アド・ヴァルム王国のお知らせ
救ったのは滅亡確率98.5%の国のお姫様!?
せっかくの「お試し移住」をエンジョイしたいミナトでしたが、目の前には美しすぎる王女と、心労でボロボロの国王。 そして、隣国から迫る帝国兵……。
「タダより高い加護はない」
ミナトは帽子と共に、異世界移住を楽しめるのか!?
「……あど・ばるむ、王国?」
オーク・キングをワンパンで塵に変え、ついでに二本目の国道を開通させてしまったミナトは、跪く王女リリアーヌの言葉を繰り返した。
「左様でございます。商業と魔法の国、アド・ヴァルム。……もっとも、今はその名も色褪せ、滅びを待つばかりの弱小国ですが……」
リリアーヌは伏せ目がちに言った。
ミナトのプロとしての直感が告げている。王女のドレスは綻び、守護の騎士たちは装備のメンテナンスすら行き届いていない。
今にも滅びそうな国かな……。
ミナトは心の中でため息をついた。
代理店時代こういう無茶振り案件は何度も見てきた。そして、そのほとんどが泥沼のデスマーチに繋がることも。
「ミナト様、どうか……どうか我が王都へ! 」
「いや、僕はただの移住者で、スローライフが……」
『ミナトさん、何を言ってるの? 大型案件の「現地視察」は基本でしょ?』
頭の上で、龍の帽子が囁く。
『ほら、あなたの「お試し期間」はあと20日ちょっと。もったいないわよ?』
「……っ。分かったよ、行けばいいんだろ!」
ミナトはしぶしぶリリアーヌたちの案内に乗ることにした。
馬車に乗りリリアーナの正面に座ったミナトは初めてリリアーナの顔をよく見た。
美人だと思っていたが、リリアーナの美しさはイメージ通りの王女様だ。
陽光を透かすプラチナブロンドは、手入れがままならない逃亡中であっても、絹のような光沢を放っている。サファイアブルーの瞳は、絶望の中でも意志の強さを失わず、見る者のエンゲージメントを強制的に引き上げる。
依頼の報酬に王女様下さいと言ってみようかな……なんちゃって。
「彼女いない歴=年齢」のミナトは自分の馬鹿な考えに首を振った。
ミナトがパンチで整備した「国道2号線」を通り、半日。一行はアド・ヴァルムの王都へと到着した。
かつては白亜の美しさを誇ったであろう城壁は黒ずみ、街を行く人々の表情は暗い。 ミナトは職業病を隠せず、市場の様子を眺めながら頭の中で分析を始める。
(通行人は視線を地面に落として歩いている。人々の話し声が聞こえない。活気がないな、すでに終わった国といった印象だ)
馬車が跳ね橋を渡り、城の正門をくぐる。
かつては大陸中の憧れだったであろうその城は、近くで見れば見るほど「管理不足」が露呈していた。
高くそびえる尖塔は、芸術的なカッティングが施されている。だが、その白い石壁には雨垂れの跡が染み付き、一部の装飾は崩れたまま補修もされていない。
「……城のメンテナンス何年サボってるんだ? 苔が生えてるなんて管理ができてない」
扉が開くと、吹き抜けの巨大な空間が広がる。天井には神話をモチーフにした見事なフレスコ画が描かれているが、照明代わりの魔法光は予算を削っているのか、所々が明滅していて「ホラー映画の廃病院」のような不気味さを漂わせていた。
「このライティング……。せっかくの内装が台無しだ」
王城の玉座の間。
そこにいたのは、心労でげっそりと痩せこけた国王だった。
「リリアーヌ、無事であったか! ……そちらの方が、オーク・キングを一撃で粉砕したという……」
「はい、お父様。龍神の加護を戴きし、佐伯ミナト様です!」
ミナトは慣れた手つきで、一分の隙もない営業スマイルを浮かべ、深く頭を下げた。
「お初にお目にかかります。移住者のミナトです。……ええと、オークを、退治させていただきました」
「大事な娘を助けてくれてありがとう、心から感謝する」
「報酬として金貨十枚を授けよう」
報酬としてリリアーナを期待していたミナトは少しがっかりし、金貨十枚の価値は、日本円でどのくらいなんだろうと考えた。
「ありがとうございます」
深々と王に頭を下げた。
「ミナト殿、折り入って頼みがある。実は我が国は、隣国の『ブレイド・ガルド帝国』に国を乗っ取られかけておるのだ」
国王の話によれば、隣国には『武器の神』の加護を受けた移住者が現れ、その者がもたらした「圧倒的な魔剣」の力で、周辺諸国を攻め落としているという。
「あちらの移住者は、自らを『最強の剣』と称し、逆らう者をすべて切り伏せている。我が国が誇った交易路も奪われ、各地で起きている戦闘でも押されている……」
ミナトは、かつて自社が独占していた案件を、資本力に物を言わせた外資系代理店に強奪された記憶がフラッシュバックし、少しだけ目が据わった。
「なるほど。つまり、その『武器の神』の駒が、この国を支配しようとしている」
『そうよミナトさん! あっちの武器の神、問答無用で戦争をしかけてくるのよ』
龍の帽子がミナトにだけ聞こえる声で楽しげに笑う。
「ミナト殿。厚かましい願いとは承知しているが……その龍神の力で、我が国を、アド・ヴァルムを救ってはくれまいか!」
国王の必死の訴え。
ミナトは、かつての自分なら「予算と納期を相談しましょう」と返しただろう。だが今の彼には、何でもできる『龍神の加護』がある。
最強の剣と龍神の加護はどちらが強いのだろう。
移住者なら話し合えば分かり合えそうだし危なくなったら日本に逃げればいいか……とりあえず試してみるかな……。
「……いいでしょう。ただし、僕は戦士じゃありません。あくまで『移住者』として動かせてもらいます」
ミナトは不敵に笑った。
第3話をお読みいただきありがとうございました!
ついに王都アド・ヴァルムへ到着したミナト。 そこで彼が目にしたのは、管理不足で苔の生えた城と、活気を失った市場でした。
ミナト「金貨10枚……レートがわからねえ。これ、日本円でいくらだ?」
そんな現実的な悩みを抱えつつも、リリアーヌの美貌に「ブランド価値」を見出したミナトは、戦士ではなく「移住者」として立ち上がることを決意します。
次回、第4話。 ミナトの初仕事は!?
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※AIとの共同執筆作品となります。




