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第29話:カスタマーサポート・アド・ヴァルム

法の壁は「屁理屈」で越えろ! ミナトが仕掛けたのは、外交ではなく「クレーム対応」。 国道を舞台に繰り広げられる、元サラリーマンの真骨頂。東の四国との「合法的」な密約は成立するのか!?


「……よし。これで行くぞ」


 アド・ヴァルムの領主執務室。ミナトが机に広げたのは、魔法的な署名が施された「公式抗議状クレーム・レター」だった。

カインはその内容を覗き込み、眉間に皺を寄せる。


「ミナト……本気ですか? 『東方六国同盟国内から発生する魔導共鳴の超低周波が、我が領の特産であるフェニックス鶏の産卵率を5%低下させている。これは生存権の侵害である』……などと」

「本気も本気だ。これは外交交渉じゃない。不利益を被っている近隣住民からの正当な苦情だ」


 ミナトは不敵に笑い、筆を置いた。


「カミシロの法では『外部勢力との外交』を禁じているが、『周辺住民からの損害賠償請求への対応』までは禁じられない。むしろ『法』を重視するあいつなら、手続き上の不備を無視することはできないはずだ」


 数日後。国道4号線の境界線にある中立地帯。

そこには、ミナトの呼び出し――いや、「クレーム対応」のために、東方六国同盟の実務担当者たちが揃っていた。

 鉄腕公国グレイブの鍛冶の神の移住者アイアン、万緑共和国フォレストの樹の神の移住者ゼノ、空天領ソラリスの鳥の神の移住者メーナ。

彼らはカミシロの命により、「法的に落ち度がないことを証明するため」に派遣されていた。


「……えー、わざわざお越しいただき恐縮です」


ミナトは、前世で揉め事の謝罪に赴く営業マンのような、完璧な愛想笑いで彼らを出迎えた。


「龍神の移住者……。こんな下らない苦情で我々の貴重な労働時間を奪うな」


アイアンが魔導アーマーを軋ませて毒づく。だが、その目はひどく充血し、疲弊しきっていた。


「まあまあ。まずは現場の検証を。……あ、メーナさん。超高度からの風圧が、鶏のストレスに繋がっているというデータもありまして。ゼノさん、この近辺の植物の魔導信号もチェックしていただけますか?」


 ミナトは調査と称して、彼らをカミシロの監視の目が届かない「結界の死角」へと巧みに誘導していく。


「……内密の話はできんぞ」


ゼノが、自身の魔導書を広げたまま、小声で囁いた。


「苦情なんてのは建前だ。……俺たちに何をさせたい?」

「察しがいいな」


ミナトの表情から愛想笑いが消え、鋭いビジネスマンの目に戻る。


「ここはアド・ヴァルム同盟内だから東方六国同盟の法の範囲外、龍神の加護内だ。カミシロの法は、お前たちを『人』として見ていない。……だが、俺たちは違う。俺たちの物流に『加盟』すれば、あんたが欲しがっている自由が手に入る」

「外交を……しろというのか? それをすれば俺たちは法に裁かれることになる」


アイアンの声が震える。


「いいや。外交じゃない。……これは『業務委託契約』だ」


ミナトは、カミシロが制定した法の「定義」の隙間を突いた書面を差し出した。


「『アド・ヴァルム領内の環境改善に関する調査協力』。これなら法的にも『外交』には当たらない。カミシロに言い訳できる余地は残してある。……あとは、お前たちがその手を伸ばすかどうかだ」


 三人の移住者たちの間に、沈黙が流れる。

彼らの背後に立つカミシロの「法」という名のギロチン。しかし、目の前のミナトが提示した「特約」は、窒息寸前の彼らにとって唯一の酸素だった。


「お前らもわかっていると思うが、もううんざりだ……その『業務委託』引き受けようじゃないか」


最初に口を開いたのは、疲弊したアイアンだった。


第29話をお読みいただきありがとうございました!

「外交がダメなら業務委託」……なんとも現代社会の裏技的な解決策ですね。 ミナトの絶妙な言い回しが、カミシロの法理統治にじわじわと亀裂を入れていきます。 一方、北の岩山丸の様子も気になるところ……。

次回、お楽しみに!

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※AIとの共同執筆作品となります。


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