを震わせる怒号。

降り積もった絶望を吹き飛ばすように現れたのは、かつて角界で「歩く活火山」と恐れられた男、岩山丸の復活した姿だった。

身長は10メートルを超え、全身の筋肉は鋼を凌ぐ硬度の岩石へと変貌している。そのひび割れた体表からは、彼を呼び戻した特級ポーションの光と、彼自身の不屈の闘気がマグマのように溢れ出していた。


「どすこぉぉぉぉぉぉぉいッ!!」


 岩山丸が天高く足を上げ、大地に振り下ろした渾身の「四股」。


ズゥゥゥゥゥン……!


と、大陸の骨格を直接叩いたかのような震動が波及する。

この一撃により、ギルベルトが誇る北方の監視魔導網は一瞬でショートし、抑圧されていた領民たちは空を仰いだ。


「待たせたのう、北の民よ! 皇帝ギルベルト! 貴様のような『暴君』に、最大級の怒りを叩き込んでくれるわい!!」


 東の「静かなる離反」と、北の「荒れ狂う覚醒」。

ミナトが半年間、耐え忍んで仕込んだ火種が、いま一斉に燃え上がった。


第30話をお読みいただきありがとうございました!

「嘘をつかずに真実を隠す」という、政治的かつ法務的なテクニックが光る回となりました。移住者たちの度胸も相当なものです。 そして岩山丸の復活! 10メートル級の「どすこい」はもはや天災です。

次回、お楽しみに!

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※AIとの共同執筆作品となります。


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