第十二話 「お姉ちゃんの匂いと、お姉ちゃんの味がする。」
しばらくリビングで和樹とジャレあってると、お父さんが帰ってきた。
「ただいま、珍しいな和樹と花連が遊んでるなんて」
お父さんは、早々とスーツやワイシャツを脱ぎ始めて、お風呂に入るみたいだった、靴下も脱ぎ始めた、お父さんは下着とパンツだけになると脱衣所とお風呂場に消えていった、私は確認をしなければと思い、和樹にお手洗いに行ってくると伝え、脱衣所にある、洗濯機に向かった。
私の予想通りに洗濯機のカゴの中にお父さんの靴下が丸まって置いてあった、脱ぎたてで、すでに悪い匂いが漂ってきている、私は丸まっている靴下を解き、つま先に鼻を当ててクンクンと鼻を動かした。ポップコーンの香ばしい匂いが鼻を抜けた、なんでポップコーンの匂いがするのか私には分からないが、良い匂いではない。
でもこれで分かった、私の家族の靴下は、お母さんは香水の匂い、お父さんはポップコーンの匂い、弟の和樹は青臭い匂い、では私はどんな匂いなのか、気が付くとまた後ろに、リビングにいるはずの、弟の和樹が立っていた。また目を丸くして私のほうを見ていた。どこから見ていたのだろうか?だが私は不思議と冷静だった、こんな変な所を見られたのに、それより自分の匂いが気になってしょうがない。
私は自分の靴下を脱いで、目を丸くしている和樹の鼻に無理やり押し当てた、気が付くと私は魔女になっていた。
「ねぇどんな匂いがする?」
和樹の目はさっきとちがい、今度は怯えた目をしていた、その目はどこか、あの男の子の目と重なった、怯えながら和樹は答えた。
「お姉ちゃんの匂いがする。」
はて私の匂いとは何なのか、私はイライラしてきた、私の口からホコリが飛び出しそうになる、
「どんな匂いなのか教えなさい。」
和樹は泣きそうになってるのか、目を充血させながら、首を振るばかりだった、どうやらこれ以上答えないらしい、私は魔女の如く、答えた。
「答えられないから罰ゲームだよ、ほらこっちに来なさい」
私は和樹の手を引いて、リビングに戻った、お母さんはもう自分の部屋に戻ったのかいなかった。
食器戸棚から適当なグラスは取り出した、そのグラスは私がよく牛乳を飲む、よく分からないキャラクターが描かれたグラスだった。私はそこに口から唾液を出し注いだ、グラスの中に落ちていく唾液と私の唇がいつまでも、糸を引いてくっついて離れようとしていなかった、どうやら私の唾液は粘度が強いみたいだ、指で糸を切り離した。
「ほら、これを飲みなさい。」
和樹は何故か抵抗せず、それを一気に飲み干した。
私はそれの匂いと味が気になり和樹に聞いてきた。
「どんな味がするの?どんな匂いがした?」
和樹は即答で返してきた、
「お姉ちゃんの匂いと、お姉ちゃんの味がする。」
私は今日も自分の匂いが分からなかった。しばらくして私と和樹はいつもの姉と弟に戻り、リビングでしばらく二人で遊んだ、そのあと、お父さんがお風呂から出てきてお父さんも混じって遊び始めた。家族で遊ぶ夜も悪くないと思った。




