第10話:敵対的買収の提案と、決死のプレゼン
経済封鎖の次に届いたのは、帝国からの「求婚」という名の脅迫状。
「リリアーヌ様を帝国の皇子に差し出せば、国を救ってやる」
絶望する王族たち。そして、身を捧げる覚悟を決めたリリアーヌ。 しかし、一人だけ「ふざけるな」と笑う男がいました。
「アド・ヴァルム産ハニーアップル」のブランディング計画をシリウス王子と練っていた、その直後のことだ。
城の広間に、再び帝国の使者が現れた。しかも今度は、仰々しい黄金の装飾が施された「親書」を携えて。
書状の内容を読み上げたシリウス王子の手が、微かに震えていた。
「……帝国の第八皇子、エドワード殿下より、我が妹リリアーヌへ求婚の申し入れだ。条件として『両国の永久不変の同盟』を掲げている」
「永久不変の同盟」――聞こえはいいが、実態はリリアーヌを人質に取り、アド・ヴァルムを帝国の属国として完全吸収するという同盟だった。
「……リリアーヌ、お前はどう思う」
国王の問いに、リリアーヌは白く細い指をぎゅっと握りしめた。
「……わたくしが嫁ぐことで、この国に平和が戻り、民の暮らしが守られるのであれば……覚悟はできております」
その言葉は、悲壮な決意に満ちていた。だが、その瞳には隠しきれない絶望の色が浮かんでいる。
「――ちょっと待ってください。そんなの、ただの『安売り』じゃないですか」
静寂を切り裂いたのは、ミナトの冷ややかな、しかし怒りに燃えた声だった。
「ミナト殿? だが、これ以上の経済封鎖と軍事的圧力を受ければ、我が国は……」
「シリウス様。こちらが有利な条件を結ぶべきです! この条件はこちらにとって不利だ」
ミナトはリリアーヌの前に立ち、国王を真っ直ぐに見据えた。
「陛下。この条件には絶対に反対です。僕を行かせてください。……帝国へ直接乗り込んで、あいつらに『最高の条件での同盟』を認めさせてきます!」
「帝国へ……? 移住者といえど、敵陣に一人で向かうのは自殺行為だぞ!」
「大丈夫です。僕には龍神の加護があります……それにこの条件では帝国との戦争に勝った意味がない」
リリアーヌが驚いたように顔を上げる。ミナトの背中が、これまでで一番大きく見えた。
王はミナトの覚悟に打たれ、ついに承諾の言葉を下した。
『ミナト、本気? 相手は最強の武器を失っても、こちらよりも軍勢ははるかに多いわよ。……ミナトを倒すことはできなくてもアド・ヴァルムを滅ぼすことはできるのよ』
頭の上のボーが、警告音のようなトーンで囁く。
「……ああ。分かってる。でも、リリアーヌ様があんな奴らと結婚するなんて、想像しただけで虫唾が走るんだ……」
ミナトは最小限の荷物と龍神の加護を詰め込んだ拳を握り、王都を後にした。
目指すは「剣戟帝国ブレイド・ガルド」。
29歳、元広告マン。
彼は今、大切な人の未来を守るため、人生最大の「直接交渉」へと身を投じたのだった。
第10話をお読みいただきありがとうございました!
ついにミナトが「男」を見せました。 好きな女の子を人質に取られて黙っていられるほど、彼は冷めた会社員ではありませんでした。
次回、第11話。 帝都到着! 待ち構える第八皇子の正体とは!?
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※AIとの共同執筆作品となります。




