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第28話:凍土の希望と、法の鉄鎖

北方に残された最後の希望、岩山丸。死の淵で耐え忍ぶ「岩の神」の復活を信じ、隠密裏に回復作戦が始まる。一方、東ではカミシロの「絶対の法」が四ヶ国の自由を奪っていた。外交すら禁じられた絶望的な状況下、ミナトが閃いた「法の死角」を突く奇策とは!?


 北辰大帝国――かつて凍土の静寂と鋼の活気に満ちていた北の大地は、今や皇帝ギルベルトという巨大なシステムの部品へと成り果てていた。

 影隼えいしゅんの放った「影」と、ミナト直属の隠密部隊「隠龍いんりゅう」が潜入調査で見た光景は、凄惨を極めていた。

皇帝ギルベルトは、若きCEOとしての冷徹な合理性を異世界でも遺憾なく発揮していた。

彼にとって領民は「労働力」という名の数値に過ぎず、死は単なる「減価償却」だった。凍土王国のシロネや鋼鉄都市のバレットといった移住者たちは、ギルベルトの「資産支配」の権能により、自らの誇りと共に消去されていた。


「……反乱軍の旗印がほしいな」


 アド・ヴァルムの会議室で報告を受けるミナトの声が沈む。だが、影隼が差し出した一枚の魔晶石の映像が、その場にいた全員の目を釘付けにした。

 北の果て、大嶺国ギガントの最高峰。ギルベルトの「覇王崩壊拳」によって山頂が消し飛んだはずのその場所に、不自然な岩の塊があった。

否、それは岩ではない。岩の神の移住者・岩山丸がんざんまるその人だった。

 前世で「角界の怪物」と呼ばれたその巨躯は、今や10メートル近い岩石の巨像と化していた。四股を踏むように地を踏みしめた姿勢のまま、彼は戦略級の攻撃を、ただその「肉体」だけで受け止めていたのだ。


「……信じられん。あの威力の直撃を受けて、形を保っているとは」


カインが驚愕に目を見開く。岩山丸は、崩落から民を逃がすための盾となり、そのまま硬直していた。全身はひび割れ、意識はない。だが、その魂の灯火は、微かに、しかし岩盤のように硬く燃え続けていた。


「岩山丸が目を覚ませば、北の民は再び立ち上がる。ギルベルトという巨大な『暴君』に対し、奴は最強の『反乱』の旗印になるはずだ。影隼、なんとしても回復させ、奴を地上に引き戻すんだ」


 一方、ミナトの頭を悩ませていたのは、東方六国同盟を縛る「鉄の法」だった。


「……カミシロの奴、本当に嫌なことをしてやがる」


 ミナトは手元の「六国同盟法」の写しを忌々しげに睨む。

実務を担う四ヶ国――グレイブ、フォレスト、ソラリス、アクアテイル。彼らはカミシロの冷徹な管理に限界を迎えていた。グレイブの職人たちは過労で倒れ、ソラリスの翼たちは「飛行制限」されて自由を奪われている。

 だが、彼らがミナトたちと接触しようとした瞬間、カミシロの権能「法の神の裁き」が自動発動する。


『加盟国は、主導国ジャスティスの許可なく、外部勢力と外交交渉を行ってはならない。違反した場合、法によって裁かれる』


 この一文が、四ヶ国の首を絞める見えないギロチンとなっていた。


「逆らえば、交渉のテーブルに着く前に裁かれるか。だが、法的に正しい手順を踏んでいる以上、力ずくで助けに行けば彼らが『犯罪者』として処刑される口実を与えるだけだ」


 カインが悔しそうに拳を握り、机を叩く。


「法という名の人質。これでは外交の余地すらありません」

「……いや。外交がダメなら『クレーム対応』はどうだ?」


 ミナトの目が、かつての「サラリーマン」のものへと変わる。


「カイン、俺たちは彼らと交渉しに行くわけじゃない。国道4号線に発生した『不具合』について、周辺住民として文句を言いに行くだけだ。これは政治じゃない、ただのカスタマーサポートだ」


 法というガチガチの鎧に、ミナトは「屁理屈」という名の楔を打ち込もうとしていた。


第28話をお読みいただきありがとうございました!

岩山丸の圧倒的な頑丈さ、まさに「山」そのものですね。彼の目覚めが北辰大帝国の冷徹な支配を揺るがす日は近いかもしれません。 そして東方六国同盟。カミシロの「法理」に対し、ミナトは斜め上の角度から挑みます。

次回、お楽しみに!

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※AIとの共同執筆作品となります。


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