第12話:毒入り接待と、深夜の「再開発」
毒入りのワインに、影から迫る暗殺者。
帝国の「おもてなし」は、予想を遥かに超えるブラックな内容でした。
しかし、ミナトには通用しません。
命懸けの夜が明け、ついに帝国に決断の時が迫ります!
帝都「ガルド・メギド」の城内、大食堂。
そこには、アド・ヴァルムの質素ながらも温かい食事とは真逆の、贅を尽くした……いや、脂ぎった光景が広がっていた。
「……ムグ、モグ。……さあ、座るが良い。移住者殿」
第八皇子エドワードは、ミナトが着席する前から、テーブルに並んだドラゴンの肉やら得体の知れない魔獣の丸焼きやらを、その太った指で掴んで口に放り込んでいた。
彼の顎からは脂が滴り、目は相変わらず書類ではなく、皿の上の「肉」だけを見ている。
(……この食いっぷり、前職の接待で見た『経費なら何でも注文するクライアント』そのものだな)
ミナトの前に、精巧な細工が施された銀の杯が置かれた。注がれたのは、深紅のワイン。
『ミナト、スキャン完了。……あー、やっぱりね。「深淵の毒蛇」の抽出液が混入してるわ。飲んだら心臓が停止する、帝国の「おもてなし」よ。飲んでも龍神の加護で効かないけどね』
頭の上のボーが、無機質なアラートを脳内に響かせる。
「……ほう。珍しくもない毒ですな」
ミナトは迷わず杯を手に取り、エドワードの視線の前で一気に飲み干した。
「……なっ!?」
エドワードの咀嚼が止まり、肉を掴んだ手が止まる。
暗殺を確信していた周囲の近衛兵たちも、一様に息を呑んだ。
『ミナト、加護の「浄化機能」があればこの程度の毒は効かないわ。……味はどう?』
「……ちょっと酸味が強いな。あと、隠し味の毒がピリッとする」
ミナトは平然と杯を置き、エドワードに向かってニヤリと笑った。
「エドワード殿下。この程度の『毒』で死ぬわけないでしょう。……さて、メインディッシュを始めましょうか」
晩餐会が終わり、ミナトは「相談がある」という名目で、窓のない薄暗い長い廊下へと誘導された。
背後の扉が重々しく閉まる。
『来るわよ。四方の影に隠密部隊 12名。全員が魔力を遮断する「暗殺のプロ」ね』
「たったの12人か……接待の後は、深夜の『呼び出し』。ブラック企業のやり口そのままだな」
ミナトが足を止めると、天井や床、壁の影から漆黒の装束を纏った男たちが音もなく現れた。
手には魔力を吸収する黒い短剣。
「……龍神の移住者よ。陛下への不遜な要求、その命で償ってもらう」
「悪いな。俺、戦いは大嫌いなんだ」
ミナトが床を軽く踏んだ瞬間、龍神の加護が発動した。
廊下の石畳が激しく揺れた。襲いかかろうとした暗殺者たちは足元をすくわれ、バランスを崩した。
「な、なんだ!? 床が……床が動いてる!?」
「さあ、綺麗さっぱり片付けさせてもらうぞ」
ミナトは向かってくる暗殺者の一人の懐に飛び込むと、修行で覚えた格闘術を叩き込む。
龍神の力を乗せた拳は、暗殺者たちを次々と壁に埋め無力化されていった。
翌朝。
エドワードが自室のベッドで、脂っこい朝食を楽しみに目を覚ました時、そこには信じられない光景があった。
寝室の豪華な扉が壁が天井が「更地」のように消え去り、代わりに「アド・ヴァルム直通・国道予定地」と書かれた看板が、彼のベッドの目の前に突き立てられていたのだ。
城が半分無くなっている……。
エドワードは何が起きているのか理解できなかった。
「……よぉ、殿下。おはようございます。いい朝ですね」
看板の横で、優雅にコーヒーを飲むミナトが立っていた。
ミナトは怪我をしている様子もなく、昨夜の暗殺部隊の失敗を無言で物語っている。
「ひ、ひぃっ……! 貴様、なぜ生きている……! 近衛兵! 暗殺部隊はどうした!」
「ああ、あいつらなら今頃、ぺちゃんこになってますよ。……さて、約束の朝です。『同盟』か、『滅亡』か。……そろそろ『契約書』に判をもらえますかね?」
29歳、元広告マン。
彼は恐怖に震えるエドワードの鼻先に、龍神の魔力で輝く「最終契約書」を突きつけた。
第12話をお読みいただきありがとうございました!
毒を飲み干し、暗殺者を壁に埋めるミナト。
第2皇子カトレイアの警告がなければ、もう少し苦戦した……かもしれません。
次回、第13話。
ついに帝国が屈する!?
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※AIとの共同執筆作品となります。




