第14話:お試し期間終了と、新たなの影
リリアーヌとの甘い日々。しかし、 お試し期間は無情にも終わりを迎えます。
現実か、異世界か。
決断を迫る龍神から告げられたのは、世界中で激化する「移住者戦争」の始まりでした。
「アド・ヴァルムを、彼女を守れるのは、君しかいないの」
ミナトが出した答え。それは……!
帝国から「対等以上の同盟」という最高の結果を持ち帰り、王都アド・ヴァルムには本当の意味での平和が訪れていた。
だが、龍神お姉さんから提示された「お試し期間」は、残り数日。ミナトはその時間を誰のためでもなくリリアーヌ一人のために使っていた。
二人で整備されたばかりの美しい湖畔を歩き、帝都で買ってきたスイーツを分け合う。
「付き合っている」と公言してはいないが、周囲から見れば、それはもはや確定した事実だった。
「ミナト様。……わたくし、最近怖くなるのです。今のこの幸せが、まるで魔法のように消えてしまうのではないかと」
リリアーヌが、ミナトの腕をぎゅっと掴み、不安そうに呟く。
「……大丈夫ですよ……僕たちにバッドエンドはありませんから」
ミナトは優しく笑い、彼女の頭を撫でた。だが、その胸中にはボーが刻一刻とカウントダウンする「お試し期間終了の時間」の数字が重くのしかかっていた。
その日の夜。ミナトの前に、まばゆい光とともに龍神お姉さんが姿を現した。
いつもの余裕ある笑みは消え、その表情は「永遠のお別れ」の時のような悲しげなものだった。
「ミナト君、お試し期間が終了したわ。……『帰還』か『定住』かを選んでね……ただ、少し事態が変わったの」
「事態……?」
「帝国に、新しい『武器の移住者』が送り込まれた。……それだけじゃない。他国にも、別の神々の加護を受けた移住者たちが次々と現れ、大陸全土で覇権争いが本格化し始めているの」
龍神は、ボーを通じて大陸全域の戦況データをミナトの脳内に送り込んだ。
各地で起きる異常な破壊。それは「移住者が来たことによって」起きた争いだった。
「このままミナト君が帰れば、アド・ヴァルムは他国に飲み込まれて消えるわ……」
ミナトは窓の外を見た。そこには、自分が守り、たてなおした美しい街並みが広がっている。そして隣の部屋には、自分を信じて眠る最愛の女性がいる。
「……日本に戻れば、また満員電車と会社勤めが待ってる。……こっちに残れば、世界の移住者を相手に命を削ることになる。……普通なら、どっちも『お断り』したい案件だな」
ミナトはふっと笑い、龍神を見据えた。
「でも、リリアーヌ様と離れることは一番つらい……龍神様。俺、この世界に完全移住します……龍神の加護はどうなりますか?」
『言ったわね! さすがミナト!』
ボーは嬉しそうだ。
「残ってくれれば私もうれしいわ。そうね……龍神の加護がもらえるならいくらでも出すという人はたくさんいるわ」
その通りだ。国一つ差し出しても龍神の加護が得られればすぐに取り戻せるのだから……。
「でも、ミナト君に使ってほしいから、こんな条件はどうかしら……他の移住者をすべて倒すと約束してくれれば永遠に無料でいいわよ」
他の移住者との闘いは避けられないだろう。それならとてもいい条件だ。
「ぜひお願いします!」
ミナトは深々と頭を下げた。
翌朝。ミナトが「定住」を決めたことを告げると、国王、シリウス、レオニダス、そしてリリアーヌは、泣いて喜び、城中が祝祭の空気に包まれた。
リリアーヌはミナトに抱きつき、何度も何度も「ありがとうございます」と繰り返した。
だが、その歓喜を切り裂くように、早馬の伝令が飛び込んできた。
「報告! 帝国ブレイド・ガルドの新たな『移住者』が領土内で起きていた反乱を制圧!皇帝は彼を『聖魔の剣士』と呼び、周辺諸国への再侵攻を準備しているとのこと!」
ミナトの目が、一瞬で「プロの顔」に戻る。
「……なるほど。あっちも『新戦力の投入』か。……いいだろう。受けて立つよ」
29歳、元広告マン。
彼は地平線の向こう、再び動き出した帝国の影を不敵に睨みつけた。
「お試し期間」は終わった。ここからは、命を懸けた終わらない異世界移住の始まりだ。
第14話をお読みいただきありがとうございました!
ついに「完全移住」を決めたミナト。
感動のハッピーエンド……と思いきや、帝国には新たな強敵が参入!
これにて、ミナトの「お試し期間編」は完結です!
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※AIとの共同執筆作品となります。




